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第一話 「兄妹転生」

こんにちは、白野斬夜です

なんか思いついちゃって書いてみちゃいました

低スペの方をメインで書くのであっちより更新遅くなるとは思いますがこちらも是非呼んでってください

その日の俺は、とにかく浮かれていた

俺の名前は「獅子王 雷人」

今年で20歳になるフリーターだ


俺には両親がいない

正確に言えば、俺が15の時に二人とも交通事故で死んでしまったのだ


俺に残された家族は、当時13歳だった妹だけだった

妹…とは言っても血は繋がっていない

俺の母親は、俺を産んだときに死んでしまったらしく、俺は本当の母親に会ったことがない

代わりに俺の母親として俺の事を可愛がってくれたのは父の再婚相手の女性

その女性の連れ子が俺の妹、「獅子王 風香」だ

血は繋がってはいなかったが、俺は風香の事を本当の妹のように可愛がった

妹も俺の事を慕ってくれ、本当の兄のように接してくれた


俺はそんな妹が大好きだ…

いわゆるシスコン、という名称で呼ばれてもおかしくないくらい溺愛している

だからこそ、両親が居なくなった時、俺は風香を守らなくてはと固く誓った


中学を卒業してから色々なアルバイトで金を稼ぎ

その金と両親が残してくれた貯金で風香を学校に通わせてやった

高校に通い始めたあたりから風香もアルバイトを始め

二人で稼いだお金を貯金しつつも、少し遊んだりする程度の余裕が出てきた

そんな中の7月7日、風香の18歳の誕生日

俺はアルバイトを早めに切り上げさせてもらい、風香の大好きなアイスケーキや料理の材料の買い物をしていた

風香の為に楽しい誕生日会をしてやろう

その思いで俺は浮かれていた……


――――――――――――――――――――――――


「よし、買い物はだいたい済んだな」


誕生日会の買い物を済ませた雷人は、時計を確認する


「そろそろ下校時間だな……」


そう呟くと雷人は乗っていた自転車である場所に向かう

それはある高校の通学路として利用される大通り

学校が終わった生徒たちが楽しそうに話しながら下校している


「お兄ちゃーん!」


その中から一際明るい声で雷人のことを呼ぶ女子高生がいた

女子高生…とは言っても、低身長かつ童顔のせいでぱっと見中学生…下手をすれば小学生高学年に見えるようなそんな娘

それが雷人の妹、風香である


「風香、お疲れ」

「お兄ちゃんこそ!今日もアルバイトだったんでしょ?」

「まぁな、でもお前のためだったら俺はいくらでも頑張れるぞ」

「無理はしないでね?」

「おう、サンキューな」


雷人はそう言いながら風香の頭を撫でる

風香はそれを嬉しそうに受けていた


「あ、これ!私の大好きなアイスケーキ!」

「はは、流石に目ざといな、今日はお前の誕生日だから買ってきてやったぞ」

「わぁい!ありがとうお兄ちゃん!」


ぴょんぴょん跳ねながら喜ぶ風香


「っと、そのアイスケーキなんだが、保冷剤を入れてもらってるとは言えこの暑さだ、溶けないうちに家に帰らないと、ほら風香、後ろに乗れ」

「え?いいの?危なくない?」

「まぁ大丈夫だろ」


この時点で、雷人は大分浮かれていた

ただでさえ買い物の重さでバランスの良くない自転車

その自転車の後ろに風香を乗せて走るなどという普段行わないようなことをしてしまった

それが後の悲劇の引き金だった……

雷人は風香を乗せて自転車を走らせた

その途中にある分かれ道

一方はなだらかな下り坂だが家には回り道になる

もう一方は少々急勾配ではあるが、家への近道になる


「よし!風香!近道するからしっかり捕まっとけよ!」

「はーい!」


雷人の胴にがっしりと捕まる風香

雷人はそのまま坂へと突入する


「「やっほー!」」


二人して嬉しそうにはしゃぎながら坂を下っていく

ある程度ブレーキをかけてはいるが自転車はみるみる加速していく


「これならすぐ家に着くね!」

「あぁ!帰ったら早速料理作らないとな」


雷人は後ろの風香の方をチラッと見ながらそう答えた

その一瞬のよそ見が、彼らの運命を決めてしまった

ププーー!!!


「っ!しまっ!?」


坂途中のカーブ地点

いつのまにか対向車線に出てしまっていた雷人は前から来る大型トラックに気づけなかった

雷人たちの自転車はそのままトラックに激突し、雷人達はトラックと地面に強く叩きつけられる

地面にひれ伏し、意識が混濁としている雷人


「ふ……風……香……大丈夫……か?」


体がうまく動かないなか、必死で風香のことを探す

身体中に痛みが走るがそれに構わずに地面を這いながら周りを見渡す

そして……トラックのタイヤの下敷きになっていた風香を見た瞬間、雷人の意識は暗闇に落ちていった……


――――――――――――――――――――――――


「ん……?」


目が覚めると、雷人はだだっ広い草原のど真ん中でファンタジーな鎧のようなものを着た状態で寝転んでいた


「あれ……ここは?俺は確か……トラックとぶつかって死んだはずじゃ……」


とりあえず雷人は立ち上がり周りを見渡す

すると、すぐ近くに風香が倒れているのを発見する

こちらも服装がファンタジーな感じの服装になっていた


「風香?おい、風香!?起きろ!?」

「う、うーん……お兄ちゃん?今日は日曜だよ……?ん?あれ?今日何曜だっけ……」


半分寝ぼけながら風香は起き上がる


「あれ…お兄ちゃんなにその格好、あれ?というか私もなにこの格好!?というかここどこ!?」

「俺にもよくわからん……気付いたらここに倒れてた」

「私達…たしかトラックに……」

「あぁ……ぶつかったはず……」


二人とも状況がよくわからない

が、ここで風香があることを思いつく


「もしかしてこれって…異世界転生ってやつじゃないかな?」

「異世界転生?」

「うん、ほら、なろう系小説とかで最近人気のアレ」

「うーん……確かにそうなのかもしれんが……」


雷人は思う、実際にそんなフィクションみたいな話があり得るのかと

だが事実、自分たちには死んだ記憶があり、見たこともない場所で見たこともない格好をしている


「うん!きっとそうだよ!で、多分お兄ちゃんは勇者なんじゃないかな?格好的に」

「勇者かぁ……」

「勇者のお兄ちゃん……カッコいいよ!」

「そ、そうか?はは、なら悪くないかもな」


などと話しているその時だった

2人の後ろから大きな影がかかる

振り返ると血走った目でこちらを見る巨大なクマ……正確に言えば、クマのようなモンスターが今まさに2人に襲い掛かろうとしているところだった


「キャア!?」

「風香!」


風香の手を引き抱き寄せながらその場から飛び退く

後数秒気づくのが遅ければ今まさにそのモンスターの爪で大きくえぐられた地面のようになっていただろう

標的を外したモンスターが体制を立て直し立ち上がったばかりの2人を見やる


「お、お兄ちゃん、こういう時どうすればいいんだっけ?死んだふり?」

「普通のクマなら目を見ながら後ずさったりすればいいんだが……こいつの場合それもダメそうだ……」


モンスターが追い詰めるかのようににじり寄る姿を見て、ジッとしているだけでは確実に殺されることを悟る雷人


「ろくな武器もない以上逃げるしかない!風香!走るぞ!」


風香の手を引きながら走り出す雷人

しかし…

グォォォ!

一瞬で距離を詰められる


「しまっ……」


雷人にモンスターの攻撃が当たる

その衝撃で風香との手が離れ、大きく吹っ飛ばされた雷人は地面に強く叩きつけられた


「ぐっ……う……」


衝撃でえずく雷人

とどめを刺さんと近づいてくるモンスター


(……く……どうすればいい……せめて……何か武器でもあれば戦えるのに……何もできずにまた死ぬのか……俺は……!?)


そう思いながらモンスターから少しでも離れようともがく雷人

しかしモンスターは易々と近づき雷人に腕を振り下ろした


「くっ……ん!?」


不意に、右手に何か棒状のものが触れる

雷人は咄嗟にその棒状の何かでモンスターの攻撃を防御した

ガキィィィン

鋭い金属音が辺りに響きモンスターの攻撃が弾かれる

困惑する雷人

それもそのはず、雷人の手に握られていたものは…


「……槍?」


そう、槍……より正確に言えば、西洋の騎士が持つような、所謂「ランス」と呼ばれる槍だ

緑を基調とした装飾とその中心に埋め込まれた赤い宝石、顔や周りの景色が映り込むほど輝く大きめの刃……到底その辺に落ちていたものとは思えないものだが、今の雷人にはそんなことはどうでもよかった


「武器だ……これなら……!」


絶望しかけた雷人の心に希望の火が灯る

まだ死ねない……まだ、足掻いて見せる!

雷人は立ち上がり、槍を構える

そして、不意に攻撃を弾かれ、体制を崩していたモンスターの腹に刃先を向け

渾身の力を込めて突いた!


「うおおおおお!!」


槍はいとも容易くモンスターの腹を突き破る

大きく腹に穴を開けられたモンスターは断末魔の叫びをあげる間も無く絶命した


「はぁ……はぁ……」


動かなくなったモンスターをどかしながら、返り血を拭う雷人


「風香……風香!」


すぐに風香のことを探す

しかし、風香の姿が見当たらない

嫌な想像が頭をよぎる

もし……もしさっきのようなモンスターが他にもいたりしたら……


「風香!返事をしてくれ!風香ぁ!」


雷人は力の限り叫ぶ

しかしその声は虚しく辺りに響くだけで、返事が聞こえることはなかった

雷人は膝から崩れ落ちる


「また……守れなかったのか……俺は……風香……」


再び絶望感に包まれる雷人

その時だった


「……ちゃん……お兄ちゃん!」

「っ!風香!?」


風香の声が聞こえ辺りを見渡す

しかし風香の姿は見えない


「風香!?何処にいるんだ!?」

「お兄ちゃん!ここだよここ!手元手元!」

「手元?」


雷人はとりあえず言われた通り手元をみる

右手に握られた槍

その鏡のような刃に風香の姿が映っていた


「え……?」

「えっとね……なんだかよくわかんないんだけど、お兄ちゃんと吹っ飛ばされちゃった時、身体が光って、気づいたらこの槍になってたの」

「槍に……なってた……?」


理解が追いつかない雷人


「だからね、簡単に言うと、お兄ちゃんの武器は私ってこと!」

「いや、ますますわかんねえよ!?……あっ」

「あ!お兄ちゃん!?」


風香の無事を確認した安堵からか全身の疲れと痛みが雷人の体を包む

雷人はそのまま気を失ってしまった


「あー……これ……どうしよう」


槍になったままどうしていいかわからない状態の風香は途方に暮れるのだった

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