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山里家にて

 霧斗「……で、激君は家に来たというわけだ」

 中田「はい……、すみません」

 霧斗「いやいや、謝らなくてもいいんだよ。しかしなぁ、………」

 中田「何ですか?」

 霧斗「まさか、神名のやつが人を連れてくるとは、思ってもみなかったのでね」

 中田「いや、すみません。無理言って、お邪魔しちゃって」

 霧斗「だから、謝らなくていいって」

 山里家に転がり込んだ中田は、神名が自室にこもってしまった途端、霧斗の話し相手を否応なしに任されていた。

 霧斗「ところで、激君は、鞭を使うようにして、チェーンで戦闘を行うと聞いたのだが………」

 中田「えっ! え〜と、その、え〜とですね。あのぉ、そんな格好の良いものじゃありません。ただ、渚や愛里…、すみません、名前言っても分かりませんよね。妻や娘の仇を取ろうと、思った時に一番身近にあったのが、自転車のチェーンだっただけで……」

 霧斗「……でも、その武装であのバケモノ達を倒してきたんだろ。……」

 中田「ええ。まあ、一応」

 霧斗「うん。そうだね。君も今じゃ戦士になってるんだ。一度、今から手合わせ願えないかな?」

 中田「えっ? でも、それってお互い、危なくないですか?」

 霧斗「うん。危ないね。じゃあ、こうしよう。今から、子供達の言う狩りに行って、お互いのバトルスタイルを見せ合う事にしようじゃないか。これならば、仲間同士で傷付けあう危険性は回避出来るだろう」

 その時、居間の扉がガチャっと開くと、神名が入ってきた。

 神名「それはどうかしらね。その人、戦いになると周りが見えなくなるみたい。……まず、チームバトルの基本から、教えるべきじゃないの?」

 霧斗「いや、大丈夫だと思うよ。これまでは、周りが見えなくなる理由があったんだ。でも……、これからは違う。………だから、大丈夫だと思うよ。何の根拠も無いけどね」

 神名「ふーん。そうだといいわね。ところであなた、自分のスタイルは言ったのかしら?」

 霧斗「あぁ。そういえば、すっかり忘れていたよ。……激君、僕は、ナイフで戦うんだ。ナイフの類いなら、ペーパーナイフからサバイバルナイフ、包丁に至るまで何でも使う。…それと、僕は、二刀流でね。僕も、近くに来られると、少々危険なんだ」

 中田「へ〜。短剣使いってわけですか。…でも、夫婦でリーチの短い武器使ってるんですね」

 霧斗「僕は、こいつ程じゃないよ。あまり長い刀は使えないけど、ある程度の長さの物なら、ナイフじゃなくても、そうだなぁ、棒のような物、鉄パイプなんかでも使えるしね」

 神名「はいはい。じゃ、話はここまでね」

 霧斗「そうだね。じゃあ、激君そろそろ行こうか」

 霧斗は、中田の肩をポンっと叩き部屋の外へと出て行こうとした。

 神名「ちょっと待って。……私は、あなた達と話しをしに来たのじゃないの。…ちょっと、二人とも私の部屋まで来てくれる?」

 神名は、霧斗の襟首を掴み、部屋から出て行くのを阻止しながら、中田の方を見て真剣な表情で話した。

 霧斗「何? また何か、発見したの?」

 うんざりしたような霧斗の顔を余所に、神名は足早に自室の方へと歩き初めていた。

 霧斗「やれやれ。激君、じゃ行こうか」

 二人も、神名の後を追って、神名の部屋へと歩いて行った。



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