表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/11

05 鳳凰の統べる国

 チェイチェイは約半月かかってようやく自分の住む王都に帰りついたんだ。

 でかい川に囲まれただだっ広い平原にあったその国の名前は「凰華(おうか)」だ。歴代の王たちは皆「鳳凰(ほうおう)」の名を継ぐその世界では古くからある国の一つでな、凰華(おうか)はその周りにある五つの国を束ねてたんだと。


 都を出てから半年。雪解けの春先に旅に出て、それからいろいろな土地を回り、山々を渡り歩いての珍しい食材の調達はなかなか大変なものだったらしい。

 それぞれの土地の特産物などはその土地の商人と掛け合い、定期的に王宮に仕入れてもらう手筈にしてあったそうだ。


 王都は城塞都市で周りは高い壁に囲われていて、厳重な門番がいる検問を通り城下へ入るとにぎやかな下町が見えてな。下町の中心街屋台通りを抜け、市場に差し掛かってもチェイチェイは顔を上げてはまた伏せ溜息をつく、を繰り返したらしい。

 そうこうしているうちに周りの建物はどんどん高く色も煌びやかになって、ついに赤い石畳の城壁に辿り着いていた。その五十メートル以上ある壁の屋根の上からチェイチェイの名前を呼んで子供が一人飛んできたんだ。そんなのが日本にいたら化け物だな。


 その子は朱殷(しゅあん)の子供より大きくて名前を「蒼逢(そうあ)」と言った。蒼逢(そうあ)は他人の脳を操ることが出来る「白群(びゃくぐん)族」って言ったかな。耳が少し尖がっていて肌は青みがかった白で、瞳の色は空よりも青いらしい。

 蒼逢(そうあ)を背中の鞄に振ら下げたチェイチェイは、浮かない顔で王宮敷地内に入って、自分の職場の調理師仲間に旅先での仕入れ先リストなんかを渡してから宿舎に帰った。それから王の謁見に備えて身支度をしたそうだ。

 蒼逢(そうあ)はそれにずっとくっついてたって言うからチェイチェイは子供好きでもあり子供に好かれる奴だったんだな。


 王に会うのに正装をして謁見の間に向かったそうだ。

 

 王の名前は「鳳零凰(ほうれいおう)」、真っ赤な艶のある髪で、長さは腰くらいまであって宝石をいくつか耳元の髪に結いこんであった。赤や黄色の着物の様な羽織を着ていたらしくて、その煌びやかな見た目に負けない金色の瞳があると言っていた。

 冷酷無残な王だと他国からは思われていたそうだ。自分の意にそぐわない行動をしたものは謁見の場で即座に首を切る、自国に従わない国は潰す、それが鳳零王(ほうれいおう)だった。

この時のチェイチェイはおそらく朱殷(しゅあん)族を逃がした罪で首を切られると思っていたんだろうな。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ