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ミストドール  作者: しか
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プロローグ1

ソシャゲシナリオみたいなのを書いてみたかったから書きました!

頑張って完結させる

謎の化け物「ガアアアァァァァ!!!!!」

エイト「うわっ!なんだ……この化け物は!」


エイトの目の前にこの世のものとは思えない何かがいる。

それは人に近い形だが、暗い赤と黒が絵の具のように混ざりあった色をしている。口は裂けており鋭く長い牙がついている、手は長く足は短い上、厚い肉をも容易く断ち切れそうな爪がある。呼吸は蒸気機関の空気が抜けるような音がし、血液に近い金属の匂いが辺りに漂う。誰もが一目見れば分かる化け物だ。

二人の距離は2m前後。少し動けば触れられるライン。


エイト(もしかして、あの噂のレッドミストか?まさか、この街にも現れるとは)


昨年、とある国に赤い霧が生じ、化け物が現れた。

赤い霧は不規則に世界のありとあらゆる地域に出現しては化け物をばら撒き人を襲い建物を壊し、人間や動植物の平穏を奪った災害である。

化け物達は赤い霧から発生したことからレッドミストと呼ばれている。

レッドミストは人類が見てきた中で最も力の強い生物。

銃などでは殆どダメージが入らず、手榴弾でやっと小さな火傷する程度。

意思疎通などは到底取れない。

遭遇したら死あるのみということになる。


エイト(化け物が現れたとは聞いたが本当に会うとは。この状況を抜け出すにはどうすれば……。)


エイトの今いる場所は人のいない住宅街の裏路地。

助けてくれそうな人もいなければ、一本道のため逃げ道は1つしかない。


エイト(どうする……?走るか……?考えている暇などない。今はそうするしかないんだ!)


彼は何かに押されたように衝動的に走り出した。化け物から逃げる。頭の中にはこのことしかなかった。

そのためかエイトは持つありとあらゆる力を振り絞るように足を動かしている。

しかし、レッドミストは彼が走り出したコンマ数秒後にオートバイにも近しい速度で近づかれあっけなく追いつかれた。


レッドミスト「ガァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛」

エイト「ははは、やっぱ追いつかれますよね~。(もう終わったよ。俺の人生)」


エイトは諦めと共に地にへたり込んだ。

レッドミストはゆっくりと鋭利な爪の付いた手を振り上げる。

その時、エイトの脳内に幼稚園の頃に友達と遊んだ記憶や小学生の時の初恋の記憶などが蘇った。


エイト(これ、走馬灯と言うやつか?そういやこんなしょうもない普通の人生だったな)


レッドミストは腕を高く上げきり一思いに振り落とす。

エイト(お父さん、お母さん、友達のみんなあの世でまた会えることを期待しているよ)


エイトは静かに目を瞑り、今世に別れを告げた……はずだった。


エイト(あれ、痛くない。もしかして……)


彼が目を開けると身体は何一つとして傷はなくきれいなまま。

手足を少し動かせば、触れる距離にいたレッドミストも視界から消えていた。


???「君、大丈夫?」


という声がエイトの頭の上から聞こえた。




ーーーーーー



エイト「夢…か……」


エイトはカーテンの隙間から漏れ出た光で目を覚ました。


ベッド、デスク、クローゼットだけの簡素な部屋である。

テレビやエアコンの類はなく、デスクの上に置かれた小型扇風機が首を回して部屋を冷やしている。

エイト「そういや、ここに来たきっかけってそんなんだったっけ?」


ここは旧大学研究所という、山の上にある研究施設兼シェルターとして使われる場所。

元々は大学だったが、世界にレッドミストが現れてから、彼らにどう対抗すれば生き延びられるのかを研究し町の人々がレッドミストから逃れるシェルターとしても機能している。


エイト「まぁいっか。それより、早く準備しないと……」


彼は慌てて起き上がり、洗面所で顔を洗い歯を磨き、寝巻きからシャツとズボンに着替えた。

ちょうど、着替え終わったタイミングで一人の少女が扉を叩いた。


少女「エイトさん、そろそろいいですか……」


エイト「パル!ちょっと待ってくれ。まだ、荷物の整理が終わってないんだ」


パル「はい…。わかりました…。でも、所長が早く来いとのことで……」


エイト「うっわっ!所長、怒らせると何されるかわかんないんだよな〜。すぐ、行くわ!」


パル「ありがとうございます!これで私も怒られません!」


エイトは速やかに寮から施設本館の所長室へと向かった。


エイトが所長室に向かう途中、不自然な光景が目に入った。

光景というよりかは人物というのが正しい。

やけにSFチックなスーツを着た女性がいた。

ただのコスプレのようにも思えるが、だとしたら作りが凝りすぎている。


エイト「パル、あいつ、誰か知ってるか?」


エイトはセーラー服の上にパーカーを身に着けた服装のパルに聞く。


パル「たまに見かけますけど……知らないです…すいません…」


エイト「いや、謝らなくてもいいよ。ちょっと、気になっただけだし」


パル「はい……」


そして、彼らは大学の桜並木と避難者で賑わっているように見える広場を抜け大学本館に行った。


彼らは全6階建ての本館、3階にある所長室の前にきた。

木製の装飾が多い扉を

コンコン……と叩くと


所長「エイトとパルか。5秒遅刻だ。まぁいい。入れ」


と無愛想な男の声の返事が聞こえる。

二人は「はい…失礼します」と言いながら中に入る。

中に入ると装飾のあった扉とは対照的にシンプルな作りだった。

机と二人用ソファーが二つ、それと左端に小さな本棚が置かれたシンプルな部屋である。

奥に目を向けるとノートPCが置かれたディスクと黒い皮製の椅子に座った50代辺りの男性がいる。白髪交じりの黒髪にシワが少し入った顔。白衣をうまく着こなしており、誰が見ても人目でわかるような研究者だ。



エイト「今日話があると聞いてきたのですが話とはなんですか?あまり聞かされていなかったので……」


所長「分かった。今から説明する。パルは出てくれ」


パル「はい……」


彼女はそう答え、扉を開けて出ていった。

パルが部屋を去り切ったタイミングで所長は口を開いた。


所長「単刀直入に言う。レッドミストが迫ってきている。止めに行け」


エイトはポカンと口を開けていた。

思考がここにないようだ。


エイト「どっ、どういうことですか!?止めに行くって」


所長「そのまんまだ。ドールの管理を頼みたいんだよ」


エイト「ドールってパル達のことですよね」


ドールとは、レッドミストの遺伝子を生みこまれた人間の少女。

対レッドミスト用の兵器。

レッドミストのような特殊能力や人とはかけ離れた身体能力を持つ。

主に孤児や戸籍のない若者が多く採用されている。


所長「そうだ。前担当が消えてから、後任が見つからなくてな。そこでエイトに目を付けたんだ」


エイト「いやっ!俺には無理ですよ!そんな大役……役不足ですよ!」


所長「役不足ならいけるだろ。楽にこなせるよな」


エイト「そういう意味で使った訳では……」


所長「んなの、知ってる。あんたは無理だと言いたいんだろ」


エイト「はい、そうです」


所長「でも、安心しろ。現場に行って報告書を書くだけだ」


エイト「それだけですか……?」


所長「まぁ基本はこれだけだな。あとはドール達と仲良くしてくりゃいい。それがあんたの仕事だ」

エイト「なるほど……。ですが、報告書を書くだけならドール達でも良くないですか?」

所長「確かにそうだが、私はドールを信用できん。彼女らは我々と比べ物にならないほど強い。万が一、反乱の意志を持たれたら対処ができなくなる。あの男ならどうにかできるかもしれないが……」


エイト「あの男……」


所長「すまん。こっちの話だ。取り敢えず、マニュアルは渡しとく。読んでくれ」

所長は10枚ほどのまとめられた冊子 をエイトに手渡した。

その紙には表紙などはなく一枚目から表裏共に横書き25行ほどの文字がびっしり詰められている。


エイト「なんか、めちゃくちゃ長いですね。これ、全部頭に叩き込んで、さらに現場へ行って報告書ですか……」


所長「そうなるな。じゃあ、出てけ」


エイト「いや、ちょっと!詳しい説明とかないんですか!」


所長「んなもんない。読めばわかるだろ」


エイト「前提知識もないのに読んでも分かりませんよ!」


所長「分からないことはドールに聞け。私の仕事は終わりだ」


エイト「もう少し説明してもいいじゃないですか!」


所長「話はもう終わりだ。私はこの後、面会があるのでね。張ってくれ」


エイト「分かりました……」



所長室を出たエイトは紙を眺めながらいつもの持ち場である資料室に向かった。

その間に強いオーラを纏った男とすれ違ったが、気に留めることなく資料室へと歩みを進めた。

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