2-1
2章入ります!
ラグナ、イクト、ティアーナは学園をやめた事は光の速さで生徒中に伝わった。
彼らを目標にしてた者は落ち込み、彼らの存在を妬んでいた者は歓喜した。
そして、教師陣は…
「クソッ!これを機に我が学園の卒業者に彼らの名前を出し更に学園を大きくしようと思ったのに!」
「畜生!史上初の全試験満点の天才を宮廷魔導師団にしようと思ってたのに!」
自分の後の計画が一気に崩れ去っていた。
そして、当の本人、ラグナ達は…
「ずいぶんと飛ばされたもんだ…」
フリーダンジョンと呼ばれる、誰も所有者が居なく、入るのもダンジョンカードが必要なハンニダンジョンにいた。
その時、好奇心から強制転移装置に引っかかり、ラグナだけ別の所に飛ばされていた。
「もーなるべく使わないようにしてたんだがなぁ…」
「…魔法作成完了、魔法名:念話」
念話を使ってイクトに話しかけていた。
(おい、イクト聞こえるか?)
(ラグナか?後で聞きたいことが沢山あるからとりあえず合流するぞ)
(それ俺も言おうと思ってた)
(まぁハンニダンジョン50階層で待ち合わせな。)
(イクト、俺は今84階層に飛ばされてるんだが。)
(ずいぶんと遠くに飛んだな。お前)
(あぁ、想定外だ。)
(とりあえず急いで来い。)
(了解。)
「…っとその前にこれをどうするか。」
目の前にはノルン王国皇太子、バルドの姿があった。しかも相当な重症だ。腹は抉れ、虫の息だ。
「なんか面倒事の予感がするが…」
「…魔法作成完了、魔法名:治癒魔法MAX」
「んーっと…ふん!」
今思い付く最高の治癒魔法、フルリカバリーを使用した。
抉れた腹は完全に修復され、虫の息だったのが安らかな寝息になったのを確認して転移で55階層まで行き、そのまま50階層まで行った。
「あれ皇太子様じゃねぇか?」
「あぁ…違いない。」
「なんでこんな所に…?」
案の定ざわざわと騒がさくなった。
「おい、ラグナ、聞きたいことがまた増えたぞ。」
「後でゆっくり話し合おう。それよりこの皇太子が目を覚ますまで待って話を聞こう。」
「…賛成。」
「よし、そうだな。」
その5分後、バルドは目を覚ました。
「…ここはどこだい?」
「ここはハンニダンジョン50階層だ。」
「傷口が…消えてる!?あれは治癒魔法があったとしてもほぼ冒険者として復帰出来ないほどの重症だったはず…」
「絶対に誰にも言わないなら教えてやるよ。」
「そうか…つまり君が助けてくれたんだね?」
「実際お前84階層に倒れていたぞ。お前を背負って行くのはとても疲れたんだが。」
「すまなかった。そして、助けてくれた事、怪我を治してくれた事を感謝する。」
「あぁ、気にするな。」
「そして、出来たら僕の腹の怪我をどうやって治したのか教えて貰っていいかな?」
「あぁ、単純明快だ。フルリカバリーを使ったのさ。」
「…!?あれは宮廷魔術師が5人揃ってやっと1人掛けられる魔法だぞ?1人で出来るはずがない!」
「これを感じてもか?」
俺はリミッター解除し、全力で魔力を放出した。
外では人が倒れる音が聞こえ、バルドは真っ青な顔をして震えていた。
「あ、あぁ…納得した。」
その瞬間、放出した魔力を消し、再度リミッターをかけた。
「なぜ君程の力を持った人がダンジョンに?君くらいなら宮廷魔術師どころか即団長にもなれるよ?」
「そんな物に興味は無いし、第一俺は剣士だ。」
バルドの顔が再度青くなった。
「信じられねぇだろ?これで剣の実力も俺より上なんだぜ?」
「イクトか。余計な事を言うな。」
「イクト君と言ったか、私と手合わせ願えないだろうか?」
「なぜ?」
「私はラグナ君の実力は魔力でしかわからない。」
「なるほど、剣の実力もどれ位か体験してみたいってことね。でもそしたらラグナと直接やればいいじゃないか?」
「生憎、僕は慎重でね。ラグナ君より弱いと言われた君と戦ってみたいんだ。」
「…わかった。」
その瞬間、2人の雰囲気が変わった。
「怪我を防ぐために、木刀でやってもらう。異存はないか?」
「あぁ」
「はい」
「それでは行くぞ。始め!」
実際、勝負は一瞬で着いた。
イクトの喉元にある筈のバルドの剣先は消え、イクトの後方に転がっている。
そして、バルドの喉元にはイクトの木刀の剣先が突きつけられていた。
「…驚きだ。あんな短時間で僕の剣に5発を叩き込んで剣先をへし折り僕の喉元にも剣先を突きつけるなんて。そして何より、あの気迫と闘士。君はもう剣聖の域にいるよ。」
「一般的に見たらそうかもしれねぇが、俺はラグナより弱く、女のティアーナとも互角に渡り合って勝率は五分ってところだ。俺もまだまだだよ。」
「僕はこう見えてもSランク冒険者なんだけどな…そんな事言われたら自信が無くなるよ。」
その時、3人はこれでSランク冒険者なのかと驚いた。
「とりあえず、僕は失礼してノルン王国に帰るよ。くれぐれも僕が重症だったと言う事は伏せて置いてね。頼むよ!」
そう言ってバルドは去っていった。
「さて、話をするか。まず、あの俺の頭に直接語りかけてくるのはなんだ?」
「念話と言う魔法だ。」
「じゃあ次、何故気付いていたのに転移装置に引っ掛かった?」
「…好奇心だ。」
「よし、ティアーナ、ラグナに拳骨していいぞ。」
その瞬間、頭にものすごい衝撃が来た。ティアーナに拳骨されたのだ。
普通女の子はこんな強い拳骨しないよね…
「なんか悪口言われてた気がするから」
…痛っ。また拳骨された。
「後あの皇太子の件も聞こうと思ったが、会話で大体把握した。」
「よし!」
「いやよしじゃねぇからな?次好奇心とか言ってどっか行ったらティアーナの拳骨10回だからな。」
「それだけは勘弁してください」
「無理。お前が勝手な行動しなければいい話だからな!」
「…はい。」
「よし、じゃあこのまま探索を続けるか。」
そう言って、行こうとした時に興味深い話を聞いた。
「おい…聞いたか?ここのダンジョンマスターが現れたらしいぞ…」
「あぁ…しかもとてつもなく強いらしいな…」
よし、ダンジョンマスターの所行こう。決定。
イクトとティアーナも賛成し、ダンジョンマスターを探しに行く事にした。
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