王族の公爵令嬢
この本にはたくさんの恋愛描写が出てきます。恋愛の他にも冒険や戦い、謎解きが入っています。この本を読んでワクワク、ドキドキしてくれたら嬉しいです!
1通の知らせを聞き、指先が震えていて、いつも上がっている肩が下がっている。肩までしか伸びてない髪を内巻きにしている空のようなスカイブルーの髪は風になびかれてふわりと空を舞い、甘いハチミツのようなプリムローズイエローの瞳は今は困惑してその瞳から涙が溢れていた。居ても立っても居られず、屋敷を飛び出した。普段は絶対に泣くのことのない彼女の名はクレアこと、グレイシア・サファイア。今はこのエルセノア王国、サファイア家の公爵令嬢だ。今はの話しだが。クレアは無我夢中で走った。そして、ある屋敷に物凄い勢いで入っていった。驚くこの屋敷の執事やメイド。クレアが通りすぎる前に執事やメイドに話しかけるも見向きもせず目当ての部屋に入っていった。部屋の主人は、急に扉が開き驚くも部屋に入って来たのがクレアというのが分かれば話しは別だ。今いる部屋の主人の名はスピアナ・トパーズ。クレアからはスピカと言われている。スピカはクレアと同様トパーズ家の伯爵令嬢。星のようなクリームイエローのような髪を高い位置でツインテールにして、木の葉のようなスプリンググリーンの瞳は優しくクレアを見つめいる。クレアはスピカの姿を見ると、安心してしまいさっきよりも涙が溢れ、そのまま椅子に座っているスピカに抱きついた。
「あんな奴と結婚なんて死んでもしたくない!なんで、ヒロインが、リーリアが死ぬのよ!」
「私も驚いたわ。まさか、事故で亡くなるなんて。」
スピカが一生懸命に宥めていると、またもやスピカの部屋の扉が勢いよく開いた。そこには、明らかに誰が見ても不機嫌なオーラがダダ漏れなノエルとノエルの側でニコニコしているけど目が全く笑っていないリーフが入ってきた。ずかずかと入り、スピカの前に座りクレアに向かってリーフが「おいで」と言い腕を前に出した。クレアはリーフの方を見てそそのままリーフの胸に飛び込んだ。それを見たノエルはゆっくりとそして優しくクレアの髪を撫でた。
「リーリアの死因知ってる?事故死だって。リーリアを乗せた馬車は急に出てきた酔っ払いを避けられずそのまま馬車ごと転倒して即死したらしい。」
そう、淡々と話しているのが、リーフことリーフレット・エメラルド。2人と同様エメラルド家の子息。名の通りのエメラルドのような深いエメラルドグリーンの長い髪を後ろで一つにまとめ、暁にさす朝日のようなカーマインの瞳をしている。
「はぁ?マジかよ。でも、それより問題はアルベルトとの結婚だよなぁ。」
頭を掻きながらもがいているのは、ノエルことノアール・ルビー。2人と同様ルビー家の子息。短髪の燃える炎のようなファイヤーレッドの髪を持ち、澄み渡る海のようなマジョリカブルーの瞳をしている。
ノエルが言った「アルベルトとの結婚」さっきからクレアが泣いてる理由がそれだ。ヒロインであるリーリア・シャーロットが死んだのだ。リーリアはこの小説のヒロインだ。そしてクレアは悪役令嬢なのだ。そう、ここは小説の世界。「バラの約束」と言う女好きの王子がヒロインと会って真実の愛を見つけて幸せになると言う話しだ。中世を舞台にして王子や王女、貴族や騎士が登場するファンタジー恋愛小説だ。この結末を知っている4人は転生者だ。「バラの約束」は涙あり笑いありの恋愛小説なので男女関係なく楽しむことができる大人気小説なのだ。そしてこの小説は魔法が存在する。しかし、選ばれた者公爵家などの貴族しか使えないため魔法が使える公爵家などの貴族は宝石のファミリーネームを貰う。そして、宝石のファミリーネームを持つ公爵家は普通の公爵家よりも地位は高く王族に近いと言われている。そして、問題はアルベルトという「バラの約束」のヒーローとも言えるであろう男のことだ。アルベルト・エルセノア、頭も良くなければ、運動もできないのにも関わらず、見た目の容姿だけは整っていてモテるのだ。しかし、大も付くほどの女好きのクズだ。常に女をたぶらかしている。転生前からクレアは浮気が大嫌いのため小説は好きだったが、アルベルトのことは好きになれないのだ。そして、アルベルトの婚約者が今はまだクレアなのだ。ヒロインであるリーリアがいない以上婚約破棄すらないのだ。リーリアがアルベルトに会い恋に落ち、本来ならばリーリアをいじめ最後は死刑というエンドを回避したいのももちろんだが、1番は婚約破棄になり自由になりたいのだ。
一向に泣きやむ気配がないクレアを見て、少し気持ちを落ち着かせようと思いスピカと裏の林に行くことをノエルが進めクレアも落ち着きたかったため、そっとリーフから離れ出かける準備を始めた。