①・②
①虫
ある日、私は起きると視界の隅で飛び回る黒い虫を見た。
その虫を追おうと目を回したが、すぐに消えてしまった。
次の日、私は起きると視界の中ほどで飛び回る黒い虫を見た。
その虫を追おうと目を回したが、すぐに消えてしまった。
あくる日、私は起きると視界の中ほどを飛び回る白い虫を見た。
その虫を追おうと目を回したが、すぐに消えてしまった。
私はそれ以降虫を見ることはなくなった。
②こ線橋
私の最寄り駅にはこ線橋がある。隣のホームとを渡すためのものだ。
上り線と下り線が別ホームにあり、駅舎が上り線側にしかないので、下り線の利用客はこのこ線橋を利用する。
今日私は仕事が長引いてしまい、最終の下り列車で家へと向かっていた。
駅へと到着すると、いつも通りの閑散としたこ線橋を渡り、駅舎へと向かう。
こ線橋を渡りきり、階段を下りているときに私は黒い服を着た男性とすれ違う。この列車はこの駅どまりで、この先へは行かないはず。不審に思った私は、彼へ問う。
「下り列車はもう終わっていますよ。もう列車には乗れませんよ」
すると彼は私を見据えてこう答える。
「列車に乗るためにわたっているわけではありませんよ」
やさしく微笑みかける彼は、手に白い花束を抱えていた。
男性の行動により若干気持ちが軽くなった私は、駅舎を向き直り階段を駆け下りた。
そして、私は列車の前で花束をたむける彼を見上げながら、微笑んだ。
解説は下↓↓↓↓
①語り手は目の病気でした。
最後に虫のように小さな光を見て、失明したのでした。
②最後の文章に注目。
彼を見上げているということは……。昇天していますね。




