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冷凍娘

作者: さかき



男 「う〜、あっちー。・・・・アイスでも食べよう。」


すたすた。



男 「あれ?ここに置いてあるはずの冷凍庫がないんだけど・・・」

女 「はい♪」

男 「どわ!?」

女 「どうしたんですか?驚かれて?」

男 「えっ?っていうか、君、誰?」

女 「へっ?私ですか?何言ってるんですか〜。私は、冷凍娘ですよ。」

男 「はっ?冷凍庫?」

女 「はい♪冷凍娘です。」男 「(まぁ、いいか。話し合わせとこう)・・・・・えっと、じゃあアイスとか冷たいのある? 」

女 「あっ、アイスですね。ありますよ〜。」

男 「あるんだ。じゃあそれくれない?」

女 「わかりました〜。少々お待ちくださいね。」


そういうと女は右手でチョキを作りなんの躊躇いもなく自分の口につっこんだ。

男 「っ!?どうしたの!!いきなり!?

女 「へっ?・・あれ?・・ないなぁ・・・・・・」男 「あの、無理しなくてもいいよ?」

女 「だっだいじょう・・・・・・です・・もう少し・・・ですから」


男 「そう?(すごく苦しげだけど)」

女 「・・あっ・・とりゃ・・・はぁ、やっととれた。はいどうぞ。少し冷凍食品が混ざってますけど。」

男 「・・・ごめん。やっぱり遠慮しとく。(あっでも冷たい。冷凍庫なんだ)」




〜数時間後〜


男 「あのさ」

女 「何でしょう?」男 「冷蔵庫の役割は君にはないの?」

女 「私は冷蔵娘のじゃありませんよ〜。私は冷凍娘です。」

男 「えっ?だから、冷蔵庫の・・・」

女2 「呼んだ?」

男 「どひゃ!?」

女 「あら、蔵娘。どこいってたのこんな時間まで」女2 「ごめんごめん。寄り道してたら時間忘れてた」

男 「えっ?えっ?」

女 「まったく、仕方ないわね。今度からは気をつけなさい。」

女2 「あれっ?とうこ姉ちゃんもしかして心配したの?」

男 「何?なんなの?」

女 「ふ〜ん、くらこちゃん、とうこお姉さんにそんな態度とるんだ。」

女2 「うそです。ごめんなさい。もう2度としません」

男 「もう、勝手にしてくれ。茶でも飲むか。」

女 「だーめ。罰として今週の電力供給は25パーセントカット。ついでに糖質もそれくらいカット。」

女2 「そんな・・・それはあまりにもひど過ぎるよ!あんまりだ。」

女 「だーめ♪お姉ちゃんをからかった罰です。」

男 「ふぅ。落ち着いた。さて、お取り込み中で悪いんだけど。・・・・くらこちゃん?だっけ?」

女2 「うん。そうだけど。何?」

男 「冷蔵庫だよね?」

女2 「本名はね。でも冷蔵娘って名前かわいくないから普段は使わない。」

男 「(やっぱりなんか齟齬が)・・・じゃあ飲み物とか持ってるの?」

女2 「喉かわいたの?じゃあちょっと待っててね?」

すたすた。


男 「いい。いらない(あんなのもう見たくない)・・・ってあれ?」


ガチャン。ごそごそ。バタン。


すたすた。


女2 「はい。ウーロン。ちゃんと冷えてるよ?」

男 「えっ?・・・・それどこから?」

女2 「んっ?どこって、あそこの冷蔵庫からだよ?」男 「えっ?じゃあ、君は・・・?」

女2 「あたし?冷蔵娘だよ」


男 「えっ?えっ?」

女 「どうかしたんですか?」

男 「何?どゆこと?」




数カ月後



「ふぬぬ。」

「頑張って。あなたならできるわ。」

「・・・・理由聞きたくないけど一応・・なにやってんの?」

「んとねっ・・・くっ。・・・ その・・くはっ!」

「くらこ。あなたはしゃべらなくていいわ。集中しなさい。私が説明するから」

「はぁはぁ。・・・ありが・・とう・・お姉ちゃん」

「何言ってるのよ。私達は2つで1つなのよ。」

「うわーいいこといった。君は何もしてないように見えるけどねぼくは。」」

「そんなことありません!」

「どっちでもいいよ。それでなんでそんなことやってんの?」

「それはですね。・・・あれは身凍るようなある日のことでした・・・・・。」

「そうなんだ。どうでもいいけど世間ではやっとくそあつい夏が過ぎさってようやく暮らしやすくなったとこらしいよ?」


「・・むっ・・そう、私達はその日、ある驚愕な事実を・・・・」」


「なるほど、つまり昨日、近所の子供達の会話で本来は冷蔵庫と冷凍庫は2つ一辺に使われていることを知って肩車なんかしてるんだ。」



「・・・・知ってるなら聞かないでください。」


「まぁ、僕もその場にいたからね。」


「だったら邪魔しないでください。これでようやく完全体になれるのです。マメモンだって一撃です。」


「邪魔はしたくないんだけどね。さっきから顔を真っ赤にして頑張ってる人が不憫でならないんだよ(華奢なあの細い腕で冷凍庫を長時間担ぐのはむりだよな)」


「・・・ぬゅ・・もうだめかも・・・・ってか・・もう・・・・だめ・」


がっしゃーん!


「あぁ!くらこ!大丈夫?怪我はない!?」

「お姉チャン・・・私はもうここまでみたい。」

「そんなこといってはだめ!!あなたは死なないわ」

(えっと、電話帳はっと)


「ふふっ」

「どうしたのくらこ?突然笑い出して。」

「ううん、ただね昔のことを思いだしてたの。すごい・・色んな想い出がすごいスピードで私の頭の中を通り過ぎていく・・・」

「だめよ!!くらこ!そんなの思い出しちゃだめ!」

「どうして?とっても楽しのに。お姉ちゃんそこにいる?私なんだか疲れちゃって目を開けれないの。今にも眠っちゃいそう。」


(そういや、昨日夜中まで一人でゲームやってたな)

「くらこ!くらこ!寝ちゃだめよ!私はここにいるわ。一生あなたの手を離しをしない!!」


「あぁ、よかった。お姉ちゃんそこにいるんだね。・・・手・・あったかい」


(冷凍庫の手が?それはないんじゃないかな)


「うん!うん!私はここにいるよ。」


・・ねぇ、お願い・・なんだか・・・・とても寒いの。暖めて・・」

(冷蔵庫だからだろ?)



「あぁ!くらこ!私のくらこ!」

「お姉ちゃん・・・私・・・少し眠るね・・ほんのすこしだけ・・だから・・・だから・・・それまで野菜の新鮮さを保っておいて・・・」

「そんなことできないわ!私だとカチコチになって野菜の繊維が亡くなってしまう!だから・・あなたがやるのよくらこ!」


「・・もう・・しょうが・・ないなぁ・・・お姉ちゃんは・・私がいないと・・・だめ・・・ね・・・」

「くらこ?・・ねぇ、くらこ?返事して?ねぇったら・・・くらこ・・くらこ〜〜!!」

「何?」

(うわっ!まだ生きてた)

「・・・ぷっ・いけない・よかった・・くらこ。」

「・・だから少し・・・くす・・寝る・・・だけだって・・」

(おい、笑うの堪えてないか?)

「・・・・・お姉ちゃん」

「・・・・・くらこ」


「・・・・・お姉ちゃん」

「・そうだ・くらこ!私もくらこと一緒に寝るね。」

「えっ?一緒に?・・・・だめだよ・・そんな・・・・だめだよ・・」

「もう決めちゃったもん。さぁ、一緒に寝よ?私、くらこが起こしてくれるまで起きないからね。」

「・・・もぅ・・仕方ないなぁ・・じゃあ・・・・おやすみ・・お姉ちゃん。」

「・・・おやすみ・・・・・くらこ。」



そして彼女達は・・・長い・・長い眠りに・・


「あっ、すみません。電化製品を廃棄したいんですけど。はい。小さめなやつ2台です。できますか?えっ、6000円弱ですか。少し高いですね〜。あっでもあっても邪魔なだけなんで・・はい。おねがガチャン」


「すいませんでした!廃棄さわ勘弁してください。」

「・・・こういう悪ふざけはしゃれにならないときがあるから次回からやらないように。わかった?」


「はい。むしゃくしゃしてたんです。今では反省してます。」




・・・つかなかったとさ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 凍子お姉さんが面白かったです。
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