プロローグ ジア大陸戦争とマリジア王国
この世界では領地を争って頻繁に戦争が起こっておりました。
中でもジア大陸のトラジア王国、シニジア王国、マリジア王国、フィージア王国による戦争がここ何年か絶えませんでした。
元々は全てが同盟国でしたがフィージア王国は資源が全くない国で、資源をシニジア王国から輸入しており、借金が多くあったことがはじまりでした。
フィージアは力ずくでシニジアを制圧して資源を得ようとしました。
それにシニジアとトラジアが猛反発したのが初めの戦争でした。(第一次ジア戦争 戦地シニジア)
この戦争はシニジアトラジア連合が勝利。
しかしフィージアは諦めませんでした。
トラジアは平和な国ですがとにかく貿易が上手で、輸出を多くしておりました。
その貿易に使っている船をフィージアが沈没させました。
しかもシニジアから裏切り者を見つけて、シニジア側からやったように見せました。
これにより、シニジアとトラジアが戦争になりました。(第二次ジア戦争 戦地シニジア)
この戦争でフィージアはトラジアに協力し、トラジアはシニジアから賠償金を勝ち取り、資金難に陥ったシニジアは最大の貿易相手であるフィージアに安くものを売らざるを得なくなりました。
人口の多いフィージア王国との貿易ができなくなればシニジアは資金難により滅んでしまう可能性が高かったため、フィージアの要望をある程度通さざるを得なくなりました。
マリジアもトラジアも豊富というわけではありませんが輸入するほどは資源に困っておりませんでしたので、フィージア以外の貿易相手を見つけるとすれば、大陸の外に行って貿易相手を見つけねばなりませんでしたが、2回戦地となったシニジアには、土地の建て直しや治療などでお金が必要だったこともあり、そのような時間や人的余裕がなかったこともフィージアの言うことを聞かざるを得ない理由になりました。
資源を多めに仕入れたフィージアは、満を持して資金力が下がって戦力の落ちたシニジアを攻めようとしましたが、トラジアは邪魔をしました。
トラジアはあくまで平和を望んでいたためです。
シニジアが賠償金を払ったことで、トラジアはシニジアを許していましたし、賠償金によってトラジアはかなり潤沢になっていました。
加えて、軍事のフィージア、資金力のトラジア、資源のシニジアのバランスを崩すことはトラジアは許さず、シニジアと同盟を結びました。
資金力のあるトラジアは長期戦に強く、フィージアはトラジアとは戦いたくありませんでした。
シニジアもフィージアとの貿易により何とかやっていける程度には復活してしまいました。
くしくも、フィージアの作戦により、安くものを手に入れることは出来ましたが、シニジアを落とすのはより難しくなりました。
これで仕方ないからあきらめればよかったのですが、トラジアとシニジアが反抗したのも納得できず、資源を安く手に入れることができてしまったことから、やはり欲が出てしまい、より安く手に入れたいとフィージアの国王は思ってしまいました。
そこでフィージアは中立国のマリジア王国に目をつけました。
マリジア王国は唯一他の3国と隣接している王国だったのです。
マリジア王国以外はそれぞれの国が厳しい山脈によって遮られていたので、戦争をしようとすると、どうしても山越えが必要になり費用がかかるため、中心に位置するマリジア王国を落として拠点にしようとしました。
そうはさせまいとシニジア、トラジアも協力してマリジア王国を攻め始めました。
ただマリジア王国を守ってもずっとフィージアの脅威には侵されるので、マリジア王国を自分達が支配するのがよいとの判断でした。
しかし、マリジア王国と他の3国は確かに隣接していますが、山脈の切れ目による一本道で全て繋がっていたため、進行するにはそこしか通れず、防衛するのは容易で、しかもマリジア王国の首都コロンは、断崖絶壁の頂上に建っており、戦力が多いとはいえませんでしたが、防衛に回れば難攻不落でした。
それでも、他の3国から攻められて戦争の数が多く、予算も人員も少なくなっていきました。
マリジア王国の王ワイアットはこれ以上の長期戦は不可能と考え、短期決着と言う名目の玉砕覚悟で特攻をかけることにしました。
マリジア王国の国民は国民性が高く、他の支配を受けるくらいなら死ぬべきという考えの国民は確かに多かったのですが、それでも多くは度重なる戦争に耐えられず他国に亡命してしまい、決して兵は多いとは言えませんでした。
兵士の中には10歳くらいの子供もおり、まさに国をかけての最後の戦でした。
しかし、やはり数が少ないのは戦争では不利に働きました。
初戦トラジア王国、第2戦目シニジア王国に敗北し、次のフィージア王国との戦に敗北すればマリジア王国は建て直せないところまで追い詰められました。
そして運命のフィージア王国戦。なんと歴史的な大勝。軍事に重きを置いているフィージア王国の敗北は信じられないことでした。
ともあれ、この戦からマリジア王国は息を吹き返し連戦連勝。
この勝利には神が宿ったと言われました。
マリジア王国の生き残った兵士はこう言います。
矢を何発受けても、銃で何回撃たれても倒れず、常に王を守り続けて、適切な指示を出し続けて、相手を倒し続けた一人の兵がいたと。そして、その兵士はまだ子供であったと言われました。(第三次ジア戦争 戦地マリジア)
マリジア王国が戦争に勝利したあとその子供は姿を消しました。
マリジア王国の国民はその子供を神の子として崇めました。
これが今から既に8年前の話です。
当時豪腕を奮って人気のあったワイアットは帰らぬ人となり、残った跡継ぎはドングリの背比べで、決定打がありませんでした。
戦争後もマリジア王国が何とかやっていけたのは、ワイアットの抜群の知恵、勇気、政治力があってこそ。
3つの通路に砦を築き、シニジア、トラジアとの同盟を再び結んで守りを固めました。これではフィージアも攻め込めませんでした。
しかし国王が決まらぬ混乱による不安定をフィージアは見逃しませんでした。
その結果、マリジア王国はフィージアに砦を奪われました。
ワイアットはフィージアを警戒して、その砦に重きをおいて費用をかけていましたがワイアット不在から砦のチェックが甘くなり、あっさりフィージアに攻められました。
それを知ったシニジアトラジア両国は同盟を破棄して攻め込み、砦を奪いました。
ワイアットの死から僅か1年で残るは首都コロンのみとなり、ワイアットが建て直せないと判断した状況になりました。
断崖絶壁の頂上に作られ、周りを高い壁に覆われたコロンの守りは非常に固く、何とか他国を一旦引かせるところまで粘りました。
しかし、周りを完全に囲まれ、物資も調達できず、いずれは勝手に滅びるかコロンを飛び出して戦うしかありませんでした。
他国もそれが分かっているから攻めるのをやめました。
トラジア、シニジア、フィージアが後恐れるとすれば、8年前の奇跡を起こした少年の再来しかありませんでした。
マリジアもそれは分かっていたので、4か国ともそれらしき少年を探しましたが見つかりませんでした。
マリジアには、王国を継いだ長男ノアとその娘ミア。この2人のみがマリジア王国の血を継ぐ王位後継者となりました。
残りの3人の兄弟は戦に倒れました。
この2人がいなくなった時がマリジア王国の滅亡を意味するのです。
これが今行われている第4次ジア戦争です。マリジアを舞台とした今までで最も長い戦争になっています。
2つ目の小説です。
1つ目の『魔法の才能』のために日頃ネタを考えるのですが、そちらでは使い切れないネタをもったいないのでこちらで使います。
そのため、完全に不定期更新になります。
ネタがたまったり、あちらが行き詰ったりしたらこっちを書きますので、よろしければご覧ください。
ちょっと文字数は多めです。
少しだけ修正しました。いきなりすいません。