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『インム、ダメ、絶対』(ファーの町婦人会)と、この世界の歴史

 アンティークっぽいアイテムをいくつか鑑定する。

 ついでにこの世界の事をいくつか質問した。


「昨日のインムって何なんです?」


「インムはの、始まりの5種族のうちの1種類で、魅力的な容姿を持ち男性の誘惑にたけている種族じゃ。女しかいない種族での、他の4種族と交わって子供をなす事ができる。歳も取らずずっと若いままの種族じゃ」


 確かに昨日のインムはエロかった。何と言うか、男の本能を刺激する官能的な雰囲気を持っていた。

 チャームという、男性を魅了する魔法を使えるらしい。


「ニーアさんがずいぶんとインムを嫌っていた感じでしたけど、なんか悪い事をしたんですか?」


「インムを好きな女性なんていません!」


 話を聞いていたのか、ニーアが口を挟んでくる。どうやらお茶を持ってきてくれたみたいだ。


「インムは男を堕落させ、精気を吸い取るとされているからの。女達にとっては目の敵なのじゃろう。この近辺でも、彼氏をインムに寝取られただの、夫がインムの売春婦にハマって生活が破綻したなどという話は事欠かないんじゃ」


 なるほど。そういや町の看板にも、


『インム、ダメ、絶対』(ファーの町婦人会)


ってポスターがあった気がする。まるで麻薬や覚せい剤みたいな扱いなんだな


「じゃがインム自体の戦闘力は弱く、多くは人間族の有力者の妾や売春婦として働いているな。女奴隷となっている者も多い」


「奴隷制があるんですか?」


 あの奴隷店をみてから気になった事を聞いてみる。


「うむ、もっともローラント王国は人間族の国家じゃからの、人間の奴隷は法律で禁止されているのじゃが、人間以外の種族、まとめて亜人と呼ぶ事もあるが、の奴隷については容認されておる」


 じゃああのお店でみた3人の女性は、みんな人間じゃなかったのか、1人はインムで、後2人の事はよく覚えていないが、人間じゃなかったって事になる。


「ニーアさんは猫人族なんですよね?」


 ニーアが家事に戻るのを確認して、爺さんに聞いてみた。


「ふむ、猫人族は強く美しく、とても優れた種なのじゃが、人間族との戦争に敗れて多くは奴隷にされているか、北方で細々と暮らしている。忠義に厚い犬人族と比較して、天真爛漫じゃと言われているのう。もっともニーアは例外で、とても真面目で思いやりがある娘じゃ」


 確かに猫は気ままだけど、ニーアは違うみたいだ。しかし……けっこう過酷な世界なんだな。


「まあニーアは猫人族と人間とのハーフじゃがな……ハーフは、種の純血を汚す存在として人間にも猫人族にも疎まれておる。ワシはそういう差別はいかんとおもうがな。異なる種族との子供は、めったに生まれないんじゃ。その意味ではハーフは希少じゃの……もっともインムだけは例外で、比較的簡単に他種族の子を宿す事ができる。インムは女しかいない種族じゃから、当然といえば当然なんじゃが」


 男のインムはいないのか。

 確か情報強者でニーアのステータスを観た時も、猫人と人族のハーフだったな。

 まあハーフであっても猫娘だ、猫耳とシッポさえあれば俺は満足だ。


「ニーアは猫人のハーフに対する差別の中でも気丈に振る舞っているがの」


 そういえばニーアは普段の会話で滅多に「にゃあ」とか「にゃん」とか言わないな。

 驚いたときに「ハニャ!」とか言うくらいだ。

 俺に対しても丁寧な言葉使いだし……猫語を避けている気がする。

 やはりハーフだからなんだろうか?それとも猫人に対する差別からだろうか?

 もっと猫人らしく振る舞ってもいいと思うけどな……


 ふと気づいたが、このロジー爺さんの家が町の外にあるのも、ニーアに対する差別を避けるためかもしれない。

 差別は結構根強いのか……

 ふん、ニーアを差別している愚か者どもめ。


猫=可愛い

女の子=可愛い

猫耳の女の子=猫+女の子=もっと可愛い


 この簡単な方程式が分からないとは、愚民どもめ。小学一年生の算数からやり直すべきなのだ。


「始まりの5種族ってのは何なのです?」


「天地創造の時に神が作ったとされる5つの種族での、先ほど話した人間とインムと猫人族を含めた獣人族の他に、エルフとダース族がいる」


 エルフはわかるが、ダース族とは一体なんだろう?


「ダース族とは、闇に魅入られた種族とも言われていての、12の氏族から構成されているんじゃが、極めて強力かつ残忍な種族じゃ。かつて人間やインム達は、全て強大なダース族の奴隷となっていたんじゃが、英雄公クロス様が東遷戦争によって人間や他の種族を解放したのじゃ」


情報強者でスキャン

【東遷戦争】

約300年前、ダース族の支配下にあった大陸西方から、英雄公クロスが人間やインム、獣人等の多くの民を連れて、当時は不毛の地であった大陸東方を開拓して移住した戦争。ロジーやニーア達が住んでいるのは、大陸東方にあるローラント王国で、英雄公クロスの戦友ローラント公が建国した。大陸西方は未だダース族が支配しているとされる。


「今は、このあたりにはダース族はいないのですか?」


「ふむ。英雄公クロス様が大陸西方への連絡路を破壊したので、わしらが住んでいる大陸東方にはダース族はおらんのう。もしいたら、みんな殺されるか奴隷にされてしまっているじゃろう」


 恐ろしい種族だな。まあ俺たちが住んでいる大陸東方に居ないのなら別にいいや。


「しかし……英雄公クロスって凄い人なんですね」


 先ほどから何度も話題になっている英雄公クロスについての話題をふってみる。情報強者でスキャンしておこう。


「ふむ、この世界で知らぬものがいない人類最高の英雄じゃからの。おぬしも名前くらい知っておいた方がいいぞ」


情報強者でスキャン

【英雄公クロス】

東遷戦争によって、人間やインム、獣人等を解放したこの世界最大の英雄。人間族だったとされるが、詳細は不明。強大な力とカリスマ性を持ち、東方の社会制度の基礎を作った人物。東遷成功後は、移住した種族間の平等を訴え、奴隷制の廃止や一夫多妻制の廃止を目指したが上手くいかなかった。


 ふ~ん、まあこの世界の歴史は正直どうでもいい。

 それより奴隷制の方が気になる。

 種族が違えば同じ人間扱いしない、か。

 人間だって肌の色が違うだけで結構酷い事を行ってきたからな。

 種族まで違うならもっと酷い事をしてきたかもしれない。

 あと一夫多妻制があるのか……つまり合法的にハーレムが設立可能と言う事になる。これはいい事を聞いた。

読んでいただいてありがとうございます。


この世界の歴史についての説明です。

新しく色々なワードが登場したのですが、頭の片隅にでも置いておいていただければ幸いです。全て、後ででます。

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