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ジョブ女神の正体とマイルーム・ガード(自室警備士)

 獣人狩りのことも気になったが、まずはジョブ神殿に向かう。いい加減に自宅警備士から転職したい。

 もうペナルティスキルである労働敗北さえなければなんでもいい。

 きちんと働ける様にさえなれば、ニーアを完全に自分のものにできる……いかん、よだれが出てきた。

 まさか、異世界で働きたいと思う様になるなんてな。

 異世界にて脱ニート&脱童○だ。



 セコンの町の中も兵士や傭兵、あるいは商人と思われる男達で賑わっていた。女戦士や女商人もいる。獣人はほとんどみなかった。

 俺はジョブ神殿の場所を聞き、まずそちらに向かった。


 ジョブ神殿はギリシャのパルティノン神殿みたいな建物だった。経験を積んだと思われる戦士や商人達がたむろしている。神殿の中心には美しい女神の彫刻が飾られている。どうもこの神殿の祭神みたいだ。

 ジョブ女神……伝承によるとグラマラスで美しい女神らしい。彫刻の女神は、豊満な胸を強調したドレスを着ている。胸ばかり見ていると、ニーアの冷たい視線を感じた。


「ジョブ女神様の像の、胸ばかり見ないで下さい。いやらしいです」


 いやいやニーアの控えめな、手のひらサイズの胸も良いんだよ。と思ったが、この話題は避けたほうが良さそうだ。

 無言で参拝者の列をならぶ。神殿の中には泉があり、そこで沐浴すると自分の新しい可能性に目覚めるらしい。

 順番を並んでいると、女シスターが話しかけて来た。


「カナタさんですね。お待ちしておりました。貴方はこちらにお越し下さい」


 シスターは小柄で、フードを頭からかぶり、顔と表情は分からない。声はどこかで聞いた事がある気がするが……


「なんで俺だけこっちになんですか?というか何で名前を知っているの??」


「貴方は特別な人なのです。あと、ニーアさんはここでお待ちください」


「え?……は、はい。じゃカナタさん、私はここで待ってます」


 俺だけじゃなくて、ニーアの名前まで知っているなんて、一体何者なんだ?嫌な予感がする……


 神殿の地下の部屋に連れて行かれてた。ここにも小さいが泉がある。

 シスターはおもむろにフードを脱いだ。


「じゃーん、超絶ダイナマイトボディ女神スクルドちゃん参上!!」


 やっぱりというべきか、中身はスクルド神だった。

 ちなみにフードの下の服装は沐浴のためだろうか、スクール水着だった。名前欄に「6年1組 すくるど・のるん」と書いてある。マニアックすぎる。

 スクール水着ということは神の世界にも学校があるのだろうか?それともただの趣味だろうか?こいつの場合はわからない。


「おまえな~、大体分かっていたけど、なんでこんな所にいるんだよ?あと誰が超絶ダイナマイトボディだ。このロリ年増め!」


「ぶー、いいのかな、ジョブ女神様にそんな無礼な口をはらたいて」


 ロリ年増スクール水着女神はブーたれている。

 ん?何だってあんたがジョブ女神?ルールの神だってのは知っていたが……


「そうだよ、私がジョブ女神だよ。ルール神と兼任だけどね。神の世界じゃあ、兼務は結構あるんだよ。弁天ちゃんだって、商売と縁結びと、あとトイレの神様を兼務してるでしょ」


 弁天ちゃんって、七福神の弁財天様かよ。


「ジョブ女神はグラマラスで美しい女神らしいぞ、あの女神像だって、すんごい巨乳だぞ。お前のちんまい胸とじゃあ、全然違う!」


 俺はスクルド神のまな板の様な胸を指差して言う。まんまスクール水着を着たプール実習中の小学生だ。

 むしろまな板ですらない、幼児体型のそれはまるで納豆のワラ容器みたいだ。

 この納豆わら容器相手なら、ニーアの胸の方が圧勝だ。というか比較するだけで、怒られそうだ。


「むきー!人の胸を指差して、失礼な奴!!あんたなんか、ゴキブリに転職させてやる」


 ゴキブリは職業じゃないだろう。まあ自宅警備士が職業なのも微妙だし、本気でゴキブリという職業にされたらかなわない。


「カナタさん、スクルド様はお胸のことを気にしているんですから、あんまり言っちゃダメですよ。まだ12歳なんですし、成長期はこれからです」


 ミルクが実態化して会話に参加してくる。12歳といっても、それはルーン年であって、人間の年齢だと1万2千歳だろうに……


「わかった、わかった。しかし……なんでジョブ女神がグラマラスな女神なんて解釈がついたんだ?」


「そりゃあみんな巨乳好きだからじゃないの?あんたの世界だって、歴史上の有名人を女性化したり萌え化したりするだろう?」


 確かにそうかもしれない。人間が勝手に美形化したりするのはよくある事だ。ジャンヌダルクとか、西洋鎧を着るだけでも屈強な女性だったろうことが想像できるが、絵画はほとんど細身の少女とされている。

 まあともかく、スクルド神=ルール神=ジョブ女神、らしい。

 しかしジョブ女神を崇拝している連中は、本物がこんなロリ年増女神だと知ったら、さぞがっかりするだろう。


「まあ俺のジョブチェンジを手伝ってくれるならなんだっていい。早く自宅警備士から別の職業になりたい」


 そうだ、自宅警備士から転職して、普通のお金を稼げる職業について、そしてニーアを……

 想像するだけでまたよだれが出て来た。いかんいかん、一応神殿で、さらに一応神様の前だった。


「普通のジョブだったら、ここの神官に任せてもいいんだけど、あんたのジョブは特殊だからね、転職のためにジョブ女神様自らが来てあげたんだよ。感謝しなよ」


 わかったわかった、もうどうでも良い。とりあえずジョブチェンジさせてくれ。

 俺は言われるがままに服を脱いで、腰布を巻いて泉につかって沐浴した。

 泉は、綺麗な水だった。プールみたいな塩素の匂いがしない。

 スクール水着のスクルド神もいっしょに泉につかる。

 これがニーアだったら嬉しいのにな……

 洗礼として頭から泉の水を浴びる。


「じゃあ、転職可能な職業は、この職業になるよ」


【マイルーム・ガード(自室警備士)】

自宅警備士の局地戦特化型。

自分の部屋を守護する侍。自室内においてのみ圧倒的な戦闘力を有する。

自室においてその住居内での住人の動きを感知することができる。

自室内なら、補給なしに数ヶ月の篭城戦が可能。

商業活動は決してしない誇り高き戦士。


スキル 情報強者 逃げ足 休日外出 夜目 篭城 住人感知

ペナルティスキル 労働敗北 弱対光属性 弱日光弱 自然環境 弱意志力 


 ちょっとまてwwwww

 なんだよ、自室警備士って、引きこもりじゃねーか!

 自宅警備士は自宅での戦闘に限定していたのに、さらに局地戦に特化しているんじゃねー!

 自分の部屋で戦闘なんかおこるか!

 しかもペナルティスキル労働敗北があるから、働いたら即死だ。


「ちょっとまて!これじゃ自宅警備士のとかわらん。というか自宅警備士と違って庭で戦えない分、より使えなくなってるじゃないか!」


「まあ局地戦特化型だからね、でもこんな新スキルがあるよ」


ユニークスキル 

【篭城】

自室内なら、食事やトイレを必要しないで、数ヶ月の篭城が可能

自室内での戦闘において、自宅警備以上の防御力と攻撃力を有する


【住人感知】

自室内において、住居内の住人の動きを感知することができる


 おいおい、篭城って、食事やトイレを自室で済ませているだけじゃん。確かに自室警備士の中にはそう言う人いるけどさ~、かなりの上級者だぜ。あと住人感知も、部屋にいながら足音とかで家族がどこにいるかわかるってやつだね、これも俺が部屋に引きこもっていた時は、そうだったけどさ~。全然ファンタジーぽくないというか、そもそもいらないスキルだ。


「なんだよこの上級職は?勇者とか賢者とか言わないから、せめて自宅警備士から離れてくれよ!」


「そんなこと言ったってさ~あんたが自宅警備士なんて職業を最初に選んじゃうから、転職可能な仕事も自宅警備士の派生型になっちゃうんだよ。勇者は勇者以外に転職できないでしょ?それと同じだよ」


 ダメだ……せっかくジョブ神殿にまで来たのに……無駄足だった。これだったら自宅警備士の方がマシなくらいだ。

 今後、他の職業にジョブチェンジできるようになっても、自宅警備士の派生型の職業なのか……


「……帰る。頭が痛くなってきた」


「まあ、そういうと思ったよ。サービスで、洗礼はしておいたから、いつでも自室警備士にジョブチェンジできるよ」


 いらんサービスだ。俺は服を着ると、失意のうちに地下室を後にした。


新たな職業登場です。

こういう使いにくい職業を使いこなすのが本作の醍醐味です


さて、読んでいただいた方から投稿回数を減らして文章を長めにした方がいいというアドバイスを受けたので、午前2時分を統合します。

今後の更新は、0時、9時、15時、21時となります。

冬休み明けからは、毎日23時更新とする予定です。


次回の投稿は午前9時となります。

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