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生還

 あれから、15年の月日が流れた。


 地球を守るために秘密裏に行われた、「ヴァ-サス7」プロジェクトは1万人もの若いパイロットたちの命を失いながらも 、謎の侵略艦隊の迎撃に成功した。


 パイロットたちと遺族の名誉のために、そのことを世間に公表した組織は、さまざまな非難と賞賛を浴びて議論された挙げ句に解体された。





 ヴァ-サス7唯一の生き残りである雄介は、当然、英雄として迎えられ、若干28才で、火星の古代遺跡調査船の艦長に就任していた。


 彼は、火星調査を終えて今、まさに地球の大気圏に突入しようとしていた。


 雄介は宇宙空間に浮かぶ、水玉のように青く、丸い地球を眺めながら、あの日のことを思い出していた。





 全天レーダーに映る直人の生存を示す、青い光点が敵の母艦とともに消滅した時、雄介は何も出来なかった。


 すでに、直人が改変した航行プログラムにより、強制的に地球への帰還の軌道に乗っていたからだ。


 彼に出来ることと云えば、直人の両親にそのことを伝えることと、直人が会いたがっていた幼馴染みの藤森圭に彼の最後の姿を語って聞かせることくらいだった。




 そんなことを思い出しながらも、3年ぶりの地球は相変わらず美しかった。


 雄介は宇宙空間に浮かぶその星を見る度に、直人のことを考える。


 あいつは今、どこにいるのだろうか。


 元気にやっているのだろうか。


 まだ、雄介には直人の死と云うものが信じられなかったのだ。


 どこかで生きているのではないかという、儚い希望を捨ててはいなかった。

 



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