表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

第1話

【4月15日】


あの惨事の発生から三ヶ月が経った。

都市部の機能は停止。人で溢れていたこの街は今では死人で溢れている。建物は所々欠けていて中には倒壊している物も見受けられる。整備されていた道路はヒビが入り、少し衝撃を加えれば壊れそうだ。

......今の日本は国としての機能を完全に失っていた。

そんな廃れた街の中を、死人の群れの中を走り抜ける一人の男が居た。


「ハァ......ハァ......。全く、嫌になるほど奴等湧いてくるな。まるで蜚蠊じゃないか......」


息を切らしながら物陰に隠れた男、城崎裕也はそう悪態をついて座り込んだ。

城崎はあの最悪の細菌に感染しなかった数少ない生存者の1人である。つい先日までは同じ生き残りの仲間達5人と共に簡易拠点を作り生活していたが、その拠点をゾンビに襲撃され幸か不幸か。1人だけ生き残ったのだ。その後、食料を求めて探索に行ったところでゾンビの群れに遭遇し逃走、今に至る。


「ここも昔は大都市だったんだ、食料があると思っていたんだがな。全く見当たらん。早くしないとこのまま餓死しちまうぞ......」


わざわざ危険を冒してまでここに探索に来たのは、食料がまだ残っていると踏んでの事だった。しかし、店の残骸の中を片っ端から探すが、見つからない。見つけることが出来ない。


「もう既に地上には食料は無い、という事は......。残っているのは下か」


下。地下倉庫の事である。地上には見てわかるようにゾンビが蔓延っている。奴等に食料を丸ごと全部食われてしまったかもしれない。また、それ以前に他の生存者が地上に残っていた食料を食べた、もしくは持っていってしまった可能性もある。

だが、地下なら。地下ならば残っている可能性はある。いつ襲われるか分からない状況下で地下に潜り、食料を持っていく程余裕がある人間が居るとは思えないからだ。中にはその「余裕がある人間」が居るかもしれないが、全て持っていかれるなんてことは無いだろう。そう確信していた。


「そうと決まれば......。ん、あそこの店の地下にならありそうだな」


城崎が選んだのは数ある高層ビルの1つ。昔は巨大なデパートとして機能していたようだ。巨大な店ならば在庫も大量にあるだろうと判断してのこの選択。

果たして吉と出るか、凶と出るか......

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ