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魔導伝ー神が覗く物語ー  作者: 虎寅
第二章 浮遊都市国家エデン
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指導継続

特訓を始めてから三時間半、ここまで、魔法を使う上での基礎から教えることになった為、とても時間を使ってしまった。

ルイスも二つの異なる魔力制御が何とかできるようになった為、三人揃って次に移れる。


今から教えるのは飛翔魔法を使う上での基本的な魔力の使い方の様な物で、これができるようにならないと危険なため飛翔魔法は教えられない。

シンはその内容を伝える。


「次にやる内容ですが、制限時間以内にこの森を抜けてもらいます。ルールは三つ、一つは風魔法を発動させて僕が創り出す向かい風を打ち消して下さい。二つは僕が使う魔法に捕まらないこと。森を抜けるまでに僕が上から魔法を使って捕まえますので、それに捕まらないで下さい。普通に避けてもいいですし、魔法で吹き飛ばしても構いません。最後に、制限時間は三十分です」


ルールを簡潔に伝えると早速やってみることにする。


「実際にやってみれば早いですね。これをクリアできないと飛翔魔法は教えられませんので。それでは、よーい、ドン」


開始の合図をして、シンは森の上空に飛ぶ。

三人は早速シンが創り出した強風を打ち消しながら走り出す。



 ◇ルイスの場合◇

シンの合図と共に森に向かって走り出す。

正面から強烈な風が吹き付けるのを風魔法を使って相殺する。

同時に身体強化の魔法を使う。

さっきまでの特訓のおかげで、何とか発動できるようになった。


森に入ると周囲の木がその枝を伸ばしてくる。

シンの魔法で動いているのだろう。

これに捕まったら失格だ。

身体強化を強め捕まえようとしてくる枝を避ける。


直後、強風で体が後ろに飛ばされる。


「ルイスさん、失格」

「ふぇ~」


上からシンの声が聞こえる。



 ◇エルディオの場合◇

シンの合図と共に森に向かって駆けだす。

打ち付けてくる強風を風魔法で相殺する。

加えて身体強化をして加速する。


(既に三つ同時に発動できるからな、これくらい)


余裕を持って森の中を駆け抜ける。

森に入るとすぐに木の枝が伸びてくるが、両手に剣を具現化して切り落としていく。


上からシンの声がして、ルイスに失格を告げていた。

その声を聴いて気を引き締める。

森がどれ程の広さか分からないため、クリアするのに足を止めている余裕はない。


突如、前方の土が勢い良く盛り上がり土壁を作る。

エルディオは機敏に反応して、土壁が高くなる前にその上を跳び越す。

身体強化をしてあるため、二メートルに届かないくらいの土壁は余裕で飛び越えられる。


だが、飛び越えた先ではたくさんの枝が待ち構えていた。


「クッ」


枝を切り飛ばそうと両手の剣を振るうが、圧倒的に枝が多い。

結局地面に足を着けれずに枝に捕まってしまう。


「エルディオ、失格」


上からシンの声が聞こえ、悔し気に顔を顰める。



 ◇フイスの場合◇

シンの合図と共に森に向かって走り出す。

風魔法の発動、身体強化も掛ける。


走りながら伸びてくる枝を風の斬撃で落としていく。


(追い風を創りながら、身体強化を使って、更に斬撃、意外としんどいわね)


そんなことを思いながらも進み続ける。

上からシンの声が聞こえ、ルイスが失格になったと告げるが、そちらを気に掛ける余裕はない。


更に進んでいると不意に地面が盛り上がり、土壁を作る。


(無論、正面突破よ)


フイスは強化した体で土壁を飛び越える。

その先にはたくさんの木が枝を伸ばして待ち構えていた。


(不覚、迂回が正解か。でも、)


フイスは風の斬撃を打ち込む。

結構魔力を使ったが、全て切り落とすことに成功する。


シンがエルディオの失格を告げる。


(ふっ、だらしないわね)


最近フイスを上回ることの多いエルディオが先に脱落したのを聞き、口元が緩む。

そのまま着地する。


すると、切り落とした枝が飛んできてルイスの体に巻き付く。


「!!?」


三本ほどの枝がフイスの体の自由を奪う。

両足を一緒に取られ、バランスを崩して転ぶ。


「フイスさん、失格。一度開始地点まで戻って」


上からシンの声がする。

直後拘束がほどける。

シンが上から降りてきて声をかける。


「怪我はない?」

「ええ、大丈夫、転んだだけよ」


返事を返し、開始地点に向かう。

シンが先に飛んでいき上空で目印となっている為森の中で迷うことはない。



全員が戻ってきたところで声をかける。


「まず、あれだね、風魔法は飛翔魔法の基礎だから怠らないように。言ったと思うけど、意識してやることを無意識にやることを目標にしてるから、風魔法の発動が自然とできるようになってもらいたい。身体強化みたいになんとなく使えるようにならないと、飛翔魔法が使えないからね」


シンとしては、飛翔魔法を使うのに呼吸をするような自然さが必要だと考えている。

そのためには、自然と魔力を動かせるようにならないといけない。


その後、休憩を挟んでから再び始める。

しかし、その日は誰もクリアすることなく夕食の時間になり、切り上げることにした。


部屋を出ると丁度アルフレッドが降りてきた。


「今日の特訓は終わりかの? 丁度夕食の時間になったとこじゃよ」


夕食の時間になったから呼びに来たのだ。

食堂に向かいながら今日の成果を聞いてくる。


「ふぉっふぉっふぉっ。それで、飛べるようにはなったのかの?」

「よく言いますよ。基礎から始めて終わるわけないじゃないですか」


答えの判り切った質問をするアルフレッドに苦笑いを浮かべて答える。


「ふぉっふぉっふぉっ。まあそうであろうな。して、誰が一番早く習得できそうかの?」

「それは、やはりルイスさんですね。今でこそ魔力制御に苦戦していますが、コツさえつかめばすぐでしょう」

「うむ、やはりか」


シンに分かることがアルフレッドに分からないとは考えにくい。

シンの返答も予想の範囲内といった感じだ。


シンとアルフレッドの会話を聞いて、エルディオとフイスが複雑な顔をするが、口は出してこない。

ルイスは疲れたのか眠そうにしており、話を聞いてはいなかった。


食堂に入ると、いつも以上の人がいて、賑わっていた。


「あの、これは?」


エルディオ、フイスも驚いていることから、非常に珍しいことだと判断し、アルフレッドに訊ねる。


「うむ、良い食材が採れたから皆で食べようといった感じじゃの」


厨房ではシェンの魔法ではなく、いつもは見かけない女性の魔導師が動き回っていた。

そして、シンはもう一つ、あることに気付いた。


「魔導師じゃない人もいるんですね」


魔力を全然持たない人がちらほら雑ざっているのが見て取れた。


「魔導師を妻や夫に持つ者じゃな。彼らは立ち入りを許可しておる。ここには魔物の脅威がないからの、連れてきたいと言う者が多かったのじゃ」

「なるほど、それで他にも子供がいるんですね」


家族で住み込んでいるから当然子供もいる。

食堂にはシンたちの他に、二人の男の子と三人の女の子がいた。

しかし、彼らから強い魔力は感じない。

五人とも魔導師ではないということだ。


「この島はあくまでも魔導師の為の島じゃ。あの子たちには成人したらこの島を出て行ってもらわねばならん」


そう言うアルフレッドの顔には悲し気な表情が浮かんでいた。


「そんなしんみりした空気出してないで、今日は御馳走なんだから楽しみましょう」


明るい声で後ろから声をかけてきたのはリービアだった。

そこでさらに、シェンが厨房から声をかけた。


「飯ができたぞ。子供から順に並べ~」

「ほら、いってらっしゃい」


シンとしては何故子供からなのか理解できないが、リービアに急かされ、周りを気にした様子もなく歩き出したエルディオの後を追う。


「熱いから気を付けてね」


渡された料理は鍋だった。


いつもの席に座り、先に頂くことにする。

鍋の蓋を取ると、そこにはイカを始めとする海の幸と、大量の野菜がぎっしりと詰まっている。


「「「「頂きます」」」」


早速イカから食べてみる。


「おおっ! 美味い」

「むっ! 凄いな」

「何このイカ!、美味しすぎる!」

「ん~」


シン、エルディオ、フイス、ルイスとそれぞれイカの美味しさに驚く。

その様子を見て、一部の魔導師がガッツポーズをしている。


まあ、他にもいろいろあったが、シェンの宣言通り美味しい食事が食べれたというわけだ。



 ✩ ✩ ✩ ✩ ✩



翌日、いつも通りの時間に起床したシンは、いつもなら朝食の時間まで二番塔に行くところだが、今日は中央塔である本を探すことにした。

だが、なかなかシンが意図する本は見つからない。


朝食の時間になると、上から三人が降りてくる。

シンは合流して食堂に向かう。

途中でアルフレッドが飛翔魔法で降りてきて合流するのはいつものことなのだろう。


朝食は昨日の夕食程豪勢ではないが、イカと野菜が使われており、非常に美味だった。


「おい、」

「特訓は午後からな」


食事中エルディオが何か言おうとしたところで、先手を取って遮る。

すると、エルディオは食事に戻る。

どうやら当たりのようだ。


食事を終えると、シンは本探しを続ける。

次の特訓で覚えてもらう魔法についての本である。

しかし、参考書として役立ちそうなものはなかなか見つからず、昼になってしまう。


食堂で昼食をとり、エルディオ、フイス、ルイスと共に地下の魔法特訓部屋に向かう。

アルフレッド曰く、「シンは既に時空魔法が使えるから儂の許可なくても使ってよいぞ」とのことだ。


しかし、昨日の今日ですぐに上達するようなこともなく、夕食までひたすら繰り返したが、誰もクリアできなかった。


そんな日が更に二日ほど続き、三日目にしてようやくシンは目的を果たせそうな本を見つけた。

シンとしてはもう次の特訓の準備ができたのだが、多少進めるようになったものの三人とも未だにクリアできそうな気配はなかった。



 ✩ ✩ ✩ ✩ ✩



更に四日が経過、ようやく最初の一人がクリアした。


本を見つけてからは午前中は二番塔に籠って医学の本を読み、午後から指導をしていた。

いつも通りの設定で森を創り出し、特訓を開始する。


最初のクリア者はエルディオだった。

開始と同時に風魔法、身体強化魔法を発動。

更に両手に剣を具現化する。


これで三つ同時発動だ。

だが、ここまでの特訓でエルディオはもっと精度を上げていた。

四つ目の魔法、加速を発動させる。


速度を上げることで正面から当たる風が強くなるが、風魔法の威力を上げることで相殺する。


伸びてくる木の枝は全てを切るようなことはしなくなった。

それよりも加速と身体強化で避けることに専念する。


途中で出てきた土壁は迂回して避ける。

飛翔魔法の為の訓練のはずだが、地面から足を放すと逃げれない可能性が高い為、エルディオは出来るだけ跳ばないようにしている。


走って行くと途中に川がある。

ここでシンの繰り出す魔法を避けるのは至難の業であった。

何度も同じやり方で捕まって失格になったが、なんとか攻略できるようになった。


まず、川に橋は掛かっていないため、超えるには水の中を進むか跳び越える必要がある。

水に触れたら捕まってしまったので、結局跳び越えるしかなかったわけだが、高く跳んだら向こう岸が動いて木の中に落ちることになり、そのまま捕まってしまった。


速さを重視して低く跳んだら、水柱が上がって捕まってしまった。


それらを回避するためにエルディオが用意したのは、木版の具現化だ。

水柱を察知したら足元に木版を具現化して足場にする。


僅かに上に打ち上げられるが、高く飛ばされる前に木版を蹴って、進む。


その他にもシンはいろいろな魔法を使って捕らえようとしてきたが、何とか全部避けきって森を抜けることに成功した。

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