第十章 大会スタッフ
ハセツネのない年。
ハセツネのない秋。
今年、ずっと、近場のトレイルをゆったりと駆けていた理由の一つがこれ。
人生、最初のレースがこれ。
たったひとりでの参加。
初めて、鎌倉トレイルをでて。
「東京都の山」を持っての試走、いや、試歩に近い。
巻末の「日本耐久レースのコースを歩く」を見ながら、全てひとりで。
レースでは、立ち寄らない市道山や生藤山をピークハントし、何度も通い。
2年目は、田中正人さんに教えてもらえるということで安全走行会に参加。
誘われて皆と走ったこともあった。
暑い夏の日だった。
ひとり、ダントツに遅くて。
皆を待たせて。
そして、水以外の荷物を全て、御前山で持ってもらった。
レースは、赤の十字架を背負って参加。
今となってはいい思い出。
報告書にもパンフにも案内にも載ったね。
その翌年は、10週連続、あのコースに通った。
走りにいっただけではなく、整備とかも含めてだけど。
毎年、大会の前の週には、道標を立てるため、杭とプレートを背負ってコースを歩く。
ある年は、三頭山だったり。
また、ある年は、浅間峠だったり。
そう、それが今年はないのだ。
本当は、スタッフをやるべき。
そんなことはわかっている。
でもそれすら、悩み。
大会の10日程前に、ようやくというかなんとかスタッフの申し出。
大会前日の金曜日に18時に会場入り。
日曜日の17時に会場を出る。
当日の持ち場は、御前山。
そう、皆と走った時に荷物をもってもらったあの御前山。
因果を感じる配置。
御前山は、山担当の中では最も活動開始時刻が遅かったこともあり、中学校、小学校の体育館に行ったり、受付前で立っていたりして、多くの知り合いとと声をかわすことができた。
「御前山にいるから、声かけていってよ。」
12時過ぎから、大ダワからの入山。
前日に購入したアンプ40を背負って、赤色灯をつけながら、御前山に向かう。
ただ、歩いているだけなのに2人から遅れて…
慣れ親しんだルートとはいえ、逆走すると、感覚が違う。
水だけで5リットルを超え。
前日に購入したアンプが後ろから引っ張る感じ。
重いっ。
パッキングが下手すぎるのか。
他の2人は、テントにシュラフ、バーナーなどに加え、バックパックとは別にAEDや赤色灯の入った買い物かごも持っている。
自身だけが重いのではなく、むしろ、一番軽いはず。
ようやくようやく、御前山。
トップランナーの通過は、18時を回ってから。
通過する知り合いと声をかわす。
寒くて寒くて。
立っているのもキツくなり。
27時過ぎには、声をも嗄れてしまい。
とうとう、28時20分ころからはテントの中で休むことに。
7時30分ころに最終ランナーとスイーパーがきて。
我々も撤収することに。
持ってきた水を捨て、自身の装備に加え、AEDやランタン、救急セットなどをパックパックにつめ、下山。
道標を抜き、赤色灯をはずし、イエローテープをはずし、ゴミを拾いながらの下山。
自身は、道標をドライバーで分解し、杭とプレートをもって。
よろめきながらの大ダワまで下山。
車で五日市会館に戻り。
数歩、歩いたところで、トレランシューズのソールが剥がれた。
ここまで、使い切れば、トレランシューズも本望だろ。
少し、皆と話をして。
少し、横になり。
少し、ランナーを応援して。
13時にあと1分余り。
スイーパを率いた最終ランナーのフィニッシュシーンには、かなり感動。
13時、大会は終了。
これからが、もうひと仕事。
体調が悪くて。
キツくて。
ちょっと、時間をもどして。
御前山。
数名の方には、こちらから声をかけたんだけど。
真っ暗でほとんど見えない中、皆さん、声をかけてくれた。
「遅くなりました。」
「間に合いました。」
等々。
誰がいたかなと指折り数えてみると。
30を超える数。
皆、ありがとね。
SNSを通じての知り合いは50人くらいだと思うから、その半分くらいの人に御前山で会えたということになるかな。
その他の知り合いも多いんだけど、事前に御前山にいることを知らせていない状況で、あの暗闇の中、声を交わすのは奇跡に近いから、ほんのわずか。
せっかく、御前山にきたのにいなかった方。
約束したのにホントにゴメン。
キツくてツラくて、しばらく横になっていました。
立っていることが、そこにいることが、辛かったです。
生きていることが辛くさえ感じました。
ホントにゴメン。
そして、スタッフの皆。
クラブの仲間を中心に、SNSでは繋がっていない方が多くいるんだけど、スタッフのみんな。
お疲れ様でした。
ありがとう。
レース前、レース後に五日市付近でお会いした選手や応援の皆さん
お疲れ様でした。
やっぱり、「日本山岳耐久レース」はすごいよ。
翌週は、グリーンフェスティバルに参加。
少しだけ、からまった紐がとけたような感じがした。
やっぱり、ここから始まったからね。
自身は。




