第1話
子供は宝だ。
昔も今も変わらない事のはずだ。
儂は自分の子に口が酸っぱくなる程に言い聞かせてきた。
だからこそ儂が儂であり続ける為に今日も言わなければならんのじゃろうな……。
「さて、お前達や。 儂ももう長くはないじゃろうて。 自分の体の事じゃし年も年じゃからな。」
そう言うはヨボヨボのお爺さん。
言い直そう誇らしい俺達の親父は体が動かせなくなるまで生きてくれた。
どうせ今から何度も聞かされた言葉と話をされるんだ。
もう聞かなくて済むとせいせいする。
「分かっておるな? 子供は宝だ。 忘れるでないぞ、儂の誇らしい子らよ。 何があろうとも子を守れ。 子を守る為にも自身を守れ。 良いな……? 後を……託すぞ、儂の……宝達よ……。」
その言葉を最後に親父は言葉を発する事は無かった。
「儂の宝か……。 親父、今まで一度も俺達の事をそう言う風には言わなかったのにな。」
残りの二人は言葉が出ないのだろう。
そのうちの彼は上を見て目を覆っている。
もう一人の彼女は下を向いて口を抑えていた。
俺は前を向いて皮肉を言う事にした。
「もう……ズビっ……、ぎぎあぎだよ親父ぃ……。」
聞けない事が淋しいよ。
俺は最後まで言葉を発する事は出来なかった。
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とある貴族の家に子供が生まれた。
与えられた名はクラン。
「これが俺の子か……。」
父親が涙を浮かべながらクランの頬を撫でる。
「ジェリス、我が子とはこんなにも愛い物だったのだな……。」
「その通りですよカイン様。」
「子が生まれるまで実感が沸かなかったのだ。 人が誰も変わらぬとな。 だが今は違う。 俺はジェリスとクランの二人を守ると誓おう。」
国が変わろうとし始めた日になったのだった。
ゆったりと書いていきますが放り出したらすみません