繊細な雷
凍らせた林檎をノエルに渡し、炙ったツキナミソウを貰い薬作りを再開した。薬研にツキナミソウを入れて細かく磨り潰した。すると、急に部屋の電気が落ちた。
「あ、ごめん。電球そろそろ切れそうだったのすっかり忘れてた」
「俺今、手がベタベタだから無理だぞ」
4人の中で1番背が高いノエルはクレアが凍らせた林檎とナツメグを混ぜながらすり鉢で潰していた。林檎とナツメグをよく混ざり合わないといけないので手で混ぜながら潰しているため手が林檎やらナツメグやらで手がベタベタなのだ。
「じゃあ、私が一時的にやるわ。後でちゃんと変えてね」
ちょうど、ハニーディッパーを使い試験管にハチミツを入れ終わったスピカが言った。スピカが手袋とマスクを外し、口の近く手をかざしふぅーと息を吐いた。吐いた息には微かに雷が含まれており微かにバチバチと音が聞こえる。スピカの魔法は雷関係の魔法だ。雷を自由自在に操ったり、導線を使えば電気としても使うことができる。手に雷を溜めた状態に誰かに触れるとショック死するレベルなので扱いが大変なのだ。雷を一箇所に溜め、光として使うことも出来るが、かなりの量の雷を溜めるためそれに雷はいろんな方向に行きたがり自分に被害が出るためやりたくないらしい。ちなみにスピカが怒ったり癇癪を起こすと雷が落ちる。その雷を聞いてクレアたちがスピカの機嫌が悪いと思いトパーズ邸に集まるのだ。雷が落ちるたびにトパーズ邸に来るので、スピカの機嫌が悪くないときにも来るのでそれが少し悩み。4人の中で1番繊細な魔法で手先が器用ではないと難しい。スピカはそのままハチミツの入った試験管にリンの根っこを入れた。よくリーフがリンという植物の根っこの皮剥きができなくスピカに頼むことが多い。リンの根っこは傷が入ると根っこの中の細胞が死んでしまい薬として使えなくなってしまう。繊細さではスピカの右に出る者はいないだろう。そのまま風に乗り、スピカの吐いた息は電球の近くに寄り、電球の微かな隙間から入っていきピカッと電気が付いた。
「ありがとう。スピカ」
「どういたしまして。ついでに解毒剤作ってるんだけど、カリンの汁ってカンロレードル何杯分だっけ?」
スピカがハチミツの入った試験管とカンロレードルを持ちながら、リーフに聞いてきた。
「解毒剤なら、2杯半だな。シロカジタケを忘れるなよ」
「はーい」
リーフは200種類近くの薬の作り方を覚えているので、クレアたちは本を見るよりリーフに聞くことが多いのだ。なんやかんやリーフもクレアたちに頼られるのが好きなのでどんどん薬の作り方を覚える。
「リーフ兄、キッコウギクがないよ。出して」
「分かった、キッコウギクは先に色を脱色しろよ」
リーフは指パッチンをして籠いっぱいのキッコウギクをクレアに渡した。おそらく半分はフラスコに入れしっかり空気の入らないようにコルクで保管し、もう半分は乾燥させるのであろう。
「ねぇ、兄ちゃん。乾燥したブラックオレンジないから乾燥したブラットオレンジ入れていい?」
「やめろ。林檎と薬効が反映するし、爆発する。乾燥したブラックオレンジならそこの棚の上から3段目にあると思うけど」
そんなことをしながら、4人で薬作りをしてあっという間に外は夕暮れ時になっていた。




