113話 偶然の運命
「でもリアムさん、間違いなくリアムさんは私の前で消えたよね」
リアムの帰還はうれしいのだが、疑問点が多すぎて安心した後は困惑していた。
「ああ、彼女のおかげだ」
そういって一緒にいた小柄な女性を紹介する。
「パラはいるか?」
「うん、つれてくるね」
「よかったですねススさん。パラが無事みたいで」
そういうと、ススは笑顔でうなづく。
「その人はパラに似てるね。シルフィードなの?」
「ああ、パラの親らしい。少し説明したほうがいいな」
リアムの魂は直撃を避けたため、姿を消されてから再び点滅のような状態になっていた。
しかし、それでも魂はゆっくりと天に召されようとしていた。
そこで、その魂を捕らえたのが、ススであった。
ススは、アリアやディーゼルがリン大陸を離れたころ、ディーゼルにおいていかれたため、ナイリン国に戻って情報を得ようとした。
すると、パラに関係しそうな風が吹いていたため、そちらに向かっていくと、1人の人間の魂にぶつかった。
そして、その魂の持ち主が命がけで自分の娘を助けたことを知り、その恩返しに彼の魂を彼に戻した。
そして、リアムは復活した。
そして、ススをつれてマリン国をあっという間に救い、船に乗ってシニジアに上陸。
ジョシュアの居場所をススに探らせ、ラムザであることを確認し、そのままクレアとハーパーも救い出して、ジョシュアも倒したのである。
「リアムさん、つれてきたよ!」
パラの姿を見せると、ススはすぐによっていき、抱きとめる。
「よし。じゃあ反撃開始といきますか」
「ど、どうした!」
北でも異変が起こっていた。
ゾンビ兵が急に倒れてしまい、数で勝るトラジアに逆に攻め込まれた。
「ゾンビ兵が動かなくなりました。まるで糸が切れたかのように」
「引け! フィージアにいったん戻るぞ!」
フィージアにディーゼルの軍を引かせ、北部の再奪還にも成功した。
「いったい何が」
「ディーゼル殿。ゾンビ兵が使えなくては、また戦力が足りません」
イヴァンがこういっている間も、リアムはフィージアを攻め込む・。
「おひさし振りですディーゼルさん。イヴァンさん」
「リ、リアム! 貴様は死んだはずでは!?」
「ディーゼルさん、あなたが最後までススをこっちに連れてきていたら、俺は死んでいました。ススに助けられました」
「な、なんだと!」
「シニジアはすでにトラジアの兵が完全に侵略しました。後は俺たちがフィージアを落とすだけです。これで終わりですね」
「はぁ、無念だ。ススをおいてきたのがすべての終わりとは」
ディーゼルはあきらめて投降し、イヴァンと共に逮捕され、ずっと慕っていたイサックと同じく拘束されることになった。
こうして第4次ジア戦争は、リアムの力で解決になったのである。