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自宅警備士、異世界へ ~ 救世主として異世界に召喚されたが、チートな勇者とかじゃなくて、ニートな自宅警備士だった~  作者: sinwa
第2章 闇の真相

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ニーアと獣人狩りと

 地下室からでると、ニーアがガラの悪そうな数人の男性にとりかこまれていた。年齢は全員中年、装備がバラバラな事を考えると傭兵だろう。明らかに絡まれている様だ。


「おいおい、ここはお前ら獣人がウロウロしていい場所じゃなんだよ。主人はどこだ?」


「逃げ出して来た奴隷じゃないのか?捕まえたら、謝礼が貰えるかもな。そのまえに、可愛がってやろうぜ」


 男達は言いたい放題だ。


「おい、ニーアに何か用か?」


「なんだお前は?この獣人の飼い主か?」


 その言い草にムッとしたが、この町ではそう言うことになるな。


「そうだ。俺がニーアの主人だ。何か用か?」


「この獣人の女が、『何で獣人と戦争をするんですか?』なんてとぼけたことを聞いてくるんで、こいつら獣人が人間に何をしたを教えてやってるのさ」


 どうもニーアは俺が沐浴をおこなっている間に『獣人狩り』について聞き込みをしていた様だ。獣人狩りなどと聞いて、いてもたってもいられなかったのだろう。それでこいつらに絡まれてしまった様だ。フードをかぶっていても、覗き込まれたら獣人だとわかってしまう。


「獣人達が畑を荒らしたり、町を襲ったりするから、ユトラント伯爵公が大規模な獣人狩りの布告をしたんだよ。俺たち傭兵も、そのためにわざわざ来たんだぜ」


「そんな……獣人達はそんなことしません。万が一したとしても、何か事情があって……」


 ニーアは必死に擁護している。

 ふ~ん、なるほどね。


「じゃあ聞くが、お前らは獣人が畑を荒らしているのを見たり、向こうから一方的に襲われたりしたことあるのかよ?」


「あ?俺たちは、戦争のために金で集められただけだから、そんなこと知らねーよ。俺たちの地方には獣人なんていねーからな」


「俺たち傭兵は金さえ貰えれば理由なんてなんだていいのさ。犯罪を犯した獣人の女は、捕えたやつが自由にしていいって話だしな。たまんねえぜ」


 やっぱり金が目的かよ!獣人側が悪い、って言っているだけで、自分たちが何かされたわけでもない。

 獣人狩りと金が目的で、獣人側に何かされたってのは、本当かわかったものじゃない。


「ニーア、行くぞ」


 俺はニーアの手を強引につなぐと、連れ去る様に神殿を後にした。


 とりあえず神殿から離れたい。今夜の宿も探さなければ……しかし腹ががつ、ニーアみたいな獣人の女の子が、あいつらみたいなのに捕えられて、好きにされるなんて。自然、歩速が早くなり、ニーアの手を握る力も強くなる。


「あの、カナタさん。もうちょっとゆっくり歩いて下さい。あと手も痛いです」


 さっきまで黙ってたニーアが話しかけてくる。

 俺はあわてて立ち止まり、手を離す。そう言えば神殿からずっと手をつなぎっぱなしだった。

 そういえばニーアと手を繋いだのは初めてだったな……小さくて柔らかい手だった。

 もうちょっと違った形で手を繋ぎたかったな。


「ごめんなさい、ご迷惑をかけてしまって……」


 ニーアが申し訳なさそうに言う、猫耳も申し訳なさそうに垂れ下がっている。


「気にするな。それよりも、ニーアこそ辛くなかったか?ごめんな、一人にしてしまって」


 髪と猫耳を撫でる。くすぐったかったのか猫耳がピクンと動く。


「……はい。大丈夫です」


 まあ獣人狩りについての情報の収穫もあったから良しとしよう。

 獣人と人間とのいざこざがを口実に、ユトラント伯爵公が金を出して傭兵を集め、獣人狩りを行おうとしている。

 スクルド神とミルクがいっていた多くの獣人と人間が死ぬ『獣人の災悪』ってのは、この獣人狩りのことだろう。

 もし、この世界の運命を変えるためには、獣人狩りを止めさせる必要があるわけだが……どうしたものか。


「あの、それよりカナタさん。どうでした?ジョブチェンジできましたか?」


 ニーアが問いかけてくる。話題を変えたかったのだろう。無理に作った笑顔で話かけてくる。

 その笑顔がまぶしい。転職可能なのが自室警備士しかなくて、自宅警備士よりさらに局地戦型の職業だなんて、とても言えない。そして労働敗北スキル付きだ。

 俺は目が合わせられない。さぞバツの悪い顔をしているのだろう。


「……うまくいかなかったんですね、気を取り直してください」


 ニーアは俺の表情をみて、気をつかって慰めてくる。


「まあ、今まで通りってことだよ。夜間ならペナルティスキルが少ないから、夜間専用の傭兵を目指す事にするよ。ニーアも猫人だから、夜間戦闘は得意だしね」


 俺も気を使って、気休めがてら言ってみる。確かに夜間専門の傭兵なら、なんとか戦えるはずだ。


「あの……カナタさん、スクルド神様達の神殿が近くにあるので、宿を探しに行く前に寄っていいですか?」


 ニーアの提案を受ける。なんでもスクルド達3人の姉妹をまつる神殿があるらしい。

 スクルド神の像なんか拝まなくても、さっき生スクルドに会ったんだけどな、と思ったが、ニーアが自分の希望を言うのは珍しい事だったので、先にスクルド神の神殿に行く事にする。


次回は午後3時の更新を予定しています。


ノルンの3姉妹神のお話です。

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