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こうしてヒーローはヴィランになった

名は体を表す。というやつだろうか。

俺……竜胆一色りんどう・ひいろは子供の頃からヒーローに憧れていた。

ただ憧れていただけで終わったわけじゃない、ヒーローになるために身体を鍛えていた。

勿論中学生になる頃には将来は正義のヒーローになるなんて馬鹿な事は言わなくなったけれど、

それでも俺の理想像は幼い頃にテレビで見た正義のヒーローだったし、

いつかヒーローみたいな事が出来るチャンスのために、鍛錬は欠かさなかった。




高校一年生の秋。学校帰りに嫌がっている女の子が性質の悪そうな男3人にナンパされているのを見かけた。

漫画で見たことのあるシチュエーションに、ヒーローになれるかもなんて期待を抱きながら、

颯爽と間に割って入った。話し合いで解決しようとしたが生意気に割って入った俺に向こうも頭にキタらしく、喧嘩になった。そんな展開を望んでいた俺がいた。

この日のために俺は身体を鍛えていたし、心だって、ヒーローになるためなら痛みなんて怖くない、と自分に言い聞かせて、数的不利にも痛みにも怯むことなくついに悪党達を倒した。

俺は少女を守る正義のヒーローになれたのだ!




停学3ヵ月。俺は正義のヒーローとして表彰されることはなく、

一般人3人をボコボコにしたヴィランとして扱われた。

ヒーローは孤独なんだ、だの、俺のやったことは間違っていない、だの、

実際に現実社会から否定されてもそうやって自分に言い聞かせられる程には俺は強くなかった。

皆が学校に行っている中、俺は部屋の中で泣きながら、子供の頃から好きだったヒーロー物のアニメのビデオだとか、フィギュアだとか、全てを壊した。





停学が明けても、俺はヴィランのままだった。

すぐにキレて人を殴るようなやつらしいとか、噂に尾ひれがついて広まっていくのに対し、

弁解をする気にもならなかった。弁解をしてまた否定されるのが怖かったのだ。



名は体を表す、というやつだろうか。

不良、というレッテルを貼られてしまったしまったことを受け入れた俺は、

授業も真面目に聞かずに寝たり、サボって学校を抜け出したりと、本当の不良になりつつあった。

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