滅びの国の魔女：勇者召喚したら異世界人から誘拐だと訴えられて国が滅びました

　若き宮廷魔術士ヴェイミン・リーンは、〈滅びの魔女〉と呼ばれた母の汚名をそそぎ、王国に平和をもたらすことを夢見ていた。
　公爵の支援を受け、ついに異世界から勇者を召喚する儀式に成功する。
　だが、祝福の儀は血と炎に染まった。
　突如、結界が裂け、帝国の魔族兵――竜人族が雪崩れ込む。
　火矢が降りそそぎ、荘厳な広間は瞬く間に地獄と化した。
　混乱の中、召喚された異世界人の一人が倒れ、美女の悲鳴が〈滅び〉を呼び寄せる。
　必死に事態を収めようとするヴェイミンだったが、異世界人の代表は勇者召喚を「少女誘拐」として断固非難した。
　異世界の論理は、王国の理を否定するものだった。
　その瞬間、ヴェイミンの胸の奥で〈滅び〉の呪いがざわめき始める。
　それは、王国滅亡の序章に過ぎなかった――。
　cf.
　（未成年者略取及び誘拐）
　第二百二十四条　未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。
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