4 村長とザルガ
俺とおっさんが歩いている周りを村民が取り囲むように見ている。荒野が続いてるって言ってたし、よそ者なんて滅多に来ないんだろうなぁ・・・。
村長良い人だといいけど、労働とか言ってたからいきなり殺されるって事はなさそうだ。
男や村の中を観察しながら冷静に考える。そしてこっそり男のステータスを除き見た。
【ザルガ 20歳】
レベル15
体力レベル 10
筋力レベル 15
身長 186
体重 90
魔力 才能無し
ケラン村の護衛の様な事をしている。
村長の次に偉く、実質ナンバー2だが知性が低いので村長候補からは外れている。
情に厚く仲間思い。
ティナに好意を寄せている。
趣味 体を鍛える。
特技 体を鍛える。
う~む。
やっぱり予想通り悪い奴じゃなさそうだけど、知性が低いってサーチアイの説明ちょっと酷い。
しかも好きな人まで出ちゃったよ・・・。
それにまさかの年下!何度も心の中でおっさん連呼しちゃったじゃねえか・・・ごめん若人よ。
「ここだ、礼儀正しくしろよ?」
そう言うと、ザルガは戸を開けて村の中でも一番大きな木作りの家に入っていった。
あわてて俺も後をついて行く。
「村長、どうやらこの男、荒野の外から来た旅人のようだ。物取りにでもあったのか何も覚えてないんだと」
そう言いながら俺を親指で指すザルガ。おい、礼儀正しさはどこに行った。
村長は麻でできた様な服を着たいかにもな老人で、村長というより長老といった雰囲気だった。
そして彼はすまなそうな顔をしながらこう言った。
「そうか・・・旅の方、ここは見て分かるように貧しい村だ、記憶を無くしたのは不憫だが君の面倒を見てやる事は出来んのだ・・・」
「はい・・・」
まあ当然だよね、突然現れた素性が分からない男をタダで養う人なんて普通はいない。
「しかし、この荒野に放り出すほど私たちも非情ではない、君がこの村で働いてくれるなら寝床とその日の食料とくらいは用意しよう、もっとも少ない量だがな」
「あ、ありがとうございます!」
まさかの滞在許可が出た。
よかった!とりあえずメシと寝床は確保できそうだ。
「おう!お前よかったな~!」
そう言うとザルガが背中をバシバシと叩く。
かなり痛いがここは我慢だ。
「う、うん、ありがとう・・・」
「んじゃ!俺んち来いよ!しばらく面倒みてやるぜ!」
「俺は よろしくな、ザルガ」
「ん?俺お前に名前教えたか?」
やべ!勝手にステータス見たとは言えない!
「や、やだな~さっき教えてくれただろ~?」
「ん?そうだったか~?ま、細けえ事は気にすんな!がはは!」
おいおい、大丈夫かよ・・・。
そんな訳で俺はしばらくザルガの世話になる事になるのだった。