魔人の災害と電撃魔法
その後、数日間は鑑定と修行をして過ごした。
レベルは5まであがったが、新たなスキルの習得はなかった。
カナタ(自宅警備士)
レベル3→レベル5
HP54→60
MP0→0
攻撃力や防御力のステータス確認はできないが、それなりに上昇していると思う。もう自宅外でもコブリンなら楽勝だ。
もっともバルーンが複数でた場合は、逃げるかニーアに任せるしか手が無いが。
気になったのはギルドで懸賞金がかかっていた魔人マクスウェルだ。
今の平穏な生活を破壊できるのはこいつしか考えられない。
奴隷として売られるニーアはともかく、ロジー爺さんの死亡はこいつのせいだと思う。
マクスウェルは物理攻撃の耐性が非常に高いみたいなので、できれば魔法を使える様になりたいが、スキル超弱意思力のせいでMPは0だし、自宅警備士は魔法も覚えない。
とにかく情報収集だ、明日またギルドに行ってみよう。
ギルドは、以前と違い慌ただしかった。
冒険者とおぼしき男達何人かが、何やら深刻な形相で話し合いをしている。
魔人マクスウェルの討伐はうまくいかなかったらしい。
「それがさ、ウチの戦士さんたちが取り囲んで倒そうとしたら、電撃魔法でまとめて感電しちゃったみたいなんだ。電撃魔法なんてレアな魔法を使う魔物なんて、この辺じゃ初めてだよ」
メルルさんはそう言った。
確かに戦士達はみな重厚そうな鉄の鎧を身に着けている。確かに電撃には弱そうだ。
しかし流石に鉄が電気を通す事くらい、この世界の住人でも知ってそうなものだが、電撃魔法はそれほど珍しいのだろうか。
「珍しいよ、風の上位属性魔法らしいけど、敵が使ってくることなんてまずないからさ、ウチの戦士さんたちも何人か死者を出したみたいだね。魔人はまだ健在みたいだし、間違いなく懸賞金は上がるだろうね。ウチの張り紙も張り替えなきゃね。それも手間だね」
メルルさんには余裕がある様に見えるが、心配させないようにそう振る舞っているのかもしれない。
先ほどの戦闘の重傷者はギルドの隣の病院に運ばれたらしい。死者も何人かでたようだ。
「あと電撃魔法だけじゃなくて魔人だから強力な闇魔法も使うらしい。あんたは冒険者としては初心者っぽいから、外で出くわさない様に家でこもっているほうがいいよ」
闇魔法か、これは【闇の指輪】の能力のおかげでダメージは受けないばかりか、HP回復、そしてMP吸収の効果がある。しかし問題は電撃魔法だ。俺のHPと魔法防御ではどうやっても一撃死だ。魔人というだけあって物理攻撃力もきっと高いのだろう。
魔人はまだ町の近くにいる、ということは爺さんは、魔人マクスウェルに殺されてしまう予定の運命なのか?
その運命を回避するには、倒すしかないのだろうか?
しかしどうやって戦おう、とても勝算がなさそうだ。
できればニーアと爺さんと一緒に遠くに逃げるべきだ。
しかし、どうやって二人を説得しよう、そんなことを考えながら帰路についた。
読んでいただき、ありがとうございます。
次回予告
いよいよロジーさんが……
そしてニーアが……
更新は、午前2時を予定しています。