2:サーカス
どうも、蓮悠介です
この辺って何書いたら良いんでしょうね?
「それじゃあ次はどこ行こっか?」
セレスは歩きながらレイに町のどこを回るのかを尋ねる。
「まあ、適当に回って行ったらいいだろ」
「それもそうだね」
二人はぶらぶらと町の中を歩く。
歩いていると目の前に人ごみが出来ているのを見つける。
「あそこ人が集まってるね。何かやってるのかな?」
「行ってみるか?」
「うん、行ってみよう」
レイとセレスは人混みのほうに向かい、後ろの方から何が行われているのを覗くとそこでは一人の奇抜な服を着た男がビンを三つもって器用に回していた。
セレスとレイはその様子を見ながら感心している。
「すごいねー」
「すごいな」
レイは奥の方の置かれている看板を見つける。
「移動サーカス団体か・・・」
「へえ、サーカスかあ・・・。私は見たことなんだよね。レイはある?」
「いいや。俺もないんだよな。町に着たときにいるのは見たことあるけどサーカス自体を見たことはないな」
「そうなんだ」
するとビンを回していた男はビンのパフォーマンスを終えると、次の道具を出して人混みに呼びかける。
「さて!次は簡単なマジックでもしましょうか!」
サーカスの男は懐からトランプの束を取り出す。
「それではこちらのトランプでマジックします。今回のマジックは透視マジックです!」
男はトランプを器用にシャッフルしていくと、人混みに向かって呼びかける。
「では、まずは誰かにトランプを引いていただきたいところですが・・・。そうですね・・・そこのお嬢さん!」
サーカスの男はセレスを指さしてそう言う。
「私?」
セレスは驚いた表情で反応する。
「そうです!あなたです!どうぞこちらに来て下さい!」
「は、はい!」
セレスはサーカスの男に言われてサーカスの男の前まで行く。
サーカスの男はセレスが前に来ると少しセレスの姿を見ると、明るくセレスに挨拶してくる。
「どうも、こんにちは。冒険者の方ですか?」
「はい・・・そうです」
「お嬢さん。マジックは見たことありますか?」
「いえ、初めてです」
「そうですか」
そしてサーカスの男はトランプの束を少し広げてセレスの前に出す。
「それではこちらの中からトランプを一枚取って下さい」
「は、はい・・・」
セレスはトランプの束から一枚適当に取る。
「では、私は後ろを向きますのでカードの柄と数字を確認して何かサインを書いて下さい。終わったら他の方にも見えるようにお願いします」
「分かりました」
セレスはカードの柄と数字を確認すると人混みの方に向けてカードの柄と数字とサインを書いたのを見せる。
「見せ終わりました」
セレスがそう言うとサーカスの男はこちらに向き直る。
「それではそのカードの柄と筋が見え無いように私に返してください」
「はい」
セレスはカードを裏返して柄と数字を隠すとそのままサーカスの男にカードを渡す。
「ありがとうございます」
サーカスの男は受け取ったカードを束の中に入れてシャッフルしていく。
そしてシャッフルしたトランプの束を人混みに見せる。
「これで今サインを書いてもらったカードはシャッフルして、どこに行ったのか分からなくなりました!これから先ほどのカードを透視して見つけます」
サーカスの男はカードを広げていき、中から一枚のカードを取り出す。
「これです!」
サーカスの男は取り出したカードをセレスに渡す。
「あなたがさっき選んだカードはこれです。確認してみて下さい」
セレスはカードを受け取ってカードを裏返すと、そこには最初にセレスが選んでサインを書いたカードであったのだ。
「嘘でしょ!ほんとに来た!」
セレスは本当に自身が書いたカードが来たのに驚いて声を上げる。
「他のお客さんにも見せて確認して見てください」
「は、はい」
セレスは人混みの方に透視されたカードを見せると人混みの方からも驚きの声が上がる。
そんな中、サーカスの男は人混みに向かって叫ぶ。
「今回のパフォーマンスを楽しんでいいただけましたでしょうか?私たちの劇団では本番ではこれよりももっとテクニカルで素晴らしいパフォーマンスをお見せすることが出来ます。開演までもうすぐですので良ければどうぞ見に来て下さい!」
そう言ってサーカスの男は人混みの賞賛の拍手を受けながら、サーカスのテントがある方に戻っていく。
今のパフォーマンスを見ていた多くの町の人間たちがそのままサーカスの屋台の方に足を運んでいく。
そしてセレスはレイの所の方に戻ってくると興奮した表情でレイに話しかけてくる。
「ねえ、レイ見た!?さっきの!あの中から私が書いたのを見つけるなんてすごいね!」
セレスは初めてのマジックを目の前で体験したことがとても楽しかったらしかったのでレイはセレスに言う。
「それならさっきのあの人がもう少しでサーカスが始めるって言っていたから見に行くか?」
「良いの!?」
「ああ、俺も見ていて結構に気になったしな。セレスが良ければ見に行きたいと思っていたんだ」
「なら、行こう!」
するとセレスはレイの腕を引っ張りながらサーカスのテントの方に進んで行く。
二人は入場料を払ってサーカスのテントの中に入って行く。
「へえー。サーカスのテントの中って結構外から見たよりも広く感じるね」
「そうだな。結構スペースをギリギリまで使っているからかな」
「それにしても人がいっぱいだね」
セレスはテントの中の客の状況を見ながらそう呟く。
テントの中には先ほどのパフォーマンスを見て来た客を含めて多くの客がテントの中にいる。
「とにかく席は自由だから座れる所を探すぞ」
「そうだね」
二人は急いで座れる所を探すと、ちょうど空いているところが合ったのでそこに腰掛ける。
「早く始まらないかなー」
「別に逃げないから落ち着け」
セレスは早く始まって欲しくずっとうずうずしているのをレイはなだめながら時間が過ぎていく。
そして外に並んでいた客が全員入り終わると真ん中の舞台に繋がる通り道から一人の男が出てくる。
その男はタキシードで身をこなしがしっかりしている人物である。彼がこのサーカスの司会であろう。
そして司会は観客に向かって話し始める。
「どうも、皆さんこんにちは!本日は私たちのショーにお越しいただき、まことにありがとうございます!全力でパーフォーマンスを務めさせていただきますので温かい目でご覧下さい。そしてパフォーマンスを終えた演者には拍手を送るようお願いします!では、ショーの始まりです。どうぞお楽しみ下さい!」
司会はそう言うと軽くお辞儀をお辞儀をして先ほどの方に戻って行ってしまう。
しばらく待っていると、奥から明るい音楽と共にピエロが出てくる。
それと同時に観客席から大きな拍手が巻き起こる。
そしてピエロの開幕のパフォーマンスから次々とパフォーマンスが行われていく。
セレスはパフォーマンス一つ一つに驚いている。今は男女の演者がロープを使ってパフォーマンスをしているところである。
「あれ、本当にいけるの!?」
女性の演者がロープを掴みながら飛ぶ、それと同時に反対の高台にいた男性の演者は足を引っかけると女性と同じように高台から振り子のように飛び出す。
そして両者が近づいた瞬間である。女性が手を離したのだ。
女性が手を離したかと思うと、そのままの勢いで飛んだ女性は男性が伸ばした手に捕まって高台の上に無事に戻るのであった。
それと同時に観客からは大きな拍手が巻き起こる。セレスも同じように拍手をしながら、レイに言う。
「すごいね、あれ!」
「ああ、サーカスってすごいんだな」
レイもセレスのように叫んで興奮こそはしなかったが内心は結構驚いていた。初めてのサーカスで見るパフォーマンスの衝撃波ものすごいものであった。
そしてショーはまだまだ続いていく。次に出てきたは先ほどの司会と一匹の猛獣であった。
本来、司会に横にいる猛獣は人を襲う肉食なのだが、あの猛獣は司会を襲うことなくきちんと司会の横で待っているのだ。
司会と猛獣の後に続いて輪っかの形の道具が出されたかと思うと、その道具に火がつけられていき並べられていく。
「さあ、いけ!」
司会は猛獣に指示をすると猛獣は司会の指示に従って動き始める。
「それ!」
司会の指示に合わせれて猛獣は火の輪の中を飛び抜けていく。
「すごいな・・・」
「本当にすごいね!」
猛獣のパフォーマンスにはレイも驚いて不意に声を上げていた。本来は人を襲う凶暴な性格なのに司会の指示に素直に従っているのだ。どれだけの練習を積めばあんな芸当が出来るのだろう。レイは想像もつかない。
そして司会のパフォーマンスが終わり、次に出てきたのは先ほどテントの前でパフォーマンスをしていたあの男であった。
「あ、さっきの人だ」
男の後ろには一人の女性と大きな箱が三つある。
まず最初に女性が一つの箱に入ると男は箱の下から刃がついた大きな包丁のような物を取り出す。
そしてそのまま真ん中に向けて男は箱にその包丁を刺す。包丁はそのまま箱に突き刺さる。
観客の中から悲鳴のような物が上がる。しかし男は安心しろとばかりにジェスチャーをするとその箱を動かしたのだ。
明らかに箱に入った女性の上半身と下半身は分かれいるのに箱の中の女性は笑顔のままである。
「どうなってるの!?」
「分からない・・・」
セレスとレイも他の観客と同じようにこの光景に驚くしかなかった。
男は箱を元の位置に戻して合わせて、包丁を抜き箱の扉の開けると女性は傷一つ無く出てきたのだ。
これには全体が驚きの嵐に包まれる。
次に使い始めたのはもう二つの箱であった。最初に二人で箱を開いて箱の中に何もないのを観客に見せる。
そして男が片方の箱に入り、女性が箱の扉をどちらとも閉めるとカウントダウンを始める。
「3、2、1、0!」
カウントダウンを終えて、男がいた方の箱を開けるとそこには男の姿はなかった。そして女性がもう一つ方の箱を開けるとそこには男がいたのだ。
これには観客も大きな拍手が巻き起こる。
そして二人が中に戻っていくと司会が奥から出てくる。
「もれで私たちのショーは以上です。私たちのショーは楽しんでいただけましたでしょうか?楽しんでいただけたのなら大きな拍手をお願いします」
司会者がそう言うと観客は大きな拍手を送る。すると奥から演者たちが全員出てきて観客に向かってお辞儀をする。
「それではみなさま、彼らにもう一度大きな拍手をお願いします!」
そして大きな拍手が起こる中、ショーは幕を閉じるのであった。
セレスとレイはサーカスを後にしながら感想を話しあう。
「楽しかったね!」
「ああ、すごいかったな。最後のマジックとかは全然分からなかった」
「本当にあれどうやってるんだろうね」
二人の休日はまだ続く。