今日から本気出す
目が覚めた。
さっきのは夢だったのだろうか?と思ったが、左手をみるとスクルド神にもらった指輪をはめている。
どうやら夢じゃないらしい。
指輪を情報強者でスキャンしてみる。
【闇の指輪】
闇属性の者のみ装備可能
効果
受けた攻撃魔法をランダムで覚える
????
俺の情報強者でも効果がわからない、さすがに神様がくれたマジックアイテムだ。
チートアイテムであることを祈るしか無い。
そうこうしているとニーアと爺さんが帰ってきた、バルーン達を大量に倒したらしい、ニーアは両手にバルーンのゴムを抱えている
バルーンのゴムが少し重たいのか、汗で頬がほんのり赤い。
このニーアが、奴隷に売れらたあげくに、死亡?
とても信じられないが、左手の指輪が何よりの証拠だ。売られるだけならまだしも、すぐに死亡するなんて、どんな奴に買われて、いったいどんな事をされると言うんだ??
きっとあんな事やこんな事して……くそ許せない!!
いや、運命は変えられる。スクルド神も言ってたじゃないか、変えてみせる。
いったいどんな試練がニーアと爺さんに訪れるのだろう?
以前、家を襲ってきたボブコブリンの一団の事を思い出した。魔物の襲撃?あり得ることだ。
盗賊の襲撃かもしれない、ニーアは可愛いから捕まって売り飛ばされるのかも……
とにかくレベルアップだ。
俺のレベルさえ高ければ、外敵が来てもなんとかなるかもしれない。少なくとも足手まといにはなりたくない。
どうせ俺が死んでも、もとの世界に帰るだけなんだから、体をはって戦うべきだ。
でも俺のジョブである自宅警備士は、外での戦闘に向いていない。
特にペナルティスキルである。
【弱対光属性】 光属性のダメージ100%増
【弱日光】 晴天時にHPの-50%ペナルティ
【弱自然環境】 暑かったり寒かったりすると攻撃力50%ダウン
【超弱対破魔】 破魔魔法に対する耐性がなくなり、敵の破魔魔法を食らうと即死率が100%になる
が厳しい、だが方法はある。
まず【弱日光】は夜ならペナルティは発生しない。同様に夜は涼しいので【弱自然環境】も発生しない。
一言で言えばニートは夜行性なのだ、だから夜ならそれなりに戦える。
【弱対光属性】と【超弱対破魔】は夜でも効果は一緒だ。
つまり光魔法はダメージ2倍、破魔魔法は即死。
光魔法と破魔魔法を使うバルーンからは逃げるしかない。
夕食時に、夜に修行のために外出したいと言うと、ニーアと爺さんは驚いた顔をしていた。
「冒険者になりたいんですが、昼に戦うのはリスクが大きいので、夜に修行に出たいんです。ゆくゆくは夜間専門の傭兵を考えています」
でまかせだったが、2人は信じたようだ。
「しかし夜の戦闘は、人族には【夜目】のスキルがないので、不利なはずです」
「いや、俺にも【夜目】のスキルがある」
「え!?人族なのに、ですか?」
ニーアが驚いている。
俺にも【夜目】のスキルがある。よって夜で特に物が見えにくくなる、ということもない。さすが夜型ニート。
自宅警備は夜がメインなだけある。
「……心配なので私が修行に同行します、私は猫人族なので【夜目】のスキルがありますから、大丈夫です」
ニーアが来てくれるらしい。
少しニーアの事が心配になったが、ニーアが死ぬのは奴隷として売られてからなので、今は死なないはずだ。
俺はこんぼうを装備した。
錆び付いた大剣は重いので、置いてくる事にした。
久々の実戦でもある、夜間は敵の遭遇率が良いのか、すぐコブリンの群れに出会った。
全部でコブリン3匹、俺の目の前に1匹、ニーアの方に2匹。
コブリンのこんぼうの一撃をくらいながら、負けずとこちらも一撃をくらわせる。
家周辺なら、【自宅警備】の範囲内で楽勝なんだろうが、なかなか勝てない。
だが昼のペナルティが無い分、HPと攻撃力は上がっているのでなんとか戦える。
やっとコブリン1匹を倒した時、既にニーアは2匹を倒していた。
俺1人なら取り囲まれて袋だたきだったろう。
レベルが上がった。
何でも良い、戦闘で使えそうなスキルきてくれ。
頼むぞ自宅警備士。
カナタ(自宅警備士)レベル3
HP50→54
MP0→0
スキル【逃げ足】 逃走時の速度70%増 ニートは逃げ足だけは速い。
を覚えた。
だんだよ、【逃げ足】って!
空気読めよ!!
だがニーアは喜んでいるみたいだ。
「これでバルーンからは逃げれそうですね」
なぜかニーアはご機嫌だ。
その日は他に何体か魔物を倒したが、レベルはそれ以上はあがらなかった。
読んでいただき、ありがとうございます。
次回の更新は、本日午後3時を予定しております。
やっと主人公がやる気をだしてきました。