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SIDE アナ・グレン

—アナが召喚されてから2ヶ月が経った—


「ノキ君、元気かなー。ちゃんと先輩転移者さんと仲良くできているかなー」

「アンちゃんってさ、いっつもそんなこと言ってるよね? ノキ君てそんなイケメンなの?」

「そういうのじゃないんですってば、ヴァーレイさん。同じ世界から来た同郷仲間なんですよ」

「ヴァーレイは分かんないなー、同じ世界から来た同期なら超優秀なバーンもいるじゃん?」

「いい人だし優柔なんですけど、私うるさい人が苦手で……」

「確かにねー!」


 私は現在、ヴァーレイさんと”ウォードッグ”の背に乗って、ゴーマニア公国への街道をひた走っている。 ウオードッグなんてたいそうな名前をしてるけど、ただの超巨大なコーギーだし、走りながらチラチラこちらを振り向くくらいかわいい“幻獣”だ。そして私の後ろに座る指導係のヴァーレイさんは気さくなエルフ女性で、この世界でのあれこれをずっと親身になって教えてくれた大恩人で、ひそかにこの世界での姉と慕っている人なんです。


 この世界に呼び出されてから1ヶ月経った頃、同じ意思疎通のレガロを持つヴァーレイさんと二人で幻獣洞窟へトレーニング兼相棒探しへときました。ウォードッグの“タマ Jr” はそこまで高位の幻獣ではありませんが、ヴァーレイさんの指導を受けて、私が0からコツコツ絆を深めて“守護契約”できた幻獣さんで、大切で自慢の相棒です。タマJrと契約できてからは、タマJr、ヴァーレイさんと一緒に幻獣洞窟に潜っていろいろな特訓をしました。タマと供に戦うためにヴァーレイさんに弓を教えてもらったし、猪突猛進タイプのタマJrの手綱を握ることが出来るようになってきて、洞窟に住んでいるモンスターにも割合勝てるようになりました。ヴァーレイさんの手助け(パワーレベリング)のおかげでレガロもLv3からLv6に上がって、この1ヶ月でなかなか強くなることが出来たんじゃないかと思います。オタク気質の私からしたらパワーレベリングなんて邪道ですが、状況が状況だけにしかたないと割り切って、しっかりあげてもらいました。


 何しろ、この世界で自分らしく生きていくためには力が必要だと、この2か月の間で痛感したからです。このゴーマニアはカーストもびっくりの力依存の上下関係が築かれていて、悠長なことは少しも言ってられないのです。

 後一か月もしたら私もトレーニング期間を終えて職に就かないといけないんですけど、この先ちゃんとやっていけるのか目下心配なところです。


 とりあえずゴーマニア城に戻ったら、2か月ぶりにノキ君の様子でもみに行こうかな。タマJrのこともみたらきっとびっくりするだろうな。でもちょっただけ心配なことがある。


「もしかして、ノキ君は忘れちゃってるのかな?」

「ん、アンちゃん、なんか言った?」

「いいえ、何も。それより帰ったらお湯にでも浸かりたいですね、幻獣ってお風呂とか入るんですか?」

「うーん、ヴァーレイの幻獣達は入らないけど、タマ公ははいるんじゃない?」

「ワンっ、ワンっ!」




 タマJrから<温泉好き!>って返事きたけど、幻獣洞窟って温泉あるのかな?


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