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魔導伝ー神が覗く物語ー  作者: 虎寅
第二章 浮遊都市国家エデン
27/60

これから

あれから三年と少しの時が流れた。

シン、十四歳


シンは他四人に教えれそうな魔法をほとんど教え、二番塔での読書を終えて、更に、三番塔、四番塔の書物にも手を出し、今は気の向くままに毎日本漬けの生活をしている。


ファルナは最初こそシンにぴったりとくっついて行動していたが、今では自分で読みたい本を探し、一日を好きに生活している。

あと、魔力、体力、筋力と正常に戻ったファルナはとても別嬪さんだった。


エルディオはだいぶ魔力を増加させ、使える魔法の種類も増やした。

その勢いは物凄く、今ではフイスとの実力差がはっきりと表れてしまっている。


フイスも同様の特訓をして、エルディオ程ではないが魔力は増加している。

基礎魔法、応用魔法、発展魔法においては結局エルディオより精密な使用が出来る。


ルイスはその才能を存分に発揮し、攻撃系統以外の魔法をばんばん習得していった。

何故か攻撃系統の魔法だけは習得に異常に手間取ってしまうのだが、治癒魔法に関しては専門家であるリービアに迫る勢いだ。


そんなある日、朝食を終え、いつも通り本を読んでいると脳内にアルフレッドの声がする。


「シン、エルディオ、ファルナ、儂の部屋に来てくれるかの」


突然の呼び出しに何事かと思い、二十階にあるアルフレッドの部屋まで飛んでいく。


部屋に三人がそろうとアルフレッドは話を切り出した。


「三人とも、そろそろ立派な大人じゃ、というわけで、そろそろ部屋から出てもらうことになる。そこで三人に聞きたいのじゃが、塔の外に家を建ててこの島に残るか、この島を出るか決めてくれるかの」


アルフレッドの問いを聞いて三人が考え込む。


「別に今すぐ決めろとは言わんよ、それでも出来るだけ早く決めといてもらえるとありがたいかの。それと、どっちにしてもこの本は役に立つじゃろうから読んでおくといい」


そう言ってアルフレッドが渡したのは建築に関する本だった。


三人で部屋を出ると、早速ファルナが訊ねてくる。


「シンはどうするつもり?」

「うーん、そうだなあ、一応島を出る予定かな」

「じゃあ付いてく」


シンが出ていく予定であることを伝えると、即決で付いて行くと言う。

シンも特に否定することはしない。


シンがファルナとの婚約を認めているのは単純にシンの生まれた場所では許嫁という形で婚約しているのが当たり前だったからだ。

それに可愛い子が傍にいて嫌な気はしない。


とりあえず、渡された本を読むために自室に戻ることにした。



 ✩ ✩ ✩ ✩ ✩



昼になって昼食を摂りに食堂に向かう。

アルフレッドと子供五人で食事をしていると、フイスが聞いてくる。


「さっき、アルフレッドさんの部屋で何を話してたの?」


フイスは既に魔力を感じ取れるようになった為、三人がアルフレッドの部屋に行ったのを感じ取っていた。

その質問に答えたのはアルフレッドだった。


「ふぉっふぉっふぉっ。これからについてじゃよ」

「ここに残るか、出てくかだね」


シンが補足する。


「あー、なるほど」

「え!? シンさん達いなくなっちゃうですか!?」


納得した表情のフイスと驚くルイス。


「まあそうなるかな」


シンが出ていく予定を告げると、フイスの顔が陰り、ルイスは寂しそうな顔をする。

エルディオも何かを考え込む。


「ふぉっふぉっふぉっ。出ていくにしても儂に一言かけてからにしておくれよ。急にいなくなられては心配になるからの」


アルフレッドだけはこの答えを予想していた為、飄々としている。

してはいるが、少しだけ顔が陰った気がした。


「じゃあ、ファルナも行っちゃうのね? エルディオは?」

「考えとく」


フイスがファルナ、エルディオにも訊ねる。

ファルナは頷いて肯定する。

エルディオはまだ迷っているようだった。



 ✩ ✩ ✩ ✩ ✩



結局そのまま何をするでもなく時は過ぎていく。

アルフレッドから渡された本は三日もしないうちに読み終わった。

今はまた塔に並んでいる書物を読み漁っている。


シンが本を読んでいると、突然右手首に光の痣が現れる。

シンは手首を軽く振ってその痣を消すと、周囲に置いておいた本を棚に戻していく。

全て戻し終えると、部屋を出て、まずファルナに念話を送る。


『ファルナ、もう行くけど、ほんとについて来るの?』

『当然。ちょっと待ってて』


すぐに返事が返ってくる。

暫らく待っていると本を戻し終えたファルナがやってくる。


二人でアルフレッドの部屋に向かう。

ドアをノックして中に入る。


アルフレッドはいつものニコニコと明るい笑みを浮かべて迎える。


「もう行くのかね?」

「はい。お世話になりました」

「お世話になりました」


簡潔に謝礼を述べる。

ファルナも謝礼を述べ、お辞儀をする。


「うむ。気を付けてな。いつでも戻ってくるんじゃぞ」


短いやり取りの後、部屋を出る。

そこにはエルディオ、フイス、ルイスの三人が待っていた。


「行くのか?」

「ああ」

「また、会えますよね?」

「心配ない。また会える」

「これ、餞別ね。私たちからと、シェンさんからと、リービアさんから」


短いやり取りの後、フイスから餞別を受け取る。

渡されたのは食品と薬品だった。


「ありがとう。それじゃあもう行くよ」


お礼を言うと、シンはファルナに手を伸ばす。

ファルナが捕まったのを確認して、転移魔法を使う。


淡い光が体を包み、次の瞬間には姿を消す。

こうしてシンはファルナを連れて浮遊都市国家エデンを後にした。

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