1:初めての仲間は…(1)
初めまして、蓮 悠介と申します。
一日おきに投稿していく感じですので、ぜひ見ていって下さい。
それは何の変哲もない朝。一人の青年が当たり一面の草原の中を歩いている。
青年は少し丘になったところに上ってそこから向かうべき方向の景色を眺める。
「お、見えてきたな。あと少しだな。よしっ、行くか!」
青年は道の先にある街を見ると意気揚々と街に向かって歩いていく。
彼の名前はレイ。名前もない小さな村の出身の普通の青年である。
なぜ彼が自身の村を出て、町を目指しているのかというと彼には一つの夢があった。それは冒険者である。
冒険者とは依頼を受け、生計を稼いで自由に生きていく職業だ。
依頼はもの運びから魔物退治までと種類が際限なくいろいろと存在する。
レイには一つの夢があったのだ。それはこの世界を自分の足で回ることだ。世界を回るには旅商人などの方法もあったがレイの村には学校などはなく、かろうじて村で知識のある者だけが言葉と簡単な読み書きを教えているだけである。
だからこそ、世界を回るために一番の方法が冒険者であったのだ。
レイは期待を胸に膨らませて歩く。
この世界は様々な場所がある。あたり一帯が灼熱のマグマ地帯や、古代文明が残されているとされている樹海、すべてのものが一様に凍ってしまう極寒の地、そして人間が立ち入ることができない未知の領域などとこの世界にはいったことがない場所は多く存在する。それをレイは自身の足で訪れ、自身の目でその景色を見たいのだ。本や絵の情報はレイにとっては意味がない。行ってこそ価値があると考えている。
「世界の全部回ってやるぞー!」
レイはこれから出会う明るい希望に向かってより一層やる気を出すのであった。
「やっと着いたー」
この町ベルーナはレイの故郷の村から一番近いところに位置する街である。周りは豊かな自然に囲まれており、魔物もそこまで危険度の高い魔物は現れることはないので冒険者が最初に準備を整える序盤の町として名が知れている町である。
レイは門の前に進んでいき、門に立つ衛兵に止められる。
町に入るには最初に衛兵たちの審査を潜り抜けなければ町の中に入ることはできない。
「止まれ」
レイは衛兵たちの指示に従ってその場で止まり、衛兵たちからの質問を受ける。
「この町に来た理由はなんだ?」
「冒険者になるために来ました」
「…そうか。出身はどこだ?」
「ここから山を二つ超えたところにある村です」
「あの村か。最後に名前だけ教えてくれ」
「レイです」
「レイか…。よしこれで終わりだ。通っていいぞ」
「ありがとうございます!」
レイは検問を終えて町の中に入っていく。町の中には冒険者、商人、旅人などと多くの人が行きかっており活気があふれている。
「さて、冒険者ギルドはどこだ?看板かあるな。ここから奥に行くのか」
冒険者はどこかと思いあたりを見渡していると道の横にあった看板に冒険者ギルドの場所が書かれていたので、レイは看板に書かれている方向に従って進んでいく。しばらく歩いていくと目の前に冒険者ギルドが見えてくる。
「ここか」
レイは扉を開けて中に入っていく。
中に入ると中には装備を身に着けた冒険者たちがたくさん行きかっている。ギルドの中には併設の酒場をあり、そこで冒険者たちは食事をとりながら、いろいろな話をしている。
「俺もいつかあんな仲間ができるのかな」
レイは仲間とともい騒いでいる冒険者たちを横目に見ながら受付に進んでいく。
受付のところに行くと前には一人の少女が先に受付嬢と話しており、レイは後ろに並んで順番を待つ。
後ろで待っていると前の話し声が聞こえてくる。
「それではこれをどうぞ」
「あ、ありがとうございます!」
受付嬢は前の少女に白色のペンダントを渡して、机から色々と紙を見せながら少女に説明いる。
少女は受付嬢の説明を一生懸命に聞き入っている。
様子を見た所彼女も今日冒険者登録をしているのだろうかとレイは思う。
そして説明が終わると少女は受付嬢に尋ねる。
「あの今日から依頼を受けることはできますか?」
「はい。出来ますよ。そこの看板から依頼の紙を取ってこちらに持ってきてください」
「分かりました。ありがとうございます」
話していた少女が立ち去りレイが受付の前にまで行くと、受付にいる受付嬢が明かり笑顔でレイを出迎える。
「こんにちは。今回はどのようなご用ですか?」
「冒険者登録をしたいんですけど」
「冒険者登録ですね!それではまず冒険者登録のためにこの紙に名前をお願いしたいのですが、書けますか?」
「はい、書けます」
レイは受付嬢が渡した用紙に自分の名前を書いていく。
「書けました」
「ありがとうございます。それでは少しお待ちください」
受付嬢は名前以外の欄に必要事項の記入を済ませていく。
記入を済ませた受付嬢は紙を横に置くと机の引き出しから先ほど前の少女がもらっていた白色のペンダントを取り出すと、それをレイに渡してくる。
「それはあなたが冒険者の証です。冒険者にはランクがあり、そのペンダントの色でランクが分けられています。一番下が白でそこから黄、橙、緑、紫、青、銅、銀、金の順で上がっていきます。依頼の達成度具合で昇格審査を受けていただいたら次のランクに昇格できます。ランクで受ける依頼の種類もかあり替わってくるので頑張ってくださいね」
「ありがとうございます。それじゃあ早速ですけど依頼を受けてもいいですか?」
「大丈夫ですよ。依頼は向こうの看板に貼っていますので、そこから依頼の紙をとってこちらに持ってきてください。依頼の紙の下に必要ランクが書いてあるので確認してから持ってきてくるようにお願いします」
「分かりました」
レイは受付を離れ、依頼が貼ってある看板の前にまで行く。看板のところにはレイの前にいた少女が同じように依頼を探している。
「さて…何をやれるかだな…」
貼ってある依頼を見ていくと紙の下に受付嬢が言っていた通り、必要ランクが書かれている。
「俺が今受けられるのはこの三つか」
レイが見つけた依頼は魔物退治と森の生態調査、薬草の採取であった。
「この中で俺が出来そうなのは薬草のやつだな」
レイは看板から薬草の採取の依頼の紙を取る。
後の二つは魔物退治は確実に戦闘であり、森の調査も内容を見ると魔物発生の調査らしいので仲間がいれば考えたかもしれないが戦闘経験のないズブの素人が一人で戦うのはさすがに無謀であると考えたからだ。
「あとはこれを受付に持っていったら良いんだな」
そうして依頼の紙を受付に持っていこうとしたときであった。
「あ、あの!」
「ん?」
レイは呼びかけられたと思い、声のしたほうを振り返る。すると声の主である少女がレイの方に近づいてくる。
「あの!」
「どうしました?」
「さ、さっき冒険者登録していましたよね?」
「そうですけど…」
レイがそう答えると少女は大きく息を吸って深呼吸するとレイに言う。
「よかったら私とパーティーを組みませんか!」
「パーティーですか?」
「はい。私も今日冒険者になったので仲間を探したいと思ってまして、よかったらあなたとなりたいなと…。どうですか?」
少女は上目遣いでレイの方を仲間になりたそうに見つめてくる。
レイは断る理由もなく。自分も仲間が欲しいと思っていたのだこの誘いを断る理由が見つからない。
「ぜひ、お願いします」
「本当ですか!」
レイの返答に少女は嬉しそうに表情を明るくする。
レイの勧誘にうまくいったことに少女はほっと胸をなでおろしながら互いに自己紹介を交わす。
「俺の名前はレイ。君の名前は?」
「私の名前は…セレスです」
「セレスか…それじゃあよろしくセレス」
「よろしくお願いします!」
二人は一緒に受付嬢にところまで戻り、レイは受付嬢に告げる。
「それじゃあこの二人で依頼を受けるのでよろしくお願いします」
「分かりました。では依頼は受注されました。頑張ってきてくださいね」
「はい!」
そして二人はギルドをあとにして薬草採取に向かうことにした。
一部、誤字を見つけたので修正しました。