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あっというまに休日が過ぎていきますね……

「ほら、君、起きて」


そういって、少年の顔をぺちぺちと叩く。

身体を少し触ってみたが、少年の身体は細いというよりは華奢で、こんな身体でどうやって剣を振り回すんだろうと、傍らに置かれたままの剣を見やる。


「う、うーん、もう食べられない……」


どうやら意識が戻りつつあるようだ、僕がさらに少年の肩を揺すってやると


「から揚げ……はっ、近っ、なんだお前は」


そう言って、少年が大げさに僕から距離をとる。助けてあげて、勘定も払ってあげたのに、なんだか傷つくな……まあいいか。


「ほら、立って。建て替えておいてあげたから、今日はもう帰って。二度と無銭飲食はしたらだめだよ」


まるで、年下の少年を諭すように言い聞かせながら、少年を立たたせてあげると


「あ、ありがとう……いや、こんなことでおれに恩を着せれたなんて思うなよ、金は絶対に返してやるから、覚えてやがれ!!」


そんな、悪役のようなセリフを吐きながら、少年はドアの外へと走りだそうとする。


「まって!ほら、剣忘れてるよ」


そう言って、置き忘れていた剣を渡してやると。少年は慌てて戻ってきて、言動とは裏腹に大切そうに両手で剣を抱きしめるように僕からうけとった。


「ありが……お前!名前は?」


「アルドだけど」


「アルドだな、覚えておけよっ!」


少年は、改めて捨て台詞をはくようにして今度は剣を忘れずに走り出していった。

小さな身体に不似合いな大きな外套をなびかせながら走っていく少年の後姿を見ながら、

コケるんじゃないぞとどこかハラハラする気持ちで、少年が曲がり角に消えていくのを見送った。


なんだか、あわただしい子だったな。


そんなことを思いながら、残った食事を平らげると、勘定を女の子に支払った。


さて、では、こんどこそ迷宮へ。


腹も膨れて準備も終わった僕は、迷宮までやってきた。

ワンバックには、街から30分ほど歩いたところに小規模ながら迷宮があり、その立地の良さから多くの冒険者が迷宮に挑んでいた。


迷宮は、誰が作ったものかわからないが、ある日突然生まれるといわれている。

ほおっておくと、迷宮はどんどん大きくなっていき、限界に達すると魔物が中から溢れてしまうと言われている。

そのため、新しく見つけられた迷宮には、冒険者を送りこみ、迷宮のコアを破壊することで迷宮を消滅させるのだ。

しかしながら、ワンバックんの迷宮のように、立地がいい迷宮などは、定期的に魔物を退治することによって管理が行われている。


迷宮の入口を警備している衛兵に冒険者証を見せて迷宮の中へと入る。

実は、迷宮にくるのは初めてではなかった。

迷宮もごく低層階では危険がほぼなく、一般人でも中に入ることができるのだ。

以前、学校に通っていた時に、課外授業の一環として迷宮の探索を行ったのだった。


入ってすぐの小部屋に、いくつかの冒険者のパーティが集まって雑談をしていた。

この小部屋は中央にある祭壇の力で、5階おきに行ったことがあるそうにワープができるようになっており、

これまた中にいる衛兵にお金を払うと使わせてもらえるようになっているらしい。

僕はまだ2層までしかおりたことがないので、小部屋を素通りして中へと進んでいく。


ワンバックの迷宮の中は、まっすぐに切り立った白いほのかに光る壁で構成されており、

明かりがなくても中は明るく、このあたりからも駆け出しの冒険者を中心に人気が高い理由になっていた。


迷宮の中を足早に進んでいく。低層階の危険が少ないというのは、逆にいうと迷宮の低層階は実入りも少ないということである。

ワンバックの迷宮は地図さえ販売されているので、僕はまったく迷うことなく、3層の入り口までたどり着いた。


3層の前には、また衛兵がたっており、一般人が下に降りないように人の出入りをチェックしていた。

3層はまだまだ低層階であり、弱い魔物しか出てこないのだが、運悪くレアモンスターに出会ったような場合、

実際に人が死ぬこともあるので、一般人が入らないようにしているのだ。


改めて、3層の入り口の衛兵に冒険者証を見せる。


「むっ、一人か?迷宮での探索はパーティでの探索を推奨しているはずだが?」

「まだ駆け出しですので、パーティとか組めてなくて。深くは潜るつもりはありません」

「そうか……さっきの…といい、今日は、まあ、低層階で危険は少ないとはいえ十分に注意するんだぞ」

「ありがとうございます」


最後は、注意はあったが許してもらえた。

さて、これから、僕の迷宮探索が始まる、まってろよー魔石。


明日は、正午あたりに投稿する予定です。


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