0-1 決心
あらすじは、この小説の中心部分のみを表しています。
最初は太郎のある出来事から始まります。
『キモ!』
その言葉を言われたとたん、絶望に満ち溢れた・・・
この出来事の始まりは約2年ほど前だろうか。
無野太郎は、小学生2年生の時から思いを寄せていた少女がいた。
有田ゆきだ。ケースに入れて置きたいぐらいの小さな体に、円らな瞳。
太郎はゆきに話しかけたいと思っていた。
しかし、弱気で消極的な太郎はまともに話すことが出来ない。
でもその時は"いつか"思いを伝えて、付き合いたいと思っていた。
小学5年生の時にはこんな事があった。
クラスの皆とドッチボールをしていた。
もちろん、太郎は苦手なもんだから、逃げてばかりいた。
休み時間終了を知らせるチャイムが鳴ったとき、ゆきは太郎を目掛けてボールを投げる。
太郎は気を緩めたのか、アゴにボールが当たった。
ゆきに当てられても、太郎は自分が弱いから気にしてはいなかった。
しかし、ゆきは心配であった。謝らなければと思っていた。
教室に戻ってからゆきは素直に、
「ごめんね。痛くない?大丈夫?」 と心配して問いかける。太郎は、
「うん。大丈夫。」と普通に答える。
しかしその後も何度も何度も心配して謝る。
太郎は、心配する彼女を見てすごく可愛く感じられた。
優しく接してもらっているのが嬉しくてたまらなかった。
時は経ち、小学6年生。
太郎とゆきはクラスが離れてしまった。
だが、少ししか太郎は悲しまなかった。
今までに何回かクラスが離れたことがあるからだ。
しばらくはゆきと関わりはなかった・・・
そしてその事件の始まりが訪れる。
何を思ったのか、太郎はチャットを始めた。
何の理由もなしに。
しかし、チャットを始めた時に、ある人にこんな事を聞いてみたくなった。
「好きな人に思いを伝えたい。どうしたらいいのか。」と。
早速、太郎はある人に聞いてみた。すると相手は、すぐに
「手紙がいいんじゃない?携帯持ってなかったら。」
太郎は手紙という方法を選び思いを伝える事を決心する・・・