竜
主人公 春風 藤里:父から暴力を受けている 母
は藤里に対して無関心である 学校ではいじめを受けている
四尾 優香:藤里をいじめているグループのリーダー 綺麗な見た目とは裏腹に性格は曲がっている
春風 攻吏:急に学校に現れた謎の女の子 主人公と名前が似すぎているが深い意味はない
小川 桜:攻吏と一緒に学校に現れた謎の女の子
小学生の様な見た目だが、結構歳をとっている、、、かも
「ッ!!!」
周りの生徒たちは、愕然としている者、体をガクガクと震わせる者、唖然としているもので者、皆現実を受け入れられないと言う表情だ。そう言う自分も、攻吏が何を言っているのか全く理解できない。
攻吏の腕の中はとても暖かくてとっても落ち着く。こんな感覚は始めてだな
と、そんな事を考えていると奇声のような声が飛んで来た。
「そんな事が許される訳ないでしょ!!!」
キンキン声に耳が痛くなる。短い言葉の割には怒りで息を切らしている。優香だ。
「、、、なぜ?」
興奮している優香に対して攻吏は至って冷静にそう問いかける。
「だ だって、代表一人を殺すって話でしょ!!!そんなのルール違反だろ!!!」
あんなに怒っている優香は初めて見た。額には青筋を立てて顔を真っ赤にして歪めている。優香は確かに綺麗な顔をしているとは自分でも思っていた。だが、あの顔を見てしまったら百年の恋も冷めてしまうだろう。
「お前は自分の立場を理解しているのか?お前ごとき私が道を歩いただけで殺してんだ。この世の中は弱肉強食、弱い者は強い者の言うことを聞いとけば良いんだよよ」
「つ つまり私達の事はそこら辺の虫と同じって事?」
体を震わせながら優香がそう言う。少し考える素振りを見せて攻吏はニヤリと笑みを浮かべて
「まっそうかな?」
「お お前!ふざけるなよ!!!」
そう言いながらこちらに思いっきり走ってくる。まるで縄張りを荒らされたライオンの様だ。
攻吏は私の体をゆっくりと離して優香の方へ向かっていく。
「滑稽ね」
言葉が先か、優香の右手首が地面に落ちるのが先かは私の五感じゃ全く分からない。
「い゛ い゛ぎゃゃぁぁぁ!!!」
雄叫びに近い様な声を上げながら切断面を抑えている。自分のリボンを解いて腕に縛りつけて止血しているところを見ると流石だな、と私は素直に尊敬していた。
「お゛ お゛は゛え゛ぇぇぇ、、、ゆるざない゛ ゆるざない゛ごろずぅぅぅぅ 絶対 ぜっだいごろじゅぅぅぅぅ」
「あら、怖い事を言わないで欲しいなぁ 殺されるのは嫌だから先に私が殺そうかな〜」
グチュ!!!
「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ、、、」
鈍い音と主にまた雄叫びが上がった。
流石の私でも同情してしまうくらい酷い有様だ。一瞬で切断された片手と両足の指が優香の周りに散乱している、優香は半分白目を向いてボソボソと何かを呟いているが聞いたら心を持っていかれそうだ。でもその声は嫌でもみみに入ってきてしまう。
「ごべんなざい、、、ごべんなざい、、、ごべんなざい」
彼女の意識は朦朧としていて恐らく意識して発している言葉では無いのだろうが、こういうのは何故か見覚えがある、、、父に暴力を振るわれる私だ、、、
「どう痛かった?見た感じ痛そうだね、それは結構結構、じゃもう死んでね」
そう言いながら足を後ろへ振り上げる攻吏を私は見ていた。見ているだけのつもりだった。あーこんなにも早くに私をいじめていた奴が死んじゃうのな。呆気ないな、、、、、あれ何で私攻吏の前に立ってるの?今まで私の事を面白おかしくいじめていた奴が死ぬ瞬間なのに何で邪魔してるの?
「ちょっと邪魔だよ?そこをどい」
「ちょっと待ってください!!!もう充分いたぶったでしょ!!!もう許して上げてよ、、、」
何で私こんな事言ってるの?まだ攻吏の喋ってる時に喋っちゃった。どうしよう、怒ってるかな?
「藤里がそこまで言うのなら良いよ。
でもこの子を助ける条件があるんだけど、その条件を守ってくれる?」
冷たいくて優しい声でそう言う攻吏
以外と優しい攻吏さん。やっぱり私はこの人にずっとついて行きたいな、、、
条件?条件ってなんだろう。でもこれを約束しないと優香は死ぬって事で間違いないよね。それなら約束するしかないな
「攻吏さん?この子を助けてくれるならいいよ、約束する、で、その条件ってなに?」
私は恐る恐る攻吏に条件は何か聞いて見た。
「じゃー約束ね。ちなみに条件ってのは、、、」
今まさに攻吏が条件内容を話そうとしたその時、急な地震と謎の声が聞こえて来る。
その声は人間に発音できるとは思えない様な声だった。
「やばいんだけど!!!予定より全然早いじゃん!!!」
それまで黙りしていた桜がいきなり大きな声を出した。
「それはやばいね、二人だけじゃ「巣」をどうする事も出来ないな、、、」
攻吏がボソッと呟いた。「巣」?龍の?考えてていると、体育館の入口から叫び声が聞こえた、何だ?そう軽い気持ちで立ち上がり背伸びしてみた、そこには出入口のドアよりも大きい黒い人型の何か、黒い何かは次々と生徒たちを殺している。蹴る、殴る、潰す、千切る、色々な方法で人が死んでいく。何かはあっさりと私の前にいた生徒たちを殺して私の目の前まで来た。
「あ あの ご 御無礼をお お許しください」
何を言っているのかは自分でも分からない。
そして体が全くと言って良いほど動かない。
何で動かないの!さっきは勝手に動いたくせに、動け動け動け動け動け ッ!!!
目の前の何かはいきなり、頭の先から又まで綺麗に一刀両断された。
「大丈夫か?立てないのか?私の背中に捕って」
コクリと私は頷いて攻吏の背中にしっかりと捕まった。
「目を閉じておいた方がいいかもよ、目がチカチカするかも」
私は目をギュッと瞑った。
「神よ私たちを主の元へ返したまえ、、、、、
もういいよ」
もうあんな酷い光景は見たくない、正直怖い、体の震えが止まらない、目玉何て押し潰してしまった方がいいのかもしれない。そんなくだらない事を思っているとそっと私の瞼に手を添えて
「いきなりあんなに怖い思いをさせてごめんね。私に攻撃して来た女の子あなたをいじめていたでしょ?だからつい強くやりすぎたの、まさか貴方が止めると思わなかったの、本当にごめんなさい」
攻吏の優しい声と暖かい声
安心するな、攻吏さんがいてくれるなら私頑張れる気がする
そう思いゆっくりと瞼を持ち上げる。
そこに広がっていたのは、永遠と続く荒野だった。
今回もお話を読んでいただきありがとうございます。
学校での話から抜けましたがまだまだ話は続きますよ。
これからもよろしくお願いします。




