祖龍
もう1ヶ月ちょっと頑張っているが体への影響は凄いようだ、竜のおかげ?
「最近の君はとても楽そうにしているな?もう少し修行メニューをきつくしないといけないな、」
「えっ!せっかく少し楽になってきたところなのに!」
「楽じゃダメに決まってるだろ!」
で ですよね〜、、、
心の中で苦笑する、、、
それからの修行は結構辛いものだった。前の修行メニューの1.5倍、2.0倍など段々とメニューがハードになっていったのだ。
その恐ろしい修行メニューに終止符を打つ時が来たのだ!
「1年間よくやったな、お前の体はだいぶマシにはなったようだな、その美しい筋肉!私は貴方を育てて良かったわ、、、」
まるで自分の子供が独り立ちする時の親みたいだな、、、でも私は不満しかない、、、なぜかって?
体がムキムキ過ぎるのだ!私が仮に男だったらとても嬉しいだろう、だが私は女の子なのだ!いじめをうける前はいろんな人に『可愛い顔と小さい体、そして細い手足、まるでお人形さん見たいね』皆はそう言っていて、少なからず自分のモチベーションにもなっていた。でも今となっては私の体はムキムキなのだ、なのに体は小さい、、、絶対に釣り合っていない、ムキムキのチビだ。
「よし!それじゃ早速だけど血を入れようか」
「ま、まってください!私の体ってこのままなんですか!?私嫌ですよ!てか何で攻吏さんや幸さん、桜さんはそんなに細身なんですか!?」
「それはね〜、例えば腕相撲だったら私と貴方がやったら絶対に私が勝つわ。それに貴方の腕の筋肉量はパッと見、陽悟とだいたい一緒だわ。でも腕相撲をしたら私も敵わないくらいに強いわ」
「つまり?」
「竜の血を体に注ぎ込んだら体の細胞が一斉に進化を始めるの、そうなると筋肉の密度は普通の何倍にも何十倍にもなる、そうなると貴方の気にしているその太い筋肉質の腕も細くなる。筋肉量は凄まじいものになるから体重はとても重くなるけどね、」
「見た目が細くなるのは嬉しいですけどやっぱり体重が重くなるのは、、、」
「そうだな、、、まー体が細くなる前はまず貴方の細胞が一斉に破壊を始める、そして体には激痛が走るの、貴方が感じた事がないような激痛がね」
「大丈夫ですよ、私は強くなりましたから!」
まー前攻吏さんに殴られて内臓が破裂した時の方が絶対痛いし大丈夫だな、
「何をニヤニヤしているの?本当にめちゃくちゃ痛いんだよ!」
「分かってますよ〜」
「貴方は危機感が無さすぎるな、、、まーいいわあと少しで自分の愚かさに気がつくからね」
「はーい」
「まーその前にご飯を食べなきゃ!」
「ご飯の前に竜の血を注ぎ込む事はできないんですか?」
「さっきから言っているとうり1回貴方の細胞のほとんどが破壊されるのよ!すぐに他の事ができるようになるわけないじゃない」
「そーなんでふね」ムシャ ムシャ ムシャ、、、
話半分にご飯を食べ進める。
そしてついに竜の血を注ぎ込む時がやってきた。
「じゃー説明を始めるわね。今から貴方に竜の血を注ぎ込見ます。注ぎ込むんだ瞬間から貴方の体の細胞が崩壊を始めます。崩壊した際の痛みは異常なものだけど大丈夫かしら?」
「はい大丈夫です、」
ちょっとだけ緊張してきた、
「貴方は今から完全な人ではなく、半分人、半分竜になります。それでも大丈夫?」
「ちょっと待ってください!完全な人では無くなるんですか?」
「そうよ」
「竜になる代償みたいなものは?」
「今から説明するからそれを聞きなさい、
まずは体への影響から、竜になると身体能力や自然治癒力が普通の人達の何百、何千、何万倍にもなります。そして年齢が今の貴方で完全にストップしてしまいます。これからずっと歳をとることが無くなります。不老になると言うことです。そしてこれは1番の変化、自然の力が使えるようになります。受け取れる自然の力はどんなものか断定はできません。自分に適合した何かの力を手に入れる事ができます。
次にデメリット、まず1つ目に子孫を残すことが難しくなってしまいます。できない事はありませんがほとんどの子供が死んでしまいます。そして最後のデメリットは、、、」
「何ですか?焦らさないでください!」
「じゃー言いますね、定期的に龍の血を摂取しなければ死んでしまいます。」
「えっ それって龍を殺さずに生活していると死んじゃうって事ですか?」
「そうだね、私たちは普通の物も食べる事ができるけれど、栄養は摂取出来ないんだ、私達は龍の血でしか生きることが出来ない、、、でも1ヶ月に100mlのんでおけば大丈夫だから龍の血があれば1ヶ月は何も食べずに生活できるわ。」
衝撃的だった、半分竜になるということは龍を倒し続けなければならないと言うことじゃないか、、、龍を絶滅させる覚悟はあったのだ、だが、、、
「じゃ、じゃぁ、もしも私達が龍達を倒し終わったとしたら私達はどうなるんですか!?」
「私たち半竜も飢えで死んでいくでしょうね」
「そんなの嫌ですよ!私半竜にはなりたくありません!」
「やっぱりそうよね、、、だけど貴方がいないと世界も終わるわよ、」
「私がいないとってどういう事ですか!いつもいつも!しっかり全て説明してくださいよ!いつも唐突すぎて頭が置いていかれるんですよ!」
「それは本当にごめんなさい、、、私たちも半竜は飢えてしまうって事は言おうと思ってたわ、だけど世界が終わる事は絶対に言えないわ、貴方がそれを避けようとして生活してしまったらそれはどちらにしろ世界わ終わる。それだけは絶対にあってはならないの、それに龍が数える程しかいない訳ではないわ、、、」
「じゃー何故私は戦わないと行けないんですか?どうせいなくならないなら戦う必要ないじゃないですか、」
「それは違うわ、私たちが戦わなければ龍は数を増やし続けてしまう。そしたら世の中の人間達は滅んでしまうわ、貴方はそれでも良いのかしら?」
「どうせ私には好きな人も大切な人もいません。でも貴方がそう言うのであれば私は攻吏さんについて行きたい、」
私がそう言うと攻吏さんは悲しそうな顔で私を見ていた。だけど私は続ける。
「私は、貴方に助けてもらった時に『この人とずっといたいな』と思いました。そしてそれが今叶いそうなんです。痛いかも知れませんし、死んじゃうかも知れません。さっきは急の事でびっくりして断ってしまいましたが今覚悟ができました。私は貴方にずっとついて行きます。」
私は心の中にある言葉を全て吐き出した。そうすると攻吏さんは嬉しい様な悲しい様な顔をしていた。何故悲しい顔をしているのかは分からない。
「ありがとう、その覚悟を私は無駄にしないわ、、、今から竜の血を注ぎ込みます。準備はいいかしら?」
「ドンと来い!ですよ、」
そして私は血を注ぎ込むために竜のいる場所に攻吏さんと言った。竜とはどのような見た目なのか、よくお話とかには出てくるが本物を見るとなるとやっぱり怖いよね。
「ついたよ。この扉の向こうが「竜の墓」だ。まー墓と言っても死んだ竜が埋まっている訳ではないけどね」
ハハハ、と攻吏さんが言うが扉からは禍々しいオーラが漏れている。
「じゃー入るよ。」
そう言って攻吏さんは扉を開ける。現実にはそんなものはないが感覚的には黒いオーラを感じる。だが決して体に悪い物ではない事が分かった。足がすくんで前へ進まない。こんなに怖いと思ったのは初めてだ。
「久しぶりだな、、、攻吏、、」
「できるだけ貴殿に会いたくないので、」
「酷い事を言う娘だな、お前が協力者じゃなければ、すぐにぶち殺してやるのにな、本当に悔しいな、、、」
「私も同じ意見でした。とっても光栄ですわ、オホホホ」
攻吏さんは口では笑っているが、顔は全く笑いだしたいない。
「お前が私に勝てるのか?冗談もただの侮辱は冗談じゃなくなるぞ」
「今の貴方なら、ゴホンッ戦って見なければ分かりませんね。」
「面白いやってやろう」
そういいノソッと重たそうな体を持ち上げる。黒い鱗がびっしりと体に生えている。四肢は筋肉質でまるで作り物みたいだ。お腹には骨?の様なものが剥き出しになっていて翼は生えていない。
って!こんなに呑気に竜を見ている場合ではない!
「ちょ ちょっと待ってください攻吏さん、私達は喧嘩しに来たんですか?」
「そうだったわね。あまりにこの年寄りに腹がたってしまってね。」
「お前もバァバァじゃねーか。」
「あ゛っ?」
「何だ?」
これじゃぁ話が全く進まない。
「あ あの!喧嘩はやめてください!」
「何だこいつは、女の癖に筋肉質で私の好みじゃないが、」
こ こいつ、、、
怒りが込み上げて来たがそれをぐっと抑え込む。
「新しい超人の血を次ぐ者よ」
「そうかそうか!それは失礼したな、」
「は はぁ〜」
そう言って頷く。
「そんなに緊張しなくても血を入れるだけだ。
まずは共鳴できる竜を探さなければいけない、ここに立て」
そう言って黒い竜は大きな手で手招きする。そこには大きな円が描かれていた。
「心の中で竜を呼ぶのだ、頭の中で自分の今までの過去を思い描け。それに興味を持った竜があちらから現れる。」
そう黒い竜は言う。なので言われた通りに今までの事を全て思い返した。楽しかった日々が終わったあの時、死を覚悟した時、そこに希望の光が見えた時。その時だった。
ドゴォン!
凄い爆発音と共に煙が立ち上る。シューッと言う音とともに煙の中には黒い影が見えた。それはさっきの竜の一回り以上も大きくオーラも禍々しい物だった。
「いかんな、」
現れた竜?に向けて黒い竜はボソリと呟く。
「俺が興味を持った子はどちらだ?」
低く響く声でそう言う。
「た 多分私です、、」
「お前が?お前があの過去の持ち主なのか?歳はいくつだ?」
「今年で18です。」
「あの過去は偽物ではないのだろ?」
「本当の事です、」
「ハッハッハ!お前は良いな!良いぞ!お前は顔も美しい。その筋肉質な体も私の血を入れれば細くなるだろう。「ケインス・ゼ・ソード」私の真名である!お前は?」
「わ 私は「春風 藤里」です」
「そうか、良い名だ、藤里よ俺の事は「ケインス」と呼べよ、俺はお前を藤里とよぶからな。よし早速だが血の契約と行こう、説明はもう受けたのだろ?」
「ちょ ちょっとお待ちを!」
いきなり黒い竜がそう叫ぶ。
「私は「竜」の「ディャー・ライ」と言う者です。その娘との契約は少しお待ちください。」
「なぜだ?低階級のお前が私に命令か?」
低階級?一体全体何の事であろう。
「ちっ、、、」
ケインスに聞こえないくらいの小さい声で舌打ちをする。
「貴方は「祖龍」でごさいますよね?そんなお方がこのような小さき娘と契約するのはお間違いかと、、、」
「ばかっ!止めろ!」
焦った様子で攻吏さんは黒い竜にそう言う。
だが言葉をかけるのが少し遅かったようだ。
ボトッ
鈍い音を立てて黒い竜の首が地面に転がる。何をしたのかがまるで分からなかった。その直後にケインスが笑いだした。
「ハハハハハハ!!!愉快だ!実にな!私の選択を間違いと申した愚か者を殺してやったわ!アハハハハハ!」
「おい!ディャー!起きろ!」
攻吏さんは額に汗を浮かべてそう叫んでいた。
「それはお前の契約していたのか?それは残念だったな、お前ももう時期楽になるぞ、」
「ちょ ちょっと待ってください!どういう事ですか!?攻吏さんは死ぬんですか!?何でですか?」
「藤里は何も知らないな、契約した者同士は一心同体!いずれ藤里と我もな」
という事は片方が死んだらもう片方も死ぬってことかな、、、
「でも竜って不死身なんじゃ、、、」
あれ?何で私竜が不死身って分かるんだ?
「まー本当はそうなんだが、私には関係のないこと、、、」
「でもとにかく!あの竜を復活させてください!お願いします!私の大切な人何です!」
そう言って頭を地面に擦りつける。
「主がそんな簡単に土下座するのではないぞ!私への侮辱だぞ!だが、まー良い、お前がこの娘をどれだけ思っているのかは知っている、全部見たからな。仕方ないな、、、」
そう言うとボソッと何かを言う。その途端に落ちていた竜の首が蒸発したように消えて行き新しい頭が生えてくる。
「はっ!」
そう言い黒い竜はぐったりとしていたの体を持ち上げる。
「わ 私は、、、」
「アホ!お前は1回死んだんだ!この竜がいなければお前と私は仲良く2人であの世行きだ!」
そう攻吏さんが黒い竜を叱っていると、
「私をそんなでかいトカゲ何かと一緒にしないでくれないか?娘よ、私は「竜」ではない!ただあの偽物の「龍」でもなく本物の原初の龍!祖龍「ケインス・ゼ・ソード」だぞ!」
偽物とか本物とかは全く意味が分からなかった。だがケインスが凄い事だと言うのは分かる。
「私意味が分からないわ、、、どういう事なの?」
そう攻吏さんがケインスに言う。
「まー焦るではない!娘よ、まずは私と藤里の契約が先であろう!」
「そうね、ゴタゴタはあったけど契約できるとケインス様が言っているのならできるの、でしょうね、」
「勿論だ!私と契約できる者は少ないが藤里なら____」
「お待ちを!な なぜ貴方がこの娘、藤里を選んだのかだけ教えていただけないでしょうか、、、」
「さっきからうるさいトカゲだ、」
その一言で場の空気が静かになった。やはりとても凄いのかも知れない。
「まー良い教えてやる。理由は簡単だ。」この後に爆弾発言が飛び出すこととはつい知らず私たち3人は身構えた。
今回も作品を読んでいただきありがとうございました。
是非次回も読んでください!




