前へ目次 次へ 34/36 第五話 無機物の思考 <プロローグ> ここは、どこなんだろう。 「――」 音が鳴っている。 「わたし――」 誰かの声のような。いや、声なのだろうか。 「私、ひと――」 誰かの声が、遥か遠くから聞こえている。 「私、動かなくても、動けるの」 誰かの声が、徐々に近づいてくる。 「私、外に出なくても、外に出られるの」 誰かの声が、はっきりと聞こえる。 「私、見ることができないものにしか、見ることができないの」 誰かの気配を、すぐ耳元に感じる。 「私、今あなたの――」