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君のことが知りたい

「橘課長、おはようございます」

「大津主任、おはようございます」

「なんだか、ひどくなってませんか? その(あざ)

「顔の痣は、そういうものだそうです。重力に逆らえずに、どんどん下がっていくらしくて……」


 ――お気の毒ですが少し長引きますよ


 遥の声が甦る。

「長引くらしい……」

「それは、残念ですねぇ。せっかくの男前が、台無しです」

「……」

 皮肉なのか、ざまぁ見ろと思っているのか、その声には同情ではない意味が籠もっている。

 大津は、間もなく56歳になろうとしているのに、いまだに主任止まりの橘の部下である。何かに付け、橘の容姿や家の資産や学歴やらを持ち出し、いつも嫌味のようにへつらってくる。

 そういう人間は、大津に限らず橘の周りにはいつもいたから、もう意識にも入らないほど慣れっこになっているが、それをいつまでも聞いている程、暇でもない。相手が動かないなら、こちらが動くしかない。

 橘は、書類を手に席を立った。

「10時まで、課長会議です。何かありましたら、よろしくお願いします」

「分かりました」


 会議室に向かいながら、途中トイレに寄る。そこで鏡を見て、小さく溜息をついた。

 確かに、これは目立つ。目の周りだけだった内出血が、どんどん頬にまで広がっている。その代わり、上の方は薄くなっているので、まるでパンダのような有様である。

「まいったな……」


 ――これに懲りて、お酒はほどほどになさって下さいね


 また遥の声が甦る。

「余計なお世話だ……」

 声になっていた。そう言いながらも、そのあとの「あっ、余計なこと言っちゃった」もついでに甦ってきて、少し頬が緩む。

 しかしその後に、あの涙の顔が一連のセットのように浮かんできて、眉を歪めた。


 体の中心辺りに、小さな痛みが走る。それは医学的な病巣のせいではないことは分かっている。

 しかし、その痛みはいずれ体まで(むしば)んでいくことも知っている。だから、この小さな痛みも、小さなうちに取り除いておく必要があるのだ。

 本来ならば、この小さな痛みすら生み出さないよう、慎重に対処してきた。今回は不慮の事故と判断すべきだろう。そうやって生きてきたし、そうやってしか、生きてこれなかった。他人との関わりを、最大限排除してきたのだ。

 それを……、君が一方的に入り込んできた。


 ――私は……、余計なことをしたのでしょうか


 そういうことだ。余計なことをした。だから……、この責任は取ってもらう……。この痛みは、君に取り除いてもらう……。

 鏡の前で、橘は1つ息を吐いた。


「久留宮さん、先日は失礼しました。改めてもう一度、お礼をし直したいのですが……」

 本当に橘から電話が入った。遥は、電話が掛かってきたらそうしようと思っていたことを相手に伝えた。

「いいですが、条件があります」

「お友達が一緒でも、かまいませんよ」

 一瞬電話の向こうで笑った声がして、遥の言葉が続いた。

「もう怖くはないので、付き添いは大丈夫です。お店、私が指定してもいいですか?」

「あぁ、えぇ、はい。どこでも、かまいません」

「あの公園の前の『沙羅亭』はどうですか? それなら、ご一緒します」

「分かり……ました」

 随分マウントを取られたようで、橘は少し驚いた。が、これが遥の本当の姿かもしれないと背筋を正した。見極めるべきことを、きちんと見極めよう。

 僕に踏み込んできた君の事を、僕は知らなければならない。


「いらっしゃいませ」

「こちらです、橘さん」

 既に店の奥に座っていた遥に声を掛けられ、橘はカウンターに座った。

「お待ちしてました。ここ、入ったことありました?」

「いえ」

「私も2回目なので、偉そうなことはいえませんが、けっこう気に入ってるんです」

「2回目……。じゃあ、僕が迷惑掛けた日が、初めてだったってことですか? 確か、この店の前で、僕が倒れるのを見たんですよね」

「そうですよ」

 遥は、すました顔で笑った。

 橘は、この間の印象とも電話での印象ともかなり違っていて、あれっと思う。どれが、本当の彼女なのか……。


「飲みましょう。橘さんは、あんまりこういうところ、ご存知なさそうだったから、ちょっとお誘いしてみました。庶民の味、ご存じです? 何、飲まれますか?」

「……ビールで」

「へぇ、橘さんもビールとか飲むんだ。ちょっと意外」

 真面目に驚いているので、少し橘も頬が緩んだ。

 僕の血はワインでできているわけではない。昔、そう言われたことを思い出した……。


「僕にどんな印象を持ってるか、何となく分かりました」

「違ってます?」

「さぁ、どうでしょう」

「あらっ、そういうタイプですか……。手強いですねぇ」

「……」

 手強い……。僕をどうしようと思っているのか……。

 腕を組んでアゴに手を当てて考える素振りの遥と目が合って、一緒に小さく吹き出した。本当に、どれが君……?


「この間は、私達だけが楽しくお食事頂いたので、今日は、橘さんも楽しんでくださいね。って、私がご馳走するわけではありませんけど」

「奢られる気、満々?」

「それも、違うんですか!?」

「さぁ、どうでしょう」

「わぁ、じゃあ、あんまり食べないでおきます。何とか割り勘でお願いします」

 と笑いながら頭を下げるが、どこまで本気で言っているのか、そのまま、ビールをお酌してくれる。

「今日は随分すんなり受けてくれて、逆に拍子抜けしたくらいだったので、ちょっとふざけました。大丈夫ですよ。もちろんご馳走します。この間のでは、お礼にならなかった……」

「本当はお礼とか、もういいんですけど……。私、少しはお返ししたいので、今日は後で実況見分もしましょうね。そのために、このお店にしました」

「何? 実況見分?」

「はい。橘さんが、少しでも何か思い出せるといいなと思って……」

「あぁ、……ありがとう」

 その言葉を聞いて、遥がにっこり笑った。その顔を見て、なぜだか少し安心する。これなのかな、と思う。君の本当……。


「何か、食べたいものはある?」

 橘はカウンターの奥にある、メニューの書かれた大きなホワイトボードを見る。

「ええと……。ママ、今日のお勧めはなんですか?」

 遥はお通しを持ってきた割烹着の店主に、声を掛けた。

「お刺身でしたら、ブリか戻り鰹ですね。とり貝もいいのがありますよ。あとは、イトヨリの塩焼きもお勧めです」

「やだっ、好きなものばっかり……。橘さん、どうします?」

 遥が、急にテンションが上がった様子で見返してきた。

「じゃあ、刺身は盛り合わせにして下さい。あと、イトヨリと……、鯖はありませんか?」

「あぁ、今、美味しいですからね。味噌煮でよろしければ」

「じゃ、それも下さい」

「ふぁ〜」

 横で変な声を出しながら、今までで1番敬意を持った眼差しで見られている気がする。分かりやす過ぎないか……。君は、食べることに目がないってこと。


「なんだか、豪華ディナーですねぇ。いいんですか?」

「僕も今日は、お腹が空いているので」

 段々分かってきた嬉しさで、橘も笑顔で答えていた。

 すると遥は、また少し驚いた顔をした。

「……何ですか?」

「いえ、橘さんの笑った顔、初めて見たので……」

 照れることを言われ、思わず片眉を上げて、いつもの仮面に戻った。油断した……。

「えっ、ダメダメ。さっきの方が、いいです。どぅどぅ」

 今度は訳の分からないなだめ方をされて、さすがに吹き出した。

「久留宮さんは、面白い方なんだな……。こっちも、ちょっと意外ですよ」

 すると今度は、遥は少し真面目な顔をした。

「私にどんな印象を持ってるか、何となく分かりました」

 僕の真似と思われる低い声を出しながら、人差し指をフリフリして話したので、本当に笑ってしまった。

「まいったなぁ」

 遥も声を出して笑っていて、店の喧騒に馴染んでいく。少し、僕らの居場所ができた気がした。


「あの日、久留宮さん車だったでしょ? 今日も車?」

「あぁ、あの日は本当に特別で。いつもはもちろん電車通勤です。お客様への納品が、どうしても営業ができなくて、私が自分の車で行くことになってしまったんです。年に何回もないんですよ、あんなこと」

「へぇ、納品って何扱ってるの?」

「輸入雑貨です。食器や生活用品、女性もののパジャマや室内着なども扱ってます」

「店舗もあるの?」

「ええ。東京は帝国ホテル、名古屋はヒルトンホテル、大阪もヒルトンです。あと、東京と名古屋の百貨店にも数店舗」

「なるほど。じゃあ、久留宮さんもお店に出たりするんだね?」

「若い頃は出てましたよ。でももう内勤専門で、今は営業事務です」

「だから……」

 橘は、思わせぶりな声音で、その先を言わなかった。

 1人で納得しているのは、心地よくない。遥は心の中で口を尖らす。

「だから、何ですか?」

「人のあしらい方が、上手い」

「あら、そうですか? そんなこと、初めて言われました」

 橘は、横で驚いている遥に笑顔を向けた。

 相手への気の回し方だとか、手の差し伸べ方に嫌味がない。だから、そばにいてもこちらは楽に息ができる。


「私、ポンコツですから、めったに褒められません。ありがとうございます」

「ポンコツって……、誰かに言われたの?」

「いいえ、自分のことは自分が一番よく分かってるでしょ。だから、ポンコツ。自分でも、もう少しはできる奴かと思ってたんですけど、ダメだったみたいです」

「……」


「私は……、そんなとこです。橘さんは? そういえば、名刺頂いてましたね」

 遥はカウンターの下の棚に置いてあったバッグから、名刺を探り出した。

「商事会社の海外事業部?」

「ええ」

「なんだが、すごいお仕事っぽいですね」

「いや、海外の支社の面倒を見るだけの仕事です」

「しかも、課長さん?」

 小さく頷いて、橘はコップのビールを一口飲んだ。

 今、気が付いたのか。あの日、渡してあったはずだが、興味がなかったか。……そうか。


「えっ、もしかしてこの四葉商事って、あの四葉グループの……」

 遥が目を丸くして、橘の顔を見た。

「はい」

「ひゃっ」

 小さな悲鳴と共に、遥が手に持っていた名刺を、ポイッとカウンターに投げ落とした。

 なんだ!? 何か虫でも付いてたか……?

「大……丈夫?」

 小さく固まっている遥に、そろりと声を掛けた。


 遥は放った名刺を、今度は慎重に手に取り直して、四隅をまるで熱いものでも持つように持った。

「権威に弱いんです、私。すみません、大切な名刺を……」

 今度は眉間にしわを寄せて、梅干を食べたような顔をしている。

 君は……、変幻自在なのか……?

「僕は、僕だけど……」

「あぁ、そうですよね。でも、なかなかそうは体が反応しなくて。ええと、臨時で構わないので、この権威、しばらく他所に置いて頂けませんか。そうしないと、緊張してこのお刺身の味が分からなくなってしまうので……」

 橘は、声を上げて笑った。

 分かった。とにかく、美味しく食べたいんだな。

「いいよ。こっちも、その方がありがたい。じゃ、手始めとして『遥さん』で、いい?」

「一気に庶民に下がられて……。助かります。よろしくお願いします」

「じゃ、遥さん、改めて乾杯」

 グラスを合わせて食事を始めた。


 途中、煮物を1つ追加する。2人でシェアすることにほとんど躊躇しない遥を、橘は少し眩しいものを見るかのように眺めていた。

「遥さん、ご家族が多い?」

「? なぜですか?」

「いや……、同じ器から食べるのに慣れてるから」

「えっ……」

 小鉢から取ったサトイモを頬張った顔のまま、驚いて橘を見る。

「すみません! 気がつかなくて。イヤですよね。本当にすみません」

 遥は慌ててサトイモを飲みこんで、箸を置いてしまった。あぁ、そうじゃないよ……。

「いい、ごめん。気を使わないで。大丈夫、イヤじゃない。本当に……」

「でも……」

「長いこと、そんな食事したことなかったから……」

「……」

 

 ――彼は、あの大きなお家に、1人で住んでらっしゃるのでしょうか?

 ――そうです


 遥はあの会話を思い出した。いつも食事は、どうしているのか……。

 橘に分からないように少し息を吸って、ゆっくりと笑顔になった。

「妹がいるんです。あと、実家では祖父も祖母もいて……。だから、ぼぅっとしてると、私が全部食べちゃいますよ!」

 敢えて自分の箸でサトイモを1つ取って、橘の取り皿に置いた。

「美味しいですよ。旬のサトイモ」

 少し呆気に採られた様な素振りを見せた橘だったが、小さく笑いながらそれを口に入れ、橘も遥を見つめた。

「うん、おいしいな……」

「でしょー」

 そうやって、元通りの風景に戻った。橘はあと一皿、シェアできる小鉢を頼んだ。


 気がついたら2時間近く経っていて、充分お腹も満たされたので、帰ることになった。店を出て遥が改めてお礼を言う。

「ごちそうさまでした」

「どういたしまして」

「ではこれから、お礼の実況見分を始めます!」

 号令の様に言ったかと思うと、遥は敬礼までした。

 橘は目を瞬いた。今度は、何が始まるのか……。


「あの日お店を出たら、虫の音がしたんです」

 遥はそう言うと、目を閉じて耳に集中している顔をする。それに釣られて、橘も何となく耳を澄ませた。

「あぁ、ほんとだ……」

 なんの虫なのか、涼やかな虫の音がしていた。微かな音だ。

 橘の言葉に遥は頷く。

「こんな都会の中なのに……、って周りを見渡して、そこに公園があるのを思い出したんです。それで少し眺めながら、代行の車に乗ろうとしました」

 実況見分とは、そういうことか……。


 ――橘さんが、少しでも何か思い出せるといいなと思って


 遥の気遣いに、橘は気持ちが揺れる。

「そしたら、誰かが倒れるのが目の端に入って……。慌てて代行の運転手さん達と公園に向かいました」

 遥はスタスタと公園に歩き出した。橘も、自然に後について行く。


「すると、ここに見知らぬ男性が倒れていました」

 遥は、刑事ドラマでよく見るような、遺体のあった位置を表す線を、どこからか探してきた枝で地面に書き出した。

 ふっ、なるほど……。カバンは、ここ。眼鏡は、ここ。

「で、慌てて声を掛けたのです。『大丈夫ですか?』」

 まっすぐ僕の顔を見ながら、問うてきた。どうしたのか自分では分からないので、分からないと小さく頭を振った。

「小さく呻き声がして、あぁ、生きてるって確認し、もう一度声を掛けました。『大丈夫ですか?』」

 もう一度僕の顔を見て、遥は続けた。

「そこで見知らぬ男性は、一言言ったのです」

 マイクを持ったような手をして、僕に突きつけてきた。確か……

「ほっといて、くれ?」

 遥はにっこり笑って、「正解」と顔で応えつつ続ける。


「ここで余談ですが、その声を聞いた私は、『わぁ、いい声』と思います。『低すぎず、でも男性らしい低音の響きのある、いい声』と。でもすぐに『そんなこと言ってる場合では、ないな……』と考え直し、見知らぬ男性の住所を調べるべく、財布を確認しました」

「えっ……」


 いい声って……、思わず片手で口を覆っていた。遥がこちらをしっかり見つめてくる。今、僕の顔は、赤くなってないか……!?

 遥は意味あり気な顔で、先を続けた。

「素直な反応、ありがとうございます」

 追い討ちのように言われる。ちょっ……、どう返せばいい……。それとも、イジられてるのか!? この僕が……。


 と、よくよく遥の顔を見れば……、もしかして彼女は酔っているのか!?

 ほんのり赤くなった頬に、目もトロンとしている気がする。焼酎の水割りを、2杯ほど飲んだだけだったと思ったが……。


「検分の途中で悪いんだけど、もしかして遥さんって、お酒強くない?」

 突然の質問に、遥は目をパチクリさせる。お返しなのだから、質問にはしっかり答えねば。

「はい。強くありませんっ!」

 また、敬礼をした。


 橘の頬が緩んでいく。ゆっくりと可笑しさが込み上げてきて、声に出して笑い出した。何が可笑しいのか、よく分からない遥だったが、橘が笑い続けているので検分を一旦中止し、一緒に笑った。

 笑いが収まったところで、橘が言う。

「もう、帰ろう。本日の実況見分、とても参考になりました。ご苦労様!」

 遥を真似て、橘も敬礼した。それに応えて、遥ももう一度「はっ」と言って敬礼をしている。

 本当にこんなに笑ったのは、いつ以来だろう。恩返しのつもりが、更にお返しをされている。これでは永遠に終わらない……。


 タクシーを拾い、遥の家に向かう。車中、橘の家での実況見分はいいのかと遥が言い出すので、もう大丈夫だと答えた。どうせ、思い出せそうにない……。

「あの……」

 遥が、自宅に到着する間際で、橘に顔を向けて聞いてきた。

「ん?」

「私は……、私は余計なことをしたのでしょうか?」

 酔ってはいるものの、真剣な目をしていた。そうだ、僕はこれに応えるために、今日君に会いに来たんだった。これをしなければ、あの「小さな痛み」は取り除けない。

「いや、君のお陰で助かったよ。ありがとう」

 きちんと目を見て、誠意を込めて礼を言った。遥は、パッと笑顔をはじけさせ、もう一度敬礼をした。

 これであの「小さな痛み」……、そう、君を傷つけたという小さな後悔は、拭い去れるだろう。


「では、これで本当にお返し、きちんと頂きましたので、ありがとうございました。とても楽しかったです。気をつけてお帰りください。……お元気で」

 タクシーを降りた遥から、その別れの挨拶を聞き、一瞬で橘の胸に痛みが走った。あの「小さな痛み」の数倍の痛みだ。これで終わりだと、君は思っているのか……。

「また、一緒に食事できないだろうか」

 探るように言葉にしていた。遥は、そんなことを言われるとは思わなかったという顔をして、固まっている。まだ閉まっていないタクシーのドアから出て、改めて言葉にした。

「LINEを交換してくれますか?」

「えっ……」

「イヤですか?」

「……イヤでは」

「じゃ、はい。スマホ出して、フリフリして下さい」

「あっ、はい……」

 これで、やっと僕も家に帰れる。

 飲んでいるとき、どうしても言い出せなかった。

「あの……」

 まだ現実に戻ってきていない顔をして、ぼぅっと突っ立っている君を置いて、タクシーに戻った。窓から声を掛ける。

「また、連絡するよ。じゃ、お休み」

「お休みなさい……」

 小さくなっていく遥の姿をサイドミラーで確認しながら、橘は大きく息を吐いた。

 本当の君は、まだまだ奥が深そうだ。

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