前書き
新魔道暦九八四年
世界に魔王が現れ魔物が溢れ返ってから約千年、世界は再び発展を遂げ、滅ぶ以前と比べても遜色ない程となっていた。
幾つもの国が存在し、沢山の人がいて、社会が成り立っている。
魔王の出現と同時に各地に発生した魔物が各地の人間を襲いその度多くの犠牲者が出て国が滅んだり衰退したりしていた。
また、そんな時代でも人間族は争いを続けていた。
この世界には魔導師と呼ばれる人達がいる。
彼らは生まれた時から魔素の存在を感じ取り、常人とは比べ物にならないほど膨大な魔力を持ち、成長するに連れてその魔力は増加する。
その圧倒的な才能を生まれ持つ為、人は魔導師を神の子と呼ぶ。
魔導師は生まれた直後に自分の魔力で杖を創り出す。
その杖は魔導師である証であり、魔力の塊であるため、凄まじい汎用性を持っている。
ある程度魔法が使えるようになれば、そこらの魔物などは魔法で殺せるようになるので三つ四つ魔法を覚える頃には自分の生まれた街を出る者は多い。
社会的に魔導師は身分を持たない。
と言うのも、魔導師がその気になれば国一つ消滅させるなんて事はわけないのだ。
はっきり言えば国王より偉い。いや、偉くは無いが意見を通すことなら容易だ。
というのも、生まれながらに魔素とふれあい、膨大な魔力を持つ魔導師は世界に名を轟かせる者が多いからだ。
常人でも訓練すれば魔法を使えるようになり魔術士と呼ばれる。しかし魔導師と魔術士では使う魔法の威力に天地の差がある。
前記の通り、この世界には魔物と呼ばれる存在がいる。
これらの生命体の確認や活動を知ろうとして調べる魔導師もいる。
今まで魔導師や魔術士が研究し社会に発表したことでわかっている事は、魔物は魔石を核とした生命体である。
それぞれ種族ごとに領域を作る。
魔物は活動するのに魔力をエネルギーとして使う。また他の生命体を捕食して魔力を蓄え、蓄えたその魔力でより上位の個体へと進化することがある。
中には自ら魔力を作り、存在するだけで強くなっていくのもいるらしい。
また、所持する魔力はそのまま肉体に表れ同じ魔物でも肉体が大きい方が強いと言われている。
それらから街や民を護る為に兵士がいたり、冒険者がいたりする。
戦争の為でもあるが。
また、魔物から採れる魔石は国や都市が買取り都市を動かすエネルギーに使われる。各都市に一つは存在する、水や光を生み出す魔道具は今から三百年程前に魔導師が創った物だ。
これはそんな世界に生まれた神の子の物語