プロローグ・2
バクは、昔から人間に
『悪い夢をたべてくれる動物』
と言われていました。
その言葉通りバクは、悪い夢を食べます。
バクは、人間の悪い夢をたべ、未来を夢で視ます。
だから、バクの職業は『夢見師』といわれます。
そんなバクは最近、夢を視ました。
人間のたくさんある国の中でも、小さな、小さなラスナ王国の滅びる夢を・・・・・・
みんなは知りたがっていました。
バクが夢を視間違える事はないけれど・・・・・・
ラスナ王国は なんで 滅びるの????
コトリは少しだけ目を閉じました。
コトリは目を開きました。
コトリの目の前には、コトリの語りを待つ動物がいます。
それも、たくさん・・・・・・
コトリは語ることにしました。
―――ラスナ王国
この国は数ある人間の国の中でも、小さな、小さな国です。
そんなラスナ王国には、国の心とも、象徴ともいえる者がいます。
その者は、普段はこうよばれています。
『歌姫』と・・・・・・
「歌姫ってナニするのー?」
小鹿のカノゥがコトリに聞きました。
コトリは歌うように答えました。
ごぞんじのとおり、ラスナ王国は建国守護神の月のディジュ神を定めています。ディジュ神は歌がお好きで、天へ帰る時、ラスナ王国の守護の要を歌にしたほどでした。
『この国に歌、続けば永遠なり』
だから、ラスナ王国では何十年かに一度、歌の徴をもつ者が生まれるのです。
歌の徴|《黒い円(新月)に涙のような痣》右腕の二の腕にもつから、歌姫
歌姫は月に一度、新月の夜に歌うのです。
月が隠れて、ラスナ王国の場所がわからないディジュ神に
『ここです ラスナ王国はここです』
とラスナ王国の場所を歌うのです。
さて、ラスナ王国滅亡時の歌姫はまだまだ若い少女でした。
少女の名はヘキといいました・・・・・・