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今日は予約投稿してみました!

某ゲームでは、最弱のモンスターに位置づけられているスライムこそが低層階で初心者を相手に猛威を振るっているレアモンスターの正体であった。


スライムのその不定形の身体は物理攻撃を無効にし、迷宮のわずかな隙間に隠れることができ、獲物の死角から忍び寄り一気に丸のみをしてしまう。

スライムが冒険者を飲み込むと、まずスライムが嫌う装備を吐き出し、次に身体を覆う装備を溶かすと、最後にメインディッシュの身体をゆっくりと溶かして吸収していくのだ。

このように、これまでも数多くの駆け出しの冒険者の命をスライムは奪ってきたのだった。


とはいえ、低層階に出る魔物であることからも、スライムは対処法さえ知っていれば手ごわい魔物では全くない。

現在では、迷宮探索者を目指す冒険者には、冒険者ギルドから必修の講義を受けるように指導されており、

今日から冒険者になった僕でさえもその対処法はちゃんとしっていた。

スライムは、火に非常に弱いのである。


目の前のスライムをみると、すでに金属は身体の外に吐き出しているようで、見たことのある立派な剣が、これまた見たことあるような姿で床に転がっていた。

身体を覆う装備は、今まさに溶かそうとしているところらしく、こうしてみている間にも少しずつ肌色が見える部分が増えているのがわかった。


今日はよほどこの子に縁がある日なんだな……なんてあきらめたような気持にもなりながら、僕は、低級魔法を使用して火をつけた。


「着火」


指先にともった小さな炎をスライムの身体に押し付けると、スライムの大きな体積はあっという間に小さく縮み、こぶしくらいの大きさになったところでブーツで一気に踏みつぶした。


ポコン


そんな音を立てて、スライムの姿が消えると、後には魔石が残された。これで10個目の魔石である。


「ラッキー、ようやくノルマ達成か」


あとは、彼をどうするかだが……


上半身を覆っていた肌着であったものはもはや上半身を隠す役目を担っておらず、予想通りの彼の貧相な上半身がさらけ出されていた。

僕もたいがい貧弱ではあるけれど、十分に食べ物を食べれてないのかな、ん?でも、思った以上に鳩胸というか?


なんだか違和感を受けつつも、彼の状態をチェックすると、脈はあるものの呼吸をしていなかった。

まさかとは思い、意識を失っている彼の口をあけると、ゼリー状のものが口の中いっぱいに詰まっていた。


僕は思わず、一縷の望みをかけてあたりを見わたした……がそこに誰かがいることもなく、イヤリングを使ってみても人はおろか魔物の気配すら感じなかった。


僕は小さくため息をつくと。


「これは、医療行為……男同士とかノーカンだから……ノーカン」


そんなことをぶつぶつつぶやきながら、意を決して彼の口に口をつけると、彼の気道を塞いでいるゼリー状の物体を吸い出した。

ところてんのような味のない物体を、男の口から吸いだすことがどれだけ苦痛だったかはぜひ想像にお任せをしたい。


ある程度吸い出したところで、今度は息を吹き込んであげると、


ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ、ゲー


せき込んだ後に、残っていであろうゼリーを吐き出したあと、彼の呼吸が戻ってきた。

どうやら、意識はまだ朦朧としているようで、上半身を起こしたものの目の焦点がはっきりしていない。

頬をぺちぺちと叩きながら、声をかける。


「大丈夫?」


何度か声をかけるとようやく意識が戻ってきたらしく、彼の目の焦点がようやく心配そうにのぞき込む僕の顔に合った。


「き、君はアルド……」


ようやくちゃんと意識が戻ったようで、少し胸をなでおろす。

彼は、自分の置かれていた状況を思い出したようで


「ありが……」


お礼をいおうとして、自分の恰好に気が付き、両手を胸の前で抱えるようにして急に立ち上がった。

立ち上がった勢いで、下半身を覆っていたズボンの成れの果てだったものがはらりと地面へと落ちる。

彼の青白かった顔は、健康的な肌色を通り越して一気に真っ赤になった。


その時に、僕はようやく自分の過ちに気が付いた。


彼は彼女だったのだ。


「キャーーーーーーーーーー!!」


彼改め、彼女が右手を大きく振りかぶり……


迷宮の中に、疳高い音が響いた。


明日?は、正午あたりに投稿する予定です。


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