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015 ブサメンはお金を手に入れた!

 地元まで平形に送って来てもらった。腹が減ったので何処か飯屋に行きたいと平形に伝える、地元に近くて平形のポケットマネーで賄えるお店『鳥義賊』。

 適当な物を適当に食べて適当に飲んだ、なんでも平形が絡んでいた学生は泥門組のシマで違法な薬物の売り買いをしていたのでそれを咎めていたのだとか、そうか、悪い事しちゃったな。

 それはそうと明日は金がドカッと入って来ると思うと興奮が押さえられない、日本での協力者も得た、しかし更に儲ける為には更なる人手が必要だ、日本側、異世界側どちらも軽んじてはいけない。

 さしたる会話もなく賃貸まで送って来てもらった、いやーやっぱり車って良いよな、俺も金が入ったらまず家と車かな?

 

 そして翌日。待ちに待った換金のお時間だ、なかなか寝れなくて寝るのは遅いし起きるのは早かった。半分徹夜のような怠さを回復魔術で癒しながら換金に向かう、金塊と大き目のバッグも忘れずにな。自転車のバッテリーパックをサリアに持ってもらい一緒に階段を下る。

 バッテリーパックを自転車に繋いでインゴットの入った大きいバッグを前の籠に、後ろにサリアを乗せて質屋へと自転車を転がす、開店と同時に店に入りインゴットを純度チェッカーで調べてから換金、12300000円を現金で受け取る、空になったバッグに札束を詰め込みそのまま銀行に、500000円手元に残し窓口で口座に入金。体と心がフワフワする。そのままロイホへ自転車を転がす。巨漢ブサメンとスレンダー美少女の入店、実際通報物だ。

 

「…どうした?落ち着きがないように見えるが」


 これが落ち着いて居られるか、四日前までは死ぬまで生活保護で生きるものだとばかり考えていた、それがどうだ。美少女を侍らせ昼から酒など頂いている。あ、この日本酒おいちい。

 彼女は堂々とハイボールを頂いているからもうなんかちょっと心配になって来る、ぱっと見彼女は中学生位の白人にしか見えないから通報されたらと思うと気が気ではない、まあ暗示の魔術で一発なのでどうにでもなる、と言うのが俺の最終的に出した結論である。


「…幸せな悩みだが今日は何を食べようか?払いの心配はしなくていいのだろう?」


「はい、ですがこの後また歩くのでお腹一杯にならない程度にしておいて下さい、戦闘するかもしれないで同様にお酒も酔いが回らない程度に留めて下さい」

 

「せっかくだから黒毛和牛すき焼きと海鮮のアツアツグリル、ウニイクラ丼を頼むとするか」


「俺も同じものを頂きましょう、食後にはキャラメルナッツブリュレパフェを」


「良いな、私もせっかくだからパフェを食べよう」


 すきっ腹に酒を入れていた二人は注文を決定、店員を召喚した。

 

「…しかし私もコソコソと逃げ回らなくて良いとは…ほんの数日前までは考えられなかった」


 そうか、俺達なんやかんやで似た者同士だな。



 暫く待つと料理が運ばれてきた、トレーに乗った二つの鍋がジュージューと音を立てている、これは旨そうだ。

 

「それじゃぁ…」


「「頂きます!」」


 出来立てを早速頂く、アチアチな蟹の爪を掴んで一口、ほろりと口の中で身が解ける。

 

「美味い…」


 心から言葉が零れる、美味い物とはこうあるべきだ、ホタテも一口。貝柱が甘味を、掛かったタレが塩味と混ざり合った複雑な旨味を口の中で炸裂させる、いい物使ってるなぁ!

 

「沢蟹と比べてこのカニどれだけデカい蟹なんだ?爪だけでこの大きさとなると…」


 ひょっとして海をご存じない?

 

「サリアさん、海って知ってますか?」


 俺は質問する。

 

「心外だ…馬鹿にするなよ。それくらい知ってる、塩が取れるデカい湖だろう?」


 それはちょっと違うんじゃないかな?まあ概ねその認識で良いか。

 

「しかし海の物をこうして容易に口に入れる物流技術、異世界は素晴らしい所だな」


 そうだぞ、日本と異世界では向こう数世紀ばかり技術の差がある様に思える。サリアもライターではなく火打石を持っていた、火口もオイルやゼリーではなく枯草を割いて乾燥させた物であるからして、かなりの差があるのではなかろうか。ところで片手で火を熾すのってめっちゃ大変じゃない?

 

 やがて海鮮のお鍋を食べきったので牛すき焼きを堪能する、黒毛和牛の甘い脂が甘辛いタレと調和して素晴らしい味をもたらしてくれる。そして日本酒終了のお知らせ、酔いは解毒魔術で何とかなるからビール飲もう。キャンペーンにあるクラフトビールが良い、普通のビールよりワクワク飲めるからな。

 

 こうしてワイワイしながら食事を摂る、素晴らしい時間だ。こういうのは大事、これからも意識していこう。


 やがて料理が尽きたのでデザートが運ばれて来る、二人は爛々と目を輝かせてスイーツと言う名の聖典に手を付ける。

 先ずはチョコレートからだ、はしたないが指で摘まんで口に放り込む。

 

「「旨い!」」


 ほろ苦いチョコレートは余韻だけを残して口の熱で溶けてしまう、有難う、綺麗で儚い菓子よ。

 上に乗ったホイップクリームを一口、二口と楽しむ。

 

 そして遂に来てしまったブリュレパフェのブリュレたる部分、二人は顔を見合わせ、匙を垂直に入れた。

 パキリ、小さいが確かな音が響いた。そしてバーナーで炙られた部分を口に運ぶ…

 

 無言、もう一口、もう一口と匙を進める、そうするとブリュレパフェのブリュレたる部分は失われてしまった。現代の甘味は危険に満ちているぜ、これはニコチン程ではないが中毒性があるな。

 そして匙は進んでスポンジケーキの部分へ、ダイスカットされたプレーンのスポンジ生地にたっぷりのカラメルソースが絡んでいる、ほろ苦くとても甘い、そんな幸せが口いっぱいに広がる。

 

 最後はアイスクリーム、牛乳のコクとバニラの香りが口の中をマッタリとさせる、これでお仕舞いか、そう思うとやるせない気分になる、スイーツと言う名の救済が日常という名のプレッシャーに上書きされる。食べるものも食べたし退店しますか。

 

 払いはカードで済ませ二人連立って店を出る。こういった決済の仕方は実は久しぶりだ、生活保護を受けているあいだは決済出来るほど残高が無いからな。

 自転車置き場がないから乗用車用の場所に駐車させてもらったぜ!、彼女を後ろに乗っけて賃貸まで自転車を転がして行く、結構直ぐに着いた。早速バッテリーパックをもって階段を上がり俺の部屋に入る、バッテリーの充電を開始してシートが敷かれた居室部分へ、冷やしておいた電解質飲料とバランス栄養食をリュックに入れて準備万端、俺は魔術を使うので俺との戦闘で得物を失ってしまったサリアに刀とナイフを預ける。

 

「…!、おいこれ…刃がついていないぞ!?」


 刀を見て彼女が叫ぶ。

 そうだよ、実物は一番安い見習いが鍛ったのでも安くて60万円からだからな。

 

「こんなもので実剣と打ち合っていたのか?」


「はい、別に命を獲るのが目的ではないので。」


「それであれだけの腕前を…度し難いな…飛び道具はどうだ?刺さっていたろう?」


「あれはちゃんと刃が付いていますが…サリアさんとの戦闘で在庫切れです」


 なんかディスられてるぞ俺。俺だって刃のついた刀が欲しいよ。でも今なら買えるな。樋が掻かれた掻き流しの実剣が。

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