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3つの王のしるし  作者: わだん
森の生活
1/23

プロローグ ー大鳥ー

初投稿。

お見苦しいかと思いますが、よろしくお願いします。

よく晴れた昼。大きな鳥が飛んでいる。


両手を広げた大人が5、6人連なれるほどに大きい翼を広げた大鳥は、羽ばたきを少なくして飛ぶ。その姿は圧巻である。


雪は1週間前に止んだばかりだった。冷たい空気は未だに大気を塵を凍らせ透明にしているので、下から見ると宇宙の色も見えるかのような真っ青な空に、冬毛の鳥はくっきりと浮かびあがっている。


鳥は優雅に飛んでいた。殊更に優雅に。その佇まいは嫌味に見れるほどに美しい。

動作はゆっくりだがそのスピードは早い。なので過ぎ行く空気はより冷たく外側の羽毛を冷やした。

大鳥は無意識に鈎爪の足に力をいれる。まるで寒さを耐えれるように隙間を埋めるように。


だが、大鳥は思っている。冬はおわった、と。雪は止んだのだから、と。

まだ森深くでは雪も厚く残っていたが、大鳥はそれを無視した。

淡さが薄れつつある光を背中に浴び、鳥は春の気配だけを感じることにして飛んでいる。


今年の冬は去年より寒い日が多かったように感じた。

それでも過ごしやすかったとおもう。それは去年より体が成長したからかと思うが、去年と違うといえば仲間と過ごしたということも違った。

鳥はあまり群れることはない種別だ。まだ若い鳥であれば親兄弟と数年過ごすが、この大鳥の親鳥は早いうちに死んでしまったようで、鳥の記憶に無かった。


しかし、今年は冬に入る少し前に仲間が巣にやって来た。

親兄弟でもなく、ましてやつがいでもないーまだ探す時期ではないー。役に立つでもなく、自然の連鎖のなかで鳥の上位にいる者でもなく、かなり下位になる。

小さきものではあるが口が増えれば、自身の食糧も減った。分け合えるはずの温もりも毛の少ないものとであれば、ただ与えるだけだった。


それなのに、今年の冬は過ごしやすかったとやはり思う。

不安に凍える夜は無く。寒かろうが朝がくるというなぜか絶対的な安心感がいつも心に満ちていた。


きっと自分は成長したのだ。


そう思った鳥は自信をもった。そして厳しい冬をこんな気持ちで越えられた事に誇らしさを感じていた。

小さくだが確かに出来た余裕は、小さき仲間を守れる喜びにも繋がっている事に気づく。


そこまで考えたとき、鳥はなにかを振り払うかのように一つ羽ばたいた。


鳥は西に向かっていた。少し南に目をやると巨大な木が群生する場所が見えた。

この木はこの森には珍しくないが、一箇所に10本以上集まる珍しい場所だった。

少し目線を遠くまでむけると点々と森の木々から突き抜けた巨木が見える。大鳥には枝一本でも安心して止まれる数少ない種類の木だ。もう少し増えても良いのだが、森の意思なのか、爆発的に増えることはない。この巨木が群生する場所は鳥から見るとよほど珍しく感じるが、地上の生物には然して違いがないのかもしれない。


この場所にはしばしば羽を休める為に寄るが、今日はこの先に用があるのでただ見るにとどめる。

いや、些細な用途に思い当たり、そこで一回二回と旋回した。


さらに西に飛んだところに白い湯気が上がっていた。地表に沸いたお湯がでる所があるのだ。盛大な湯気は、まだまだ空気が冷えている証にも見えた。


その湯気から少し離れた場所ー大鳥であれば数秒で着く場所ーに目的の場所が見えてくる。この森のなかでも大きめの池だった。水性の肉食獣が居ないことを知っていた。居たとしてもまだ冬眠しているだろう。

空の色を映して澄んでいるが、底が深い所は暗く見える。

池に注ぐいく筋かの小川は、きっと森の途中で見た雪解け水を運ぶのだろうか。


自身の水浴びにはちと厳しいのだが。


ホロロォーオォ


大鳥は喉の奥から穏やかな声を出し、締めていた鈎爪を開いた。


目に留めていただけて嬉しいです。有り難うございます。

更新は遅いと思いますが頑張ります。

次は主人公出します。

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