スキル「労働敗北」=働いたら負け=即死します。
二人と別れてから、所持金を確認する。
最初に持っていた10ルーグに、いまもらった10ルーグ。
いきなり所持金が2倍になった。俺の情報強者のスキルも悪くない。
合わせて20ルーグだから、2000円くらいか。
ん?……2000円?全財産が??
ルーグを日本円換算すると一気に寒く感じる。2000円、って小学生の全財産みたいだ。
……仕事を探さなければ……
ニートらしくない思考が頭をよぎる。
そう思ったとき、自分に、【労働敗北】(お店で労働すると即死、イベント収入は対象外)のスキルがあることを思い出した。
お店で働くと即死……
元の世界でも日ごろから「働いたら負け」と思っていたことを思い出した。
それがこんな形でスキルに反映するとは……
しかし即死は酷くないか?
こうなった以上、冒険者らしくフィールドで戦って金を稼ぐしかない
しかし……雑魚モンスターのバルーンにすら敗北する俺が、いきなり実戦で戦えるだろうか?
バルーンで死にかけた過去の記憶がよみがえる。
駄目だ、絶対に死んでしまう。
特にスキル【弱日光】(晴天時にHPの-50%ペナルティ)はキツイ。ただでさえ最大HPは高くないと思うのに……
あとスキル【弱対光属性】(光属性のダメージ100%増)もだ。
確かに自宅警備士の俺は日光が嫌いだし、リア充達を見るとダメージを受ける闇属性かもしれないが、だからってこんなかたちでスキルに反映するのはひどくないか?
バルーンは弱いが光魔法を使う。フィールドに出れば確実に死ぬ。
ニーアが言う子供でも勝てるモンスターだそうだが、闇属性の俺にとっては天敵だ。
そもそも何でニートは闇属性なんだよ。
途方にくれて、ファーの町をとぼとぼ歩く。
ふと気づくと石壁に囲まれた頑丈そうなお店が目の前にあった。
妖しい、ピンクのネオン(後で知ったが錬金術の一種らしい)みたいなのが光っている。
なんだか18禁の匂いがする。
俺は恐る恐るドアを開けてお店に入った。
読んでいただき、ありがとうございます。
働いたら即死するスキル付きです。
皆さんには無い事を祈ります。
次話は少しだけエッチなお話です。