第三話 スペックの違い
今日は二話分執筆することが出来ましたので、二つ投降させて頂きます。
イバラの話を聞く限り極めて大変な状態であるということが理解できた。
この異世界の名前はリーヴァ。
一つの大陸がいくつもの国に別れ、それぞれの国を治める王がそれぞれの国の法律を決めている。
そしてこの国、リリムを治めているのがイバラ。
イバラは言わばこの国にとっては英雄のようなもので、国民の全員がイバラを信用しているといっても過言ではない。
以前この国を治めていた王は酷い暴政だったらしく、イバラがそれに耐えかねた国民と一緒にその王を政の舞台から引き摺り下ろした事でこの国を治めることになったらしい。
国民は前から王に不満を持っていたらしく、言うなれば何らかの『引き金』が欲しかった所丁度イバラが動いたことに便乗したといったところ。
だから最初に行動したイバラが英雄として扱われ、この国を治めている。
故に徹底された管理が行き届き、不審なものはこの国に入れない形になっている。
私が入れたのはリリムの城壁からの監視員の報告でいち早く気付いた、ということらしい。
つまり黒ローブみたいな奴が強行突破しない限りこの国にいるプレイヤーは安全と言うこと。
ではあの黒ローブは一体何者なのか。
分かっている点はプレイヤーを狙うことと、ラスリアに存在するスキルを使用しながらとんでもない力を持っているということ。
アレに対峙したときは真っ先に逃げなければ殺されるというのは身をもって体験している。
ここまでの話を聞く限り大変どころか安全だと思っていた私の考えはある一言で一蹴された。
この世界に来てログアウトをしてもう一度この世界に来れば二度とログアウト出来ないという事。
故にイバラ達はこの世界に二年も留まっているらしい。
二年もここに留まっているなら現実世界で何か有ってもおかしくないのでは、と一瞬考えたが私が普通にラスリアをプレイしているときにこのような話は聞いたことも見たことも無い。
ニュースでもやっていないところを見るとこの世界にいる間、現実世界での時間は全く進まないということだろう。
時間が進んでいないなど信じられないような気もするが、私の現状が既に奇々怪々な事態であるため、信じない理由は無かった。
少なくとも今私が置かれている状況は、現実に帰ることが出来ないということ。
イバラたちもそれを理解しているため、この国に居座りながら少しずつでは有るが現実に帰る方法を探していると言う。
しかし帰る方法に繋がる情報は全く見つかっていないらしい。
「だから、改めてお願いします。哀華さんも私たちに協力してくれませんか?」
今までとは打って変わって凛とした規制を持って問うて来たイバラに返す言葉など最初から決まっていた。
そもそも最初からそのつもりだったに違いない。
だから―――――
「むしろ私からお願い。現実に帰るための手段を見つけるために協力させて」
短い言葉で返したが、だれが見ても思いを込めた一言だと分かるように答えた。
「ありがとうございます!哀華さんが居れば百人力ですよ!」
そうして私達は握手をして、改めてお互いを信じあう仲間となった。
――――――――
結局、何かするということも無く、使用人の人が時々持ってくるお菓子や紅茶などを頂きながら、お互いのことを話し合った。
私以外の四人のことを質問したり、この世界でどんなことをしているか質問したり、内容はそこまで濃いものではなかったが、久しぶりに友達と喋るという感覚を得られた。
現実でもラスリアでもこんなに話し合う仲の人間は居なかった。
だから嬉しい、素直にそう思った。
空も暗くなり、イバラに与えられた部屋で眠るつもりだったのだが、今日一日で色々なことが有りすぎて全く眠れなかった。
それに与えられた部屋にも装飾品が至る所に施されていてどうにも落ち着かない。
やはり普段見慣れないものに囲まれるのは好ましくない。
この世界でいくら眠っても現実では時間が進んでいないと考えると不思議なものだ。
明日何かをすると言われた訳でもないため、夜更かししても問題は無いがうろうろするわけにもいかない。
「哀華まだ起きてるー?」
急に布団の中から声が聞こえてきたと思ったら中からナナがでてきた。
いつの間に私の布団に……いや、いつ部屋に入ってきたんだ……。
ナナも私と同じように眠れないのか全く眠そうな雰囲気を出さずにそのまま私の上に乗っかった。
「どーせ眠れないと思ってたから来てあげた」
「いや、別に来なくても……」
私は上に乗っかったナナをどかして苦笑いする。
恐らく眠れないと心配したんじゃなくて、暇だから着たの間違いだろう。
最初に自己紹介したときとは打って変わって馴れ馴れしくなっていた。
「ねーえ、ひーまー」
「特にやることが無いなら戻って寝た方が良いと思うよ……」
「……はーい」
ナナはそうして私の布団に入ってきた。
「いや、なんで私の布団なの?」
「だってひーまーだーしー」
「分かったから早く寝よう。うん」
その後もナナが背中をつついたり何かしてきたが無視してそのまま目を瞑った。
――――――
私達四人は建物の中から広い庭へと足を運んだ。
何をするのかは聞いていないが、今までと違う生活に少し戸惑いを感じていた。
今までは早起きなんてしないでギリギリまで寝てたし、ましてや誰かが起こしに来るなんてこともなかった。
今日は朝早くに隣に寝ていたナナに起こされた。
この世界でもラスリアに居たときが適用されるらしく、身体の汚れは自動的に除去されるらしい。
寝起きでも風呂上りのようなスッキリさが身体で感じることが出来た。
「ねえ、イバラ。ここで何するの?」
「勿論決まってます。私と手合わせして欲しいんです」
その瞬間辺り一帯が凍りつくような空気へと変わった。
それは今までのイバラとは思うことが出来ないほどの殺気。
言われてみればイバラだけ手の内を私にまだ明かしていなかった。
イバラがどれほどの実力なのか、手の内も分からない以上想像することもできないが二年もこの世界に居た分『実戦』経験は上であることは間違いない。
私自身弱いとは思っていないが、雰囲気で相手が強いと感じるのは初めてだった。
「何で手合わせを?」
「そこまで意外ではないと思います。哀華さんの戦いを実際に見たわけではないので単に実力が知りたいと言うだけですよ」
それに、と続けた。
「私の実力がどれだけランカーに通じるのか試してみたいですから」
イバラは微かに微笑みながら言葉を告げた。
確かにそれは別段おかしいことではない。
私としても手の内が分からないイバラと手合わせしてみたいという気持ちはある。
杖スキルの内容はある程度知っているが、全てを知っているわけでは無い。
杖にも属性が有り、使う属性によって杖スキルの成長の仕方が変わる。
いくらイバラが赤い杖を持っているからといって炎を使うとは限らない。
それに人によってはスキルの使用方法が異なり、戦闘スタイルも大幅に変わってくる。
「だから」
イバラは手に握った杖を地面にトン、と音を立てて付け、私を見つめると大きく息を吸った。
「私と全力で勝負してください!」
その言葉と同時に他の三人はその場から飛び退くように離れ、先手必勝といわんばかりにイバラから攻撃が放たれた。
放たれた攻撃は予想通り炎ではなかった。
放たれたのは氷。
大人一人くらいのサイズの氷柱が一瞬のうちに形成され、イバラが居た位置から私へと向かってきた。
本来杖は振るなどの動作の後にしかスキルが発動しない仕様になっているが、イバラは地面に杖を付いた動作を発動の条件としていたために速攻とも言えるスキル発動が可能だった。
故に私が話している間にイバラは戦闘準備を完了していたということ。
先程まで周囲を漂っていた空気が殺気と冷気で塗り替えられていく。
次に行動することは決まっている。
私もほぼノータイムで銃を構え、弾丸を射出する。
「はぁッ!」
急激な状況変化に対応するため、私は声をあげて自分を戦闘状態へと切り替える。
弾丸を射出するタイミングに一切のずれは無い。
間違いなく標的を捉えた弾丸は氷柱に命中し、軌道を逸らした。
「それ位は当然ですよねッ!」
不意打ちといっても過言ではない一撃をいとも簡単に崩されたにも関わらず、イバラは驚く様子を見せることもなく平然と笑っていた。
さらに崩される事が分かっていたのかすぐに次の攻撃へ移る動作を開始していた。
その場から後退することも無く攻撃にだけ集中するイバラの様子に重厚な砦に攻撃をするような感覚になる。
「どんどんいきますよ!」
イバラは怯む事無く次の攻撃に移った。
最初と同じ動作で杖を地面につけたままスキルを発動する。
あのスキル発動を止めるには一度イバラの攻撃を止める他方法は無い。
先手を取られた以上防戦一方になるのは仕方ないが、このままでは埒が明かない。
上空に出現したのは幾多もの氷の槍。
質量がダメなら、物量で。
戦法の切り替えが上手い。
私はそのまま氷の槍を打ち落とす事無く大きく横に転がりながら避ける。
私が居た場所に刺さった氷の槍は崩壊する事無く地面に刺さり、槍全てが地面の中に埋まっていた。
イバラが使ったのはアイスピラーとアイスランス。
どちらも杖の氷スキルの中では初級に存在するスキルだが、明らかに威力が上級レベルだ。
ラスリアのスキルには初級、中級、上級、最上級、古級のスキルが存在し、初級が一番低く、古級が一番威力が高い攻撃となっている。
ゲームの中で威力の上昇は無かったが、ここではそうではないらしい。
現に初級スキルが上級スキルに近い威力を出している。
信じられない。
私の中に芽生えた言葉はそれだった。
私はスナイパーライフルのスキルを全て習得しているが、イバラの杖スキルのレベルが高ければ勝てないかもしれない。
全てを習得している上で威力も上昇しているのだったら私が勝てる可能性は極端に低下する。
いくら立ち回りが上手く出来ても能力の差はそう簡単に埋めることは出来ない。
つまり、イバラの基本スペックが私のスペックを越えているということ。
故に初級スキルにも拘らず上級スキルに近い威力を出すことが出来たのであろう。
よく考えればおかしな話だ。
いくら手合わせといえどランカー相手に最初の一撃で初級スキルを使う訳が無い。
あえて初級を使うことで『手加減』したということだろう。
通りで最初の一撃を逸らすことしか出来なかったという訳か。
結果は結果。
現状を理解した上で即座にそれに対応する。
銃を構え最上級スキルに属するペネトレイトショットを放つ。
必ず貫通する弾丸は走る獅子の如く轟音を撒き散らしながらイバラに向かっていく。
手加減している暇など、無い。
しかし私の一撃はいとも簡単に躱され、反撃を打ち込んできた。
次に形成されたのは私の身長の二倍ほどある氷の剣。
中級スキルであるアイスソードは自律しながら相手を攻撃する。
私は同じように弾丸を放つが、全く何の意味も無かったかのように弾丸が弾かれる。
アイスソードの鋭い一撃はそのまま私を真っ二つにしようと上から振り下ろそうとする。
「くッ!」
中級スキルともなると私の通常攻撃は一切通用しないらしい。
狙いを定めたアイスソードの一撃はまるで罪人を執行するかのような鋭さ。
しかしこのままあっけなく敗北するわけには行かない。
何よりもランカーとしてのプライドがそれを許すわけが無い。
いくら相手のスペックが上とは言え、何年も経験を詰んできた。
そう簡単には、やられない。
私はサブウェポンの拳銃を取り出し、自分の頭に向けて引き金を引いた。
本来弾丸が入っていない拳銃から銃弾が射出されることは無いが、明らかに通常とは違う音があたりに鳴り響く。
私が使ったスキルは最上級スキルのシフトアップ。
拳銃から射出される弾丸を自分に撃ち込むことで、自分の身体能力を大幅に向上させるスキル。
大幅に上昇した力で迫る一撃が直撃する寸前、弾丸を放ちアイスソードを砕いた。
そしてそのまま別の中級スキル、ストーカーショットを放つ。
言葉の意味通り発射した弾丸は相手を追尾する。
スピードに乗った弾丸は勢いを乗せてそのままイバラへと迫っていく。
しかし放たれた一撃も氷の壁、上級スキルであるアイスシールドで弾かれる。
速度を失った弾丸はそのまま消失した。
だが、今はそれだけでも十分だった。
防戦一方だった展開を切り替えることこそが私の目的であり、本来の反撃はここからである。
私はイバラが次のスキルを使う前に最上級スキルポイントアクセスを使う。
このスキルが発動中は同じ位置に攻撃するたびに威力が倍になる。
たとえ通常攻撃であろうと何発も同じ位置に打ち込めば倍になり、凄まじい威力と化す。
勿論そこにスキルを使用すればさらに威力が上がってゆく。
私はその隙を逃さないように即座に連続で弾丸を射出する。
しかしその一撃も通る事無くまたもアイスシールドに弾かれてしまう。
さらにそのアイスシールドを回転させながらこちらに飛ばしてきた。
そんなスキルは見たことが無い……!
氷の盾は唸りをあげて風を切り裂きながら飛来する。
だがその程度の単純な攻撃は――――
「喰らう訳ないでしょ!」
私は盾の側面一箇所に連続で弾丸を射出する。
弾丸による連続攻撃に盾の起動は大きく逸れ、私に当たる事無く地面へと突き刺さった。
「本番はこれからです!」
気合と共に、上空に巨大な氷塊が出現する。
このスキルも見たことは無い、だが物自体に質量が有る以上説明する必要がない威力であることに間違いは無い。
よって威力の説明など不必要。
まさに一撃必殺ともいえる一撃が空から私目掛けて落ちて来るということ。
この一撃を喰らうのは流石に不味い。
私は咄嗟にその場から後退したが、不意に衝撃を背に感じ、吐血した。
「がはッ……!?」
信じられない。
私の中に出てきた一言はそれだった。
目の前にイバラが居るのに背後から一撃が加えられた?
現状に理解できない中、背後から声が響く。
「ちゃんと後ろも見ないとダメですよ」
振り向くとそこには余裕の表情で立つイバラが居た。
「目の前に私が居るとは限りませんからね」
その言葉に全てを理解した。
恐らく目の前に居るイバラは幻影か何かで、本体は既に背後に移動していたということだろう。
故に一切対応することが出来なかった。
確かに単調な戦いだとは思っていたが、全てがこれのためのブラフだったと言う事には気付けなかった。
だが、そう簡単に『はい、負けました』なんていうプライドは持ち合わせていない。
「喋っていれば、それが隙になる」
私は呟き、背後にサブウェポンの拳銃で射撃する。
予想していなかったのかイバラにいとも簡単にヒットする。
思えばこの一撃が初のヒットである。
弾丸とは言え、流石にラスリアのプレイヤーだったイバラには大して効いていない様子だった。
私が体勢を立て直す暇も無く氷柱が迫る。
私は転がりながらも紙一重でその一撃を回避した。
そしてそのままカウンターを放つかのごとくペネトレイトショットを放つ。
だが当然狙いきれていない一撃が通る事無くいとも簡単に回避される。
ラスリアのプレイヤーの動きとはまるで違う。
あれは敵だ。私が勝てない敵。私より強い敵。
そう思わなければいけないと私は本能的に理解する。
「往生際が悪いですよ哀華さん」
「ならもう一度決めればいいでしょう?」
無論、負けるつもりは毛頭無い。
スキルを使用するには若干のタイムラグが存在するため、私は隙を与えないように連続で弾丸を射出する。
例え当たらなくとも大きな隙が出来れば決定打を打ち込むことが出来る。
しかし簡単に隙が出来る訳も無く、イバラは反撃に移る。
私の射撃の挙動を読み取り、銃撃の反動で銃口が僅かに上昇するタイミングでさほど大きくは無い氷の槍が一本迫ってくる。
何本も形成するのとは違い、僅か一本で有る故にスキル発動のタイムラグが無いかと思うほどのスピードで形成され、こちらに迫り来る。
攻撃の合間に放たれた攻撃を撃激することが出来ない以上、その攻撃は避けるしかない。
槍の速度が尋常ならざる速度であるため、避けきることが出来ずに右肩に槍が掠る。
肩に当たった一撃により射撃の命中率が大きく低下したが、それでも攻撃をやめるわけにはいかない。
どうにかして隙を作らなければ防戦一方でそのうち潰されることが目に見えている。
しかし先程の槍がもう一度迫ってくれば避けきれるかどうか定かではない。
ならば距離を取るしかない。
移動すべく攻撃をしつつ大きく後ろに跳躍した。
この動作により私に隙が出来てしまうが、まずイバラと離れないことには同じ手で潰されてしまう。
だが私はただ後退するだけはしない。
そのまま後退するだけでは確実に攻められるのは目に見えている。だから私は銃を後ろに向けて地面へと上級スキルであるグレネードバーストをほぼゼロ距離で地面に向けて放つ。
グレネードバーストの着弾炸裂による爆風で私は壁にぶつかったゴムボールのように方向転換し、イバラのほうへ凄まじい速度で迫っていく。
「なッ!?」
流石にこの行動は読むことが出来なかったのかイバラは同様を隠せていなかった。
無論この行動により私へのダメージはさらに増加し、身体に大きな負荷が掛かったが、悠長なことを言っていられる状況ではなかった。
攻撃しなければもう勝ち目は無い。
私は上級スキル『パラレルショット』を使用した。
何も無い空間から放たれた弾丸は一度被弾した場所目掛けて空中を反射するように飛んでいく。
今攻めるしかない。
私は手を泊める事無くパラレルショットを幾多も発動させる。
目で数えきることが出来ないほどの弾丸がイバラへと迫っていく。
イバラは防ごうとアイスシールドを形成するが、防ぎきれない弾丸がいくつも同じ箇所にヒットしていく。
ポイントアクセスの効果で倍増していく威力に耐え切れなくなったのか、イバラはそのまま膝を付いた。
そこで私は攻撃の手を止め、銃口を下げた。
「あ、あはは、さすがランカーだ。参りました……」
イバラは持っていた杖をその場に置いて私に降参の意を示した。
「私もギリギリだったし、実際あそこで私を気絶させてたら私の負けだったから引き分けって言ったほうが正しいかもしれない」
見たことも無い技や途轍もない判断力を私は見くびっていた。
だから本当の意味で負けていたのは私だった。
「いえいえ、でもこれで哀華さんが強いことが本当に理解できました。お手合わせありがとうございました!」
邪気の無いさわやかな笑いに私も微笑む。
「理由はどうあれ私が負けたのは事実です。だからこそ哀華さんに協力してもらいたいことがあるんです」
「協力して欲しいこと?」
「はい。実はプレイヤーを狙う勢力の一つの居場所が分かったので私たちでそこに攻め込もうと思うんです。そこで哀華さんにも手伝っていただければと思いまして……」
「勿論構わないわ」
「えっ、いいんですか?」
イバラはきょとんとした顔をしている。
「大丈夫。だってもう仲間なんでしょう?」
私の言葉にイバラは微笑んだ。
「ありがとうございます!」
イバラは私に頭を下げて笑った。
「いえーい!お疲れ哀華ー」
ナナが全力の跳躍で私に飛び掛ってくる。
え、ちょ……まって今それはダメだって――――――
その勢いのまま飛びつかれた私はダメージに耐え切れずそのまま意識を失った。
「あれ、哀華?あーいーかー?」
ナナはペシペシとほほを叩いているが起きる訳もなかった。
今回もみて下さった方、今回はじめて見てくださった方ありがとうございます。
次回もみていただけると幸いです。