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44話 生きている?

「そろそろダニエルに会えますわよね」


リアがシニジアに来てから3ヶ月、さすがにリアがカーターにダニエルの件を尋ねてきた。

外交を担当しているアレキサンダーがどれだけ長くかかっても3ヶ月くらいでマリジアに報告に帰ってきていたので、そろそろ戻ってきているはずであると、リアが思ったためである。


「ダニエルですか、お会いします?」

「いらっしゃるのですか? でしたら早くあわせていただければよろしいですのに」

「すいません、忙しかったもので」

カーターは特に悪びれもせずリアに対応する。



「こちらがダニエルの部屋でございます」

リアはダニエルの家に案内された。城に近いちょっとした館に住んでおり、少ないが使用人を抱えていた。

ダニエルはもともと貴族であったが、リアをシニジアから追い出した2年前の件でやや没落していたため、

カーターの友人ほどは豪邸ではない。


「ごゆっくりどうぞ」

そういってリアを置いてカーターは去る。


「ここにダニエルがいるのですか……」

リアが初めに思ったのは、ダニエルは死んでいて、自分を呼んでだますために生きていると嘘をついた可能性だ。

3ヶ月会わされなかったことで、その疑いが深くあったが、先ほどのカーターの対応は明らかに余裕があったため、そうではないと考えられた。


「あら……」

ふと横を見ると、この屋敷に使える使用人が何人かこちらを恐る恐る見ていた。


この態度はリアがこの屋敷に入ってからずっと同じであり、初めは自分のことを見ているのだと思ったが、そうではない。

使用人たちの目線は、あきらかにドアに向かっている。


「おかしいですわね」

リアはその対応に不審を感じざるを得なかった。


ダニエルは当時貴族と王族として付き合いがあったが、ダニエルは貴族とは思えないほど身分や格差を気にしない性格であった。


多くの貴族がリアや兄2人に媚びる中で、彼だけはまるで友人関係のように人懐っこかった。

リア達にとっては貴重な家族以外で気を使わず話せる友人であり、使用人にも優しい彼にリアは惹かれていたのである。


しかし、その気品のない態度はヘンリーにこそ好かれてはいたが、ライリーはいまひとつの評価で、ライト家自体も冷遇していた。


ライリーがダニエルを殺してしまってもあまり問題が大きくならなかったのは、ライト家にとって彼があまりよい存在ではなかった為である。

ダニエルの名前にリアが反応してしまったことでリアであるとばれてしまったのは、ダニエルの存在そのものが、シニジア内ですら秘匿されていることも大きかった。


ダニエルが当時の性格のままであれば、使用人を非常に大事にしているはずで、あのように恐ろしいものを見るような目でダニエルの部屋を見ることなどないはずなのだ。



コンコン。

「失礼いたしますわ」

リアは疑問を持ちつつも、部屋に入っていった。


「……、やぁ、こんにちは、きみはだれかな?」

目の前にいたのは間違いなくダニエルであった。

「リア……、リア=シニジアですわ」

「リアちゃんかい? ひさしぶりかな。おおきくなったね」

人懐っこい態度、自分を様付けで呼ばない礼儀知らずな態度、間違いなくダニエルであった。


「生きていたんですのね」

「ヘンリーさんに助けてもらったんだ。そのままライリーさんが亡くなるまでヘンリーさんの部下の人にかくまってもらってようやく最近になってまともに外を歩けるようになったんだ」

「そうですのね。体は大丈夫ですの?」

「うん、健康だよ、病気も怪我もまったくしない」

「ちょっと外に出ますわね」


リアは外に出てきた。

「大丈夫ですか! リア様」

部屋を出た瞬間に使用人が心配して声をかける。


「こらこら、感動の再会の後なのに大丈夫とは何事ですか」

カーターがリアに向かっていった使用人に注意する。


「いかがですか、お姉さま」

「確かにダニエルは生きてらしたんですね」

「そうでしょう」

「ダニエルは私が大好きであった当事となにも変わっていらっしゃいませんわ」

「ですね、是非ダニエルとまた仲良くしていただいて、今後もシニジアの復興に協力してください。引き続き会われては?」

「いえ、生きていらっしゃることがわかればいいのです。今日はラムザに仕事も残していますから戻りますわ」



ラムザに戻ったリアは周りに誰もいないことを確認すると、こっそりとコロンとの国境に行く。

カーターを含めて誰も知らないが、コロンとラムザの境は既に見張りも何も無くなっていた。

「リアム様」

「お疲れさんリア。予定通りだね」


リアムがそこにはいた。

今回リアムのたてた作戦通りにこの3ヶ月リアは動いていたのだ。



まず、シニジアの再建を本気でリアに任せた。

このまま放っておくと、シニジアがラムザを管理しきれずにラムザをだめにしてしまう可能性が高かった。

もちろんそうなる前にトラジアと協力してラムザを落とし、管理をトラジアに任せてもよいのだが、カーターが多くの資産化を幹部に選んでしまったことで、資産はかなりあり、いざ戦争となると、長い戦争になり、ラムザを荒らしてしまう危険があった。


それについてどうするか悩んでいたところに今回のカーターからの誘い。これを利用するのが良いとリアムは考えた。

もちろん、リアムに頼り過ぎないように、リアや政務関係者が作戦は考えていた。

リアムはリアに助言だけ行っていたのだ。







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