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予約投稿にしてみました!
「エリザベス様!!!」
お付きの美人が、大きな声をあげる。
「ん、大丈夫」
もはや瓦礫になってしまった、玉座からでてきた彼女の服は痛々しく敗れ、わずかではあるが血を流している。
「リズ様、血が……」
「大丈夫」
「まさか人間の勇者がここまでやるなんて」
無敵の効果か、全く力の加減ができない。
気持ちでは、トンッと軽く押しただけのつもりが、危うく彼女を殺してしまうところだった。
激しい戦いというよりは、エリザベスの扉を吹き飛ばすような攻撃のせいだろうが、数は決して多くはないが、さっきいた赤青黄の子供たちや、そのほかにも見たことがない魔族たちが周りに集まってきていた。やけに、女性や、子供たちが多いように見える。
「「「「「「エリザベスさま、がんばってー!!!」」」」」」
子供たちから声援が飛んでいる。
アンを傷つけられて、二度と同じようなことを起こさせないように、魔王城に乗り込んできたものの、今では、なぜか完全にこちらが悪者のようだった。
「大丈夫、あなたたちがいる限り、わたしは絶対に負けない」
そして、魔王の方が、勇者のようであった。まあ、もともと僕も勇者ではないんだけども。
しばらく、自分の周りの魔族たちを見渡すようにしていたエリザベスが、こちらをこれまでの少し眠そうな表情から、何か決意を固めたような真剣なまなざしでこちらを睨みつけてくる。
「シルビア、あとのことはまかせたから」
お付きの顔色が驚愕に染まった。
「まさか、リズ様、そんな……」
「この人間はここで倒しておかないと、私たちが滅びることになる」
「リズ様……」
二人が何かを通じ合って、抱き合っている。
周りを囲む子供たちも、二人の様子を真剣に見守っている。
そして、僕は、完全に空気だった。
「あなたたち、ここから離れなさい!」
お付きの美人がエリザベスから離れると、声を張り上げた。
「リズさま、ご武運を」
そう言ってエリザベスのもとを離れていったお付きの美人が子供たちをまとめると名残惜しそうにその場を離れていく。
そして、魔王城には、僕と魔王、二人だけが残された。
「まって、もらって感謝するわ、人間。いや、名前を聞いておくわ」
「アルド・ノワルドだけど」
「そう、いい名前ね。ご両親はあなたのことを愛してたのでしょうね」
そう言って魔王は遠い目をしている。両親からもらったこの名前を誉めてくれるのはうれしかったのだけど、この妙な空気に僕は耐えられなかった。
「エリザベスだっけ……まだ、僕たちは戦う必要はあるのかな?」
「……、なかったらいいと思うけど、あなたは危険すぎるわ。わたしは、わたしの子供たちを守らないといけない」
「でも」「話はもう終わったわ」
そういうと、彼女が両手を上にあげ手のひらを天に掲げる。
すると、彼女の頭上のあたりに、激しく流れが渦巻く黒い球体のようなものが現れた。その球体は、激しさを増しながら、だんだんとその大きさを増していく。
「これから放つのは、わたしが魔王として、最後の、そして最大の攻撃。私の命を懸けた一撃、受けてみるといいわ」
辺りの空気を大きさを増した球体が吸い込んでいく、先ほどの攻撃もすごかったが、今度の攻撃は比較にならないことがわかる。
いくらさっきの攻撃で無傷だったぼくも、今度の攻撃を食らって平気かどうかはわからない。だけど、そんなことより、彼女が言った、「命を懸けた」という言葉が耳の中に強く残っていた。
読んでくださってありがとうございます。
アクセスが急に伸びたかと思ったら、ランキングの下の方に引っかかってましたね。
ブックマーク、評価をいただいた方ありがとうございます。
結構な人が見ていただいてますが、あんまりブクマとかにつながらないのはやっぱりインパクト不足なんだと思いますねー
あと少しでいい区切りまで行こうと思うので(そしてストックも尽きる)ので、新しい構想も含めてちょっと考えてみようと思ってます。




