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(6)

「で、進捗はどうなんだ?」

 金曜の夜に会社の寮までやって来た課長は俺にそう訊いた。

「今日までが研修で、週明けから本格的に始まります。期間は3ヶ月と半年の好きな方を選べるようです」

「なら、半年の方を選べ。それとな……研修つ〜けど、洗脳なんかはされてないだろうな」

「ええ……」

 「精神操作への抵抗訓練」で習った「平常心を取り戻す呼吸法」を実行。

 「特異能力者」の存在が明らかになる以前の古典的な洗脳に対しても……まぁ、今までは1日で洗脳されてたのが1ヶ月ぐらいはかかるだろう。

 旧政府崩壊以前の腐りまくっていた警察に逮捕され、今からすると無茶苦茶に長い勾留期間ブタ箱に閉じ込められていても……「嘘の自白」をしてしまう可能性は0じゃないにせよ大幅に減っているだろう。

 精神操作系の特異能力を使われても……余程、巧みなモノでなければ、支配を防げないにせよ、支配されつつ有る事は自分で検知出来るし、完全に支配されるまでにかかる時間は、今までより大幅に長くなってるだろう。

 洗脳などされていない。

 問題は、今までかけられていた洗脳が解けた挙句、洗脳がかかりにくいような脳味噌の持ち主になってしまった事を、どう職場にバレないようにするかだ。

 しかも、ウチの会社の上部組織の最終目的は「チート級の精神操作能力者を生み出して全日本()()を支配する」だ。

 このままでは、ウチの会社の上部組織の目的が達成された瞬間に、俺は、その後の社会では殺処分されかねない「異端者」と化してしまう。

 まぁ、「ウチの会社の上部組織の目的が達成」される確率が、ほぼ(ゼロ)なのが数少ない救いだが。

「で、『正義の味方』を自称する『テロリスト』どもの身元を探るプランは考えてるんだろうな」

 無理だ。

 他の「監査委員」がどこの誰か知らない状況では……「正義の味方」の身元を探るなど更に困難な事だけは予想が付く。

 それどころか、研修中に聞いた話からしても「正義の味方」「御当地ヒーロー」の組織が、どこまでの規模かさえ予想が付かない。もし、下手に「正義の味方」「御当地ヒーロー」の組織を()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()可能性も有る。

「あの……ホントに俺の考えで動いていいんですか?」

「何だと?……いや待て……そう言われてみりゃぁ……」

「ええっとですね……俺、馬鹿なんで……」

「ああ、俺様におかれては、んな事、とっくに御存知だよ」

「ですから、偉くて頭がいい人達がプランを考えて、俺は、そのプランを立てるのに必要な情報を入手した上で、その後は偉くて頭がいい人達が作ったプラン通りに動くのが……一番、安全確実じゃないですか?」

「お前にしちゃ、いい考えだな」

 助かった。

 俺も馬鹿だが……課長も同じ位に馬鹿だ。

 平に降格されてから、上役に自分の考えを理路整然と言ったのは初めてだ、って事を気付かれてない……多分だけど。

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