幕間 Happy New Year & Happy Birthday!
本編とは特になんの繋がりもない内容ですが、今日更新したかったのです。
前回の幕間「記念日」を念頭に、本編中、もしくは少し先の年明けという感じでお読みください。
「Happy New Year & Happy Birthday!」
日付が変わった瞬間にそう言ったトワに、ケイはきょとんとした顔を向ける。仔猫みたいな反応に、可愛いやないかと心の中で笑みを漏らして、トワは用意してあったケーキを運んでくる。
「はっぴばーすでい とぅーゆー はっぴばーすでい とぅーゆー」
フルーツをたくさん飾ったケーキを持ったトワが、軽やかにメロディをつむぐ。ケーキに立てられたキャンドルには灯りがともり、ゆらりと揺れてケイの前に置かれた。
「なんだ、これは?」
尋ねるケイに、トワは答える。
「誕生日ケーキや」
少し考えて、ケイは以前にも同じ会話をしたことを思い出す。
「遠い国のしきたりだったか」
「そうそう。誕生日にケーキを食べる習慣やね。今日はケイの誕生日やから、ケイがキャンドルの火を吹き消してな」
ケイは素直に従ってキャンドルに息を吹きかける。火が消えてトワが拍手をすると、姫も一緒になって翼で拍手の真似をしている。
「誕生日おめでとう」
「ありがとう」
トワの祝福にケイははにかんで応える。
「夜中にケーキなんて、イケナイコトしてるみたいな気分やけど、新年やからいいよね」
ケーキを切り分けて皿に取りながらトワは、わかるようなわからないような理屈でケーキを正当化する。
はい、と渡されたケーキの皿を受け取って、ケイはふ、と笑う。
「普通は新年のお祝いをするものだろう」
この国でも、年明けはおめでたいこととして扱われるので、年明けパーティーやら舞踏会やら新年を祝う行事は存在している。
「これでは、新年よりも俺の誕生日を祝ってるみたいだな」
「んー? そうやね、新年よりもケイの誕生日のほうが重要や」
少し首を傾げたあと、トワはきっぱりと言い切った。
「生まれてきてくれてありがとう。今日まで生きてくれてありがとう。それから、今、僕と一緒にいてくれてありがとう」
春の陽のように柔らかで温かな笑顔でトワはケイを見つめる。
すっと視線を外したケイが、皿のケーキからイチゴをつまんで口に放り込む。
「イチゴ、おいしい」
片言のようにつぶやくその頬が、赤く染まっている。耳まで真っ赤になったその横顔に、隠し切れていない照れを見つけてトワは「んふふ」と小さく笑った。




