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遅くなってしまいました、すみません。
一瞬何が起きたかわからなかった。
靄に映った大きな影は、彼女の影が大きく映ったものだったようだ。
彼女の少し濡れた髪の毛は、赤っぽいピンク色で、少し長めのショートボブに切りそろえられており、触るとすごい柔らかそうだった。幼なく小さな身体には似つかわない大きな胸を隠すことなくこちらにさらしており、こちらも触ると……
って、なんだこれは?
思わず僕は後ろを振り返る。
「ごめん!」
「……」
そういう僕の言葉に返事は返ってこない。
入浴中に急に男が入ってきたのだ、そりゃ声もでないだろう。
「覗こうとかそんな思いは全然なくて、ここには魔王を探しに……」
何とか言い訳をしようとしたが、これでは単なる変質者みたいだ……
「魔王?」
彼女が初めて小さな声を上げる。
声もかわいいな……じゃなくて
「信じられないことをいっているように聞こえるかもしれないけど、僕は、魔王のもとに転移をしてきたんだ。何か魔王についてしってたり……しないよね?」
「魔王……知ってる」
「やっぱり……えっ?」
「……」「……」
妙な沈黙が二人の間を包む。
この子、今、魔王を知ってるっていったよな……でもこんなかわいい子が魔王と関係があるなんて思えない。
僕が口を開こうとしたとき
「シルビア」
彼女が誰かに声をかけた。
「エッ・リ・ザ……べスさま~~!!ようやく、またこのシルビアめと一緒にお風呂に入る気になったんですね!まずは、どこからお洗いしましょう、その美しいおみ足でしょうか?かわいらしいおててですか?それとも、そのやわらかい……きゃ」
「……」「……」
なんだかすごいのが来たな……そんなことを思いつつ、彼女の裸を見ないようにしながら、声の主を見やると……
信じられないくらいの美人、長いまっすぐの黒髪にすらっとした長身に長い手足、身体に密着したテカリのある黒い衣装からのぞく白い肌が非常に艶めかしい。しゃべっているのは変態そのもののセリフだったが……
「エリザベス様……そいつどこから?ハッ、リズ様の入浴を覗くなんて……殺します」
そういうと長身の女性は、短いスカートのどこに隠していたのか知らないが、二振りの片刃の剣を取り出した。
「シルビア、まって。この人、ゆうしゃみたい」
「ま、まさか、勇者だというのですか?これまで、200年、四天王最弱のアルドバイすら倒せなかった人間の勇者がこの魔王城に……リズ様、今日は晴れ舞台ですね!」
そう言ってなぜか手を握り合う二人……
「人間、いつまでも神々しいリズ様の裸を見ていたいのは、わからないでもないが、さっさとそこから出ていけ」
黒髪の美人が指さすほうを見ると、先の方に大きな扉が見えた。その扉がどこにつながっているのかはわからないが、いつまでも女性が入っているお風呂にいるわけにはいかない。
扉に近づくとどこから見られていたのかわからないが、扉が自動的に開いた。
ドアの向こうには、赤黄色青の色違いの衣装に身を包んだ、全く同じ顔、姿かたちをした少女たちが僕のことを待っていた。
「「「人間のゆうしゃ、よくきたな、こちらにくるです」」」
三人が全くぶれることなく同時にしゃべり、そのうちの真ん中の黄色い子が僕のことを手招きして、奥のほうへと僕を促す。
小さな少女、どちらかというと幼女といったほうが近いかもしれない。黄色い子の後ろをついて歩きながら、石でできた廊下を見てみると、通路はとても広く天井も高い、先ほどの扉も大きかったが、全体的に建物が大きく作られている。壁には、魔道具だろうか?明かりが等間隔に設けられている。
いったい誰向けなんだ……そんなことを思いながら、黄色い子についていく。建物自体もかなりの大きさで、さっき魔王城って言っていたのは本当だったんだろうか。似たような通路が続く中を黄色い子の後を延々と歩いていく、これ、一人だったら絶対に迷うな……
「ついたです」
これまで無言だった、黄色い子が久しぶりにしゃべったと思ったら、目の前には、高さが5メイル以上はあるのではないかという大きな扉がある広場に着いていた。
「ここでまつです」
そう言われて促され、わきの方に設けられた立派なベンチに座る。わきの方に行っていた、黄色い子が何かを持って帰ってきた。
「お茶です」
「ありがとう」
僕ってここに何をしに来たんだっけ……あ、おいしいこのお茶。
なんだかんだで週末も忙しくてストックがためれてません。。。
とりあえず、今のところが終わったら評価をみつつ、続きをためるかどうか検討の予定です。
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