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補佐官に転職しました

1、2話は短編のつもりで書きまくり失敗しました。

すみません。

これからは、ぼちぼちの長さで頑張ります。


 「すまん、そこの3人を木陰に運んでくれ!」

 

 汗だくだくの日焼けした大男が指差す方向を見れば、熱い地面にめいめいに倒れている若い男の姿があった。

 指示をしたのは皮の胸当てに膝当てをした、通称「3大鬼教官」の1人メイグ教官41才。スキンヘッドのごつい体格、右手に模造剣を握り締めて「次!」と激を飛ばす。

 去年退役した元将軍で、退役と同時に見習い騎士の指南役となったらしい。

 天下の元将軍様にお相手してもらえるなんて、と泣いたのかどうか知らないが、教官として君臨された時はあちこちで涙と悲鳴があがったらしい。

 「ぎゃっ!」

 短い悲鳴と、ドサリと倒れる音に、運ぶ人数がまた増えたとため息をついた。

 腕に強化魔法をかけ、15、6歳前後の若い男の上着を握り、ズルズルと引きずって木陰へ運ぶ。

 彼らの白い上着と、茶色いズボンはすでに汚れているから問題ない。

 4人を運んで、水で濡らしたタオルを顔に置いていくと、ようやく我にかえったらしい。

 「あ…、怪力補佐官さん…」

 「お黙り」

 一喝すればタオルで顔を覆って動かなくなった。

 大きくため息をついて周りを見渡す。

 今、私は屋外の訓練場にいる。

 格好は彼らと同じで、胸当てや膝当てはしていない。

 要するに今の仕事は救護班のようなものだ。

 訓練というしごきに倒れた若い男、いや、少年を邪魔にならない所へ運ぶのが私の役目だ。

 (早く鐘が鳴らないかしら)

 訓練場を取り囲む壁の一角に塔があるのだが、まだ昼の鐘はならないらしい。

 倒れるまでしごかれる少年達数十人を見守りつつ、私はこの3ヶ月を振り返った。


 王都に着いたその日に、騎士団本部のある白亜の王城へ連れて行かれたのが初夏の事。

 王城は王の住まう城を中心に、周りをぐるりと6つの塔からなる建物が囲んでいる。それらを更に外壁が囲んでいるのが王城の全体図になる。6つの塔には金の鐘があり、役割ごとに決まった時間になると鳴るのだ。

 朝は始まりの鐘。10時の鐘、昼の鐘、2時の鐘、5時の鐘、7時の鐘。

 ジェイナス・ユナン・グレンドールの補佐官として無事転職、任命された私は女性官舎の部屋の可愛らしさにうかれた夜を過ごした。

 翌朝ジェイに連れられてきたのが、この訓練場だった。

 メイグ教官のいかつい雰囲気に圧倒されながら、基礎訓練として走りこみや、なぜか訓練場の雑草抜き等をした。翌朝筋肉痛が酷くてまともに動けなかったのはいうまでもない。

 ジェイは魔法を使いながら訓練をしろと言ってきたので、どうせ筋肉痛になるならと使うようになって2ヶ月。

 雨の日の事務処理がとても嬉しかった。

 そしてあの日がやってきた。

 本格的に暑くなってきたある日、メイグ教官に対戦を申し込まれたのだ。

 あの時は絶叫したと思う。

 しかも見習い騎士団の前で高々に言われたのだ。

 「お前は強化魔法とかいう変わった魔力の持ち主だ!

 基礎訓練は終った。お前の戦い方を見極めてやろう!」

 結構です!と絶叫したような気もする。

 だが、私は模造剣を持って立たされていたのだった。

 始まりの合図ですぐ腕と足に強化魔法をかけて、どうにかメイグ教官の一撃目を受け、押し返す事に成功した。

 この時点で私達を取り囲む一団からは「おぉ!」と歓声が上がった。

 しかし3撃目で、あろうことか模造剣が折れた。

 (うっそぉおお!!)

 しかし待ったはかからず、鬼の形相の教官の4撃目を何とか横に逃げて背後が見えた瞬間、私の体は無意識に回し蹴りを背中に叩き込んでいた。

 見守っていた一団に突っ込む教官に騒然となるものの、場は沈黙となった。

 「あ…」

 思い出したことがあった。

 前世、仕事で夜遅かった私は護身術を同僚と習っていたのだ。

 筋が良かったのかなかなかいいところまで、楽しんで習得したのがテコンドーだった。

 むくりと無言で起き上がったメイグ教官に、おもわず「ひっ」小さく悲鳴をあげて背筋を伸ばした。

 冷や汗がだくだくと流れ、周りが固唾を呑む中、メイグ教官は私を睨んだあと白い歯をみせてニッカリと笑って親指をたてた。

 「いい蹴りだ!」

 腰が抜けたようにその場にへたり込んだ私に、教官は更に続けた。

 「体術の心得があるようだな!よし、早速推薦してやろう」

 こうして私は週に4回、体術部隊の訓練にまで参加させられるようになったのだ。

 ちなみに今日はその部隊の訓練は休みなので、ここにいるというわけだ。

 ちなみに剣術は全然ダメでした。


 

 

 

 

あれ?ジェイもでてこない(笑)

教官と私になってしまいました。

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