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微忘碌  作者: 平田凡太
8/9

忍べど

 音を姫の背後へ置き去りにし、正面へと回り込む。

 姫は音に気を取られ、振り向いている。


 ──確実に首をとった。

 そう感じ取った。

 私はそう思ってしまった。

 私はそのまま横に振り払った筈だった。


 ……ありえない。そう私の脳がその光景の理解を拒む。

 一瞬にして私の渾身の一撃は軽くいなされ、刀は塵と化していた。


 死角からの一太刀を完全に読み切り、目にも留まらぬ速さで刀を粉砕したというのだ。


「良い一太刀ですね。意識を逸らして私を討とうというのは良いことです」


 姫は顔に微笑みを浮かべ振り向く。

 姫の微笑みには殺気が含まれていない。


「妖刀、名刀、聖刀、神刀……強者たちはありとあらゆる刀剣で私を討とうとしました」


 ……ああ、ダメだ。

 身体中が震え上がって、言うことを聞かない。

 手に持つ刀身のない刀は床へ落ち。

 足がすくんで動かず、腰が抜け落ちる。

 この姫に勝てる未来が見えない。


「けれど所詮、ただのモノに頼る者。私には遠く及びません」


 姫が一歩、また一歩と近づいてくる。

田舎に置いてきて祖母の顔が浮かぶ。

私の人生はここで終わりなのだと──


「ああ、可哀想にこんなに怯えて……そうですね……一日に一度、私を殺そうとしていいという条件で私の元で働きませんか?」


「──ふぇ?」


──そう思っていた。

 突拍子も無い言葉に変な声が出てしまった。


「先程砕いた刀。無名の刀でしょう。私、技量だけで戦う人は好きですよ」


 私には姫の言っていることが理解できない。

 理解はできない……けど、助かったの……?


「同年代の子も丁度欲しかったですし、給金は弾みますよ……多分」


 強張った身体から力が抜け、自然と涙が溢れてくる。


「あっ! 泣かないでください! 私が直接お金の交渉はしますから……ね?」




一話と時代設定は同じ

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