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長くなりそうなので、ここでいったん投稿します。
二人の勝負はなかなか決着がつかなかった。
あるとき、エリザベスが、何かを思いついたように、こちらへと振り返った。
「アルド、いきましょう」
そういって、いつものようにエリザベスが、僕の手を引いて外に連れていく。
「ちょっとエリザベス、どこへ?」
「約束してた」
「ああ、迷宮に行ってみるってはなし?」
「そう」
確かに、今回のエリザベスの訪問では、迷宮に行ってみたいと言っていた。それも明日の話だけどね……
「ちょっとまって、どこ行くの。私もついていくから!」
やっぱりアンもついてくるらしい。どうも波乱の予感しかしいんだけど、いまはなすがままに任せるしかないか……
……
…………
そうして、僕はいま、迷宮の中で……
ただただ、生み出される魔石を拾い続けていた。
エリザベスが、素手で魔物を屠ると
「負けるか」
アンが、剣と魔法をつかいわけて、魔物を倒していく。
そのスピードは、エリザベスにも引けを取っていない。
いくらリズが手を抜いているといっても、魔族で最強、つまり、世界最強であるエリザベスにここまでついてくるなんて……アンの成長をすごく実感する。
四天王にはまだかなわないかもしれないが、いまなら六大将軍とでもいい勝負をするんじゃないだろうか。人間の勇者としては、歴代最強と言ってもいいかもしれない。
二人の快進撃は全く止まらずに、あっという間に僕の最深不倒の25階をあっという間に更新してしまった。25階のボスは初めてだったのにも関わらず、その姿すら碌に見ることができなかった。
ワンドックの街の迷宮は50層からなることがわかっている。二人は、このペースで今日中にすべての階層をクリアするつもりだろうか……
拾った魔石でいっぱいになったマジックリュックの代わりに予備の、マジックバックを取り出した。このリュック、いっぱいになったのは初めてだな……SRのものだから、かなり入るんだけど。
僕はそんなことを思いながら、冒険者ギルドでのやり取りを思い出していた。
迷宮の3層以降に入るためには、冒険者ギルドでの許可を得ることが必要である。僕とアンは、もちろん冒険者として登録しているので問題はない。でもエリザベスは違った。
魔王なのでもちろん冒険者ではないし、やっぱり登録の必要がある。
世の中には、数は多くはないけど、獣人や、エルフ、ドワーフなどの亜人、デミといわれる人たちの冒険者もいるけれど、僕の知りうる限り人類の敵であった、魔族の冒険者がいたという話は聞いたことがない。なんどもいうけれど、エリザベスは、しかもそのボスの魔王である。冒険者というシステムは、はるか昔に、魔王を倒す勇者を育てることを目標として、大賢者が作ったものと言われている。普通に登録をしようとしても何か問題が起きるかもしれない。
前回、エリザベスが、迷宮に行ってみたいという話をしたときに、シルビアさんが、「なんとかします」といっていたのだが、その後特に連絡は受けていない。
僕は、手をつなぐ僕とエリザベスの後ろについてきているアンがさっきから一言も言葉を発さないなど、いろんな意味で不安になりながらも冒険者ギルドへと足を踏み入れた。
ギルドに入ると、中でたむろしていた、冒険者たちがアンの姿を認めて、大きくざわついた。冒険者ギルドは、世界中にあるが、ホームと呼ばれる冒険者ギルドは登録を行ったギルドから変わることがない。アンは、ワンドックの冒険者ギルドが生んだ、新進気鋭の勇者で、一番の有名人だった。
今では、アンは、若く、かわいい女の子なので、王国の中でも指折りに有名な勇者になっていて、最近では、アンにあこがれてワンドックで冒険者になる若者も増えているらしい。
あっという間に、アンが人ごみに捕まってしまったのを横目に、僕はエリザベスをつれて受付へと向かった。アンが、何か僕の名前を呼んでいたような気がしたが、あそこに知り合い面をして入っていく勇気は僕にはなかった。命まではきっと取られないさ……
おそくなってしまってすみません。
新年会とかでした。
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