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ニーアとの主従契約と笑顔

ーー魅了魔法チャームーー


 意識が朦朧としてくる……この感覚は、以前に味わったものだ。

 このインムが俺のものになる……マジで?このエッチなお姉さんに、なんでも好きな事し放題!?させ放題!?

 あんな事も、こんな事も??


 それ以上何も考えられない……俺は誘惑に負け、ついつい「はい」と言いそうになる


 ……はて?ナニカ大切ナ事がアったハズだが……


パチン!


 俺は自分で自分のほほを打つ、インムのチャームを破るにはこれが一番だった。


「ふざけんじゃね!!俺はニーアを引き取りにきたんだ!!!」


 貴族と店主、そしてインムは驚いてこちらを見ている。

 しかし店主は諦めずに交渉してくる。


「しかしお客様、いまお持ちのお金はでは2万ルーグ足りません。ここはひとつ、こちらのインムで手を打っていただけませんか?」


 くそう、どうせインムと示し合わせていやがったんだな、したたかな店主だ。


「残り2万くらい、何としても稼いできてみせる。まだ2日あるんだ」


 俺は店を後にしようとする、店長はしつこく俺の前方に先回りして俺を押しとどめようとする。


「あのインムの値段は40万ルーグです、ご再考をお願いします。いくら何でも、あと2日で2万ルーグ稼ぐなどと、魔人もいなくなった今では不可能です、幸運は決して長くはつづきません」


 店主は俺が魔人を倒した事を良く知っているのだろう、さすが商売人、耳が早い。


「くどい、何としても2万ルーグ稼いでくるから、そこをどけ!!」


ーー「いいえ、カナタさんが稼いでくる必要はありません。残りの2万ルーグは私が支払います」


 声はニーアのものだった。俺と店主と貴族、そしてインムの視線がニーアに注がれる。


「私が自分を売ったときにの残金が2万ルーグあります、それで私が自分自身を買います」


 俺も店主もあっけにとられている、確かにニーアにお金があるのなら、それも可能のはず……


「はい、売買契約成立です。この契約はルール神によって保護されています」


突然ミルクが現れ、契約の成立を告げる。


「これでニーアさんはカナタさんの所有奴隷となります。カナタさんは、ニーアさんに約9割の権利を有し、ニーアさんは、自分が出資した1割弱の権利を有することになります。

 奴隷は、所有者に忠誠を誓い奉仕する義務があります。この義務を怠った場合は、契約違反とみなし額に666の印が付けられます。所有者は、奴隷を傷つけてはいけません。もし奴隷に過度の暴行を行った場合は、契約違反と見なし666の印を所有者につけます。

 また奴隷が負債20万ルーグで自身を買いもどした場合は、奴隷は解放され自由民となります。なお所有者が死亡した場合も、奴隷は解放されますが、もし奴隷が所有者を殺害した場合はもちろん、忠誠義務に違反した場合は、額に666の印を奴隷につけます。またローラント王国の法律によって処罰されます」


 ミルクが早口でスラスラと契約内容を述べて行く。


「ではカナタさんとニーアさん、こちらへ。今より主従の契約を締結します」


 俺は手の甲と出す様に言われ、ニーアは跪いてそこにキスをする様に言われる。昔話でよくお姫様と騎士が行っているものと同じだ。性別は逆だが。

 ドキドキして差し出した右手の甲に、ニーアがゆっくり唇を付ける。

 ニーアの唇が触れる、びっくりするほど柔らかい。


「よろしくお願いします、カナタさん、じゃなくてご主人様」


 ニーアが跪きながら、少し恥ずかしそうに上目遣いに言う、俺はそれだけでドキマギしてしまう。


「今まで通り……か、カナタでいいよ」


「はい、わかりました、カナタさん」


 ニーアがにっこり笑う。瞳には涙の後が見える。その笑顔だけで、俺の心は熱い気持ちで一杯になる。天ににも昇る気持ちとはこのことだろう。仮に命がけの魔人退治をもう1回しろと言われても、喜んで行くだろう。次は多分死ぬと思うけど。

 ミルクが小さく手を叩き、主従契約の儀式の完了を告げる。


 大金を得損なった店長は悔しそうに歯ぎしりしながらこちらをみている。インムのお姉さんは妖しく微笑みながら。


「ふられちゃったのは残念ですが、願いがかなって良かったですね、お客様。これでチェリー卒業ですね」


「ど……童貞ちゃうわ!!」


 思わず叫んだが、インムのお姉さんには見透かされているみたいだ、さすがインム。

 ニーアは恥ずかしそうに顔を真っ赤にしてうつむき、また短いスカートの裾を掴んで下に引っ張っている。


「お取り込み中もうしわけないんですが、今回の契約の場合、一部はニーアさんの権利を有しますので、ニーアさんは奉仕の義務の一部を拒むことができます」


 ミルクが言う、確かにお金の一部はニーアが出したんだから、当然と言えば当然だ。


「で……では、夜のご奉仕の義務を……」


 ニーアがうなずいたままいう、え?それって??


「はい、契約成立です。ではカナタさんはニーアさんに性的な奉仕を要求してはいけません。要求した場合は契約違反となります。これで契約の全ては終了しました」


 ミルクはそういい、小さく手を叩いた。

 ……せっかく苦労してニーアを買い戻したのに、ニーアに手をだしたらダメなの?

 そりゃエロい目的で買い戻したわけじゃないけど……俺はがっくりとうなだれる。


「あらあら、残念ね。お客様……クスクス」


 インムのお姉さんは笑っている、くそう、あんたがよけいな事を言うから……


「あと、このお店の店主、あなたにお話があります。あなたにはルール神の威信を汚す嫌疑があります」


何とかチャームにかからずにすみました。

実は魔人戦以上に危険な状態だったのですが、それは後日明らかになります。


次回は、ミルクの大岡裁判……というか暗黒裁判です。

投稿は本日9時頃の予定です。

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